いざ、小田原征伐。なんちゃって
俺達は箱根湯本駅まで舞い降り、小田原駅に向かっている途中だ。
「木、木、木……」
「なにやってるの?」
「木の本数を数えてる」
俺は暇すぎて、木の本数を数えていた。普通に酔かける。でもそれ以外、やることない。
「で……? 今何本?」
「1246本だけど」
「あ、ガチだ……」
大輝の顔は引いていた。それに引き換え俺は、木の本数を数えることに重点を置いていた。
しばらくすると、小田原駅についた。待ちに待った小田原城だ。といっても、少しは歩くが。
「着いたぁーー!」
俺は奇声をあげた。なんせ城に向かうのに素面ではやっていけないのだ。
「あいかわらずで……ちょっと歩くよ」
「りょーかい! いざ、小田原征伐へ!」
大輝に「随分と、乗り気だねぇ」と言われて笑われた。そりゃそうだ。アドレナリンでいっぱいだ。
小田原城までの道のりを歩いていくと、地面のある図形に目がとまった。
「おい! 見ろー! 三角形!」
「あー……北条さんね」
「そのとおり!」
そう。北条家の家紋が地面に刻まれていた。それだけで、頭の回転がフルスロットだ。パチンコなら777だろう。知らんけど。
「そういえば、パチンコはギャンブルじゃないらしい!」
「……? そ、そうなんだ……」
俺はテンションあがると、思っていることをなんでも口に出すタイプだった。そこはよく面倒くさがられる。
しばらく進むと、小田原城が見えてきた。と言っても横からの小田原城だけど。
「正面からみたいに決まってるだろぉ!」
そう言って俺が駆け出す。この瞬間だけはトップスピードだ。
荷物は心配ご無用! ちゃんとロッカーの中だ。いつの間に!? と思っただろう。はいそのとおりです。
「葵ー……速いってー」
大輝の声が遠くから聞こえる。ほんと、響きがいいなアイツの声は。俺はあんまり響かないからうらやましいよまったく。
走ってる間に、オブジェが置いてあった。
「ん? これは……なんだ」
「はぁ……はぁ……やっと追いついた」
大輝が肩を切らしながらこっちに駆け寄ってくる。中々珍しいな。いつもは余裕なのに。
「まぁまぁ。それよりこれ!」
俺は資料が貼ってあって、それの説明がズラッーと書かれている看板を指差した。
「難攻不落と言われた小田原城はやっぱりその固さにあるよね。特にここの……」
俺の饒舌が続いた。大輝は意外にもしっかりと聴いてくれていた。
周りの人は若干引いていたが。




