東京事故
「東京と言えば?」
店から出て、大輝が速攻で聞いてくる。そりゃ東京と言えばって言われたら思いつくだろう。
「あれ」
俺が指を指した先は東京スカイツリーだった。
「うん! そうだね!」
大輝はまたも俺の腕を掴み、東京スカイツリーまで連れて行った。スカイツリーの元までいくと頭を90度上に向ける。それでも、全貌は見えないが。
「上まで行くのか?」
「そりゃぁね。行かないと損だろう」
それはそうだ。券売機に移動した。人の列が長い。俺の気も長い。
「結構並んでるな」
「そりゃぁ、あの東京スカイツリーだぜ? 当たり前よ」
大輝は自信満々にそう言う。たしかに、大東京だもんな。
そしてついに、出番が来た。買った。3600円くらい。
「……これが、大東京、ね」
「そのとおり!」
たっか。うん。言ってはダメだけど高い!
そして、エレベーターもくっそならんだ。マジで暇だ。待ってる間に大輝とあっち向いてホイした。大輝のじゃんけん弱くて笑ける。
登ってる最中は意外と早くてびっくりしたよ。今、映画で騒がしてる小さくてかわいいキャラクターが画面に映ってた。俺も観たよ。初めて無情表で映画館を出た作品だ。
「意外と早いな」
「恐ろしいね!」
そう言った、大輝の目は好奇心でいっぱいだった。
ドアが開く。光が目に入る。
「まぶしっ……」
俺はつい、目を伏せる。その先に見えたのは……。
最高の景色だった。東京に留まらないくらいの景色がそこに広がっていた。
「すご! やばいな!」
「あぁ、そうだな」
正直、ここまでとは思ってなかった。足元のガラスのせいで足がすくむ。
「なぁ、大輝……怖くない?」
「大丈夫大丈夫!」
そう言いながら、俺の体を揺さぶってきやがった。最悪だ。下の地面が見える。落ちたらどうするんだ。
「ちょ……まって、ホントに……」
大輝は容赦がない。笑いながらそんなことされたらどうしたらいいのか。
しばらく満喫して、そろそろエレベーターに乗り込もうとした。
俺が先頭だった。俺がエレベーターに足を乗せた瞬間。
落ちた。




