浅草って屋台あるんだな
お賽銭を投げ、よくわからない儀式を済まし、俺達は階段を下りた。
「次はどうしよ……あ! 屋台あるじゃん!」
また変なものを見つけてしまった。大輝はいつもそうだ。何かと巻き込んでは俺に責任を全部押し付けてくる。
「いっぱいあるじゃん!」
「そうだな……」
大輝はそそくさと屋台の集まりに行ってしまった。俺は屋台と聞くとある映画の歌が蘇ってしまうが、今は関係のないことだ。
「しかし……こんな理由で突き指するとは……」
そうだ。大輝の1円玉お賽銭計画を阻止するだけで右手の人差し指を犠牲に捧げるとは……。やはり、上手い話にはそれ相応の犠牲があるのか。
しばらくすると、大輝が戻ってきた。その手にはフランクフルトにポテトに、忙しいそうだ。
「ほい! これあげる!」
大輝がフランクフルト1本を差し出してきた。俺は素直に受け取り、「さんきゅー」とだけ返した。
「……辛」
屋台のフランクフルトの味だ。だが、大輝の好みはマスタードだけのフランクフルトらしい。頭どうなってるんだ。
「うますぎる!」
当の大輝はポテトを食べている。味はどうやらバーベキューらしい。某チェーン店では食べられない味だ。
なんとか俺は辛いフランクフルトを完食し、自動販売機に駆け込んだ。この際、何を飲もうが同じことだ。
「ごくごく……はぁ……」
なんとか、辛さは引いた。大輝も食べ終わり、自動販売機の近くのゴミ箱にポテトの袋をダイレクトシュートだ。
「ねぇ! おいしかった?」
「辛かった」
「ごめんごめん! 辛いの苦手なの忘れてた!」
嘘だ。絶対嘘だ。目が泳いでいる。いつもの自信がない。大輝は話す時、必ず目を見る。だが、今は泳いでいる。
「それって、う……」
「まぁまぁ! 次行こ!」
大輝は俺の話を遮った。その声は震えていたが、行動が物を言うとはこういうことだ。大輝はもう先に逝ってしまった。
「なぁ、次はどこいくんだ?」
「んー……旅の疲れを癒すものと言えば?」
またこれだ。今日はこの問いばかりだ。旅の疲れ……? ゲームなら癒しポイントだが、現実世界なら……。
「温泉か」
「そういうこと!」
俺達は寺の左側の道路に出た。そしてずっーと真っ直ぐに行くと、温泉があった。それっぽい雰囲気があった。どこか昔を懐かしむような感じだ。
「んじゃ、行きますか!」
大輝と俺は更衣室に移動して、服を脱いで浴場に入った。なぜか、俺に対しての視線が結構向けられているが。




