まずやるべきこと
「やっと着いた……」
「何言ってんだ! すぐだっただろ!」
「こっちの身になれよ……」
大輝はずっとベラベラ喋っていただけだから3時間はすぐだろう。だが聞いている方はずっと長く感じる。オチもないただ並べただけの会話。
会話は質より量なのだろうか。最近のマイブームは昨日の晩御飯を聞くことだ。そこからお話を切り出せる。友達に言ったら意味わからん、という顔をされたが。
改札を出て、東京駅という文字を見る。もっとも、想像していた東京駅とはちょっと違った。
「あれ。明治時代みたいな東京駅は!?」
「知らん。いつか見れるだろ」
俺達が居る東京駅は普通の電車とさほど変わらない駅だった。もっと天気予報とかの背景で見る東京駅を想像していたのに……。
「とりあえず外出るぞ」
「はーい」
東京駅を抜け、東京という地に足を踏む。
そこには、首を90度上に曲げないと天辺が見えないビル、東京駅と立体的に書かれた改札口、そして大量のタクシー。目には映る物全てが規格外だった。
「おー! すっげー!」
「おい……うるさい。外国人観光客もこっち見てるぞ」
流石の東京といったところか、外国人も桁外れだ。まぁ、最近の日本では見慣れる光景だが。
「で? どこいくんだ」
俺は大輝に聞く。どうせ、決まってないとか言うんだろうが……
「もちろん、ホテルだよね! 荷物置かないと!」
「え……? あぁ……そっか」
「どうした?」
「いや……なにも」
俺は面食らった。なぜかって? 彼がちゃんとホテルを取っていたからだ。あんな無計画なのに……。
むしろ、他のところをしっかりしてほしい。
俺達はホテルに向かう。結構歩く。途中でこのスーツケースを投げようと何回も思った。
「ねぇ……まだ……か……」
「あともうちょっと。がんばれ!」
なんで真夏にこんな厳しいことやってるんだろう。スーツケース要らなかった。普通に考えてボストンバッグで良かった。だけど、夕方もあってかまだマシな方だ。
川から見る夕焼けは凄かった。これだけでお釣りが出る。まさか東京にまで来て、自然に驚かされるとは。やはり自然には勝てない。
信号を渡り、コンビニを曲がるとそれっぽい建物が見えてきた。大輝も止まる。どうやらここらしい。
大輝が中に入る。俺も後を続いた。チェックインを手慣れた感じで済まし、部屋の鍵をゲットした。
エレベーターに乗り、部屋に入り、俺達はベッドにダイブした。もう夕焼けだからできることは限られている。
「葵。この後、行きたい場所がある」
「……そうか。でもこの時間に?」
「この時間だからこそ見れるものもあるさ」
窓を見ると、街灯が街を照らしていた。夜はまだまだこれかららしい。




