夜の内
「で? どこいくの?」
俺達はホテルを出た。もうお天道様も沈み、お月さんが出ている。その月は半月だった。この月も太陽の支配下なのだと感じるくらい、輝いている。
「まずは……ごはん! ずっ〜〜と、お腹空いてるよ!」
「あぁ、そっか」
なんせこの男は明治の会社のデカいチョコを食べようとしていたのだ。そのくらい限界なのだろう。
大輝によって連れられて来た場所は、焼肉ライクだ。
「なんでよりによって、チェーン店の焼肉ライク?」
「だって大阪駅周辺にないもん!」
「……あまり見かけはしない」
「でしょー?」
これは俺達の気のせいかもしれないが、焼肉ライクはあまり見かけない。焼肉といったら、298が先に思い浮かべる。1000円焼肉と謳っているところだ。
だが、こういうところには罠がある。網交換にちょっとだけ金がいる。だから終盤は炭の味しかしない。
「終盤炭の味しかしないとかないよな……?」
「ないよ。多分」
正直俺は行ったことがない。一人で焼けるということくらいだ。
「あー……食べたなー」
「もう動けないよ……」
お店の中はあまり記憶に残っていない。食べ過ぎた。ただそれだけだ。
「まずは、東京って言ったらあそこだな!」
「東京タワーとかスカイツリーか?」
「まぁまぁ行ってからのお楽しみだ」
大輝はそう言い、電車に乗り込んだ。東京周辺の駅ってもっとこう、凄いイメージがあった。だが現実は普通の駅とさほど変わらない。
しかも駅から離れてみると大体は過疎っている。例えば渋谷だ。あそこはスクランブル交差点だけで、商店街の方に出向いて見ると人が疎らだ。
やはり、人間は興味のないことしかやらないのだろうか。いや違う。流行りに乗りたいのか。109なら流行りのある服が沢山ある。
ここで一つ気が付いた。商店街ブームは過ぎ去ったのか。昭和なら賑わっていたはずだ。今はショッピングモールとかできて商店街の変わり以上の物が出てきてしまった。
だが俺は商店街は必要だと思っている。なぜなら、祭りの時には主役になるかもしれないからだ。大阪の岸和田の方ではだんじり祭りとかあるし、野田阪神の近くの商店街には祭りが行われている。
やはり、時と場合だ。会話だってそうだ。相手と相手の話が噛み合わさなければ、会話にならない。
やはりそうなのか……
「おーい。葵〜?」
「……? なんだ?」
「いや、ぼっとしすぎだろ。また要らないことでも考えてたか?」
「あぁ……ちょっとそうかも」
気づいたら俺は大輝の後を歩いていたみたいだ。その間にいろいろ考えてしまっていた結果、大輝から見て俺は俯いて真剣な顔をしている姿だろう。
俺達が居るのは原宿駅からずっ〜〜〜と長いこと歩いてようやく着いた場所だ。
「ついたぞ! 防衛庁だ!」
「おぉ……防衛庁というか……防衛省? いやよくわからない……」
少なくとも防衛関係の施設だろう。避雷針みたいな太くて赤いものが天井に突き刺さっている。夜だから雰囲気が出て、ラスボスの要塞みたいだ。
「これは……すごいな」
「だろーー??」
なんか……思ってたのと違うけど……まぁいいか。




