難攻不落の小田原城
「よし! 小田原城行こう!」
「おー……」
なんだか、大輝の元気がない。そりゃそうか! 1時間くらい話したらそうなるか!
「で……? どのくらいわかった?」
「はい……かなりわかりましたよ」
「ならよかった!」
俺は大輝の背中をバシバシ叩く。なんだこの気持ち。相当嬉しいな。
俺達は今、広場に来ている。橋を渡って右方向のところだ。どうやら、なにかがあったらしい。
「ふむふむなるほど……こういう昔を再現するのも歴史……ね」
俺の目は輝いていたと思う。とても。大輝はいつの間にかニコニコと笑っている。どこか、悲しげだが。
「……どうした?」
「いや……なんでもない」
そう言って大輝は俯いた。そっか。まぁ、小田原城見てから問いただそう。
俺は俯いている大輝の顔を覗き込み目線を合わせた。そしてニコッと、
「まぁまぁ、今を楽しもう!」
と、声を掛けた。ただそれだけ。それ以下でもそれ以上でもない。
だが、大輝の目は少し光っていた気がする。まぁ、今はそっとしておこう。
「じゃ、行こっか!」
俺は大輝の手を引いて門をくぐる。何個も門があって、ようやくたどり着いた。
「……ちっさ」
俺は無意識にそう感じてしまった。大阪出身なもので、大阪城が常に比較対象にあるせいで、しょぼく見える。
「まぁ、そうだよね。城下町が凄いっていうことか」
俺の推測はあってるのかわからないが、一回そう、結論づけた。帰ったら答え合わせをしておこう。
俺達は長蛇の列に並んだ。お城は良心的な値段だからよかったよ。お城あるある言いたい。階段の途中で待たされる。
中に入ると意外と広い。博物館化されている。ムービーもあるし。
「えっ……氏康ってあんまり長くない……?」
「戦国無双は長く出てるからねー。少しは曲げないと」
「そ、そうだったのか……」
なぜか氏政さんは戦国無双ではモブだ。その代わり氏康が末永く陣取っている。寿命長っ!
「ほうほう」
「何読んでるの?」
「ん? 古文書だけど……」
大輝が俺の読んでいる資料に目をやると、いかにも嫌そうな顔をして目が合った。
「はは。そうだよな! わからんもんな!」
俺は再び背中をバシバシ叩く。その顔がストライクだったことは内緒にしよう。
そして、天守閣に登った。大輝は嫌々らしいが、そんなのは関係ない、不可抗力でしょ。
「おーいい景色」
「あ、あぁ……そうだね……ゆっくり……ゆっくり……ね?」
「何をそんなに慎重に!」
俺は小田原城の天守閣を満喫していた。それだけなのに。
「あ」
俺の下の床が、落ちた。




