鎌倉と言えば
北鎌倉駅から鎌倉駅って徒歩30分らしいですね。勘違いしてました。まぁ、超人ということで。
今俺は、大輝の世話に手を焼いている。特に、走ってずっこけて顔面が砂だらけなので、海で顔を洗ってやった。
「目が……目が!」
「我慢しろ」
大輝は悶絶している。そりゃそうだ。海の水で顔を洗うっても、俺はそんなに器用じゃない。だから、目に水が入るのは当たり前だろう。
「あともうちょっとだ。あ、タオルあるっけな……」
「俺はないぞ!」
「奇遇だね俺も」
今日、大輝は顔面が濡れている状態で観光することが決まった。決定事項だ、うむは言わせない。
「なぁ、鎌倉と言えば?」
「鎌倉……?」
今回は俺が大輝に聞いてやろう。ここは歴史ファンにとっては、跳ねて喜ぶ地だからな。
「んー……神社仏閣」
「……まぁ、そっか。そうだよな」
「あと、江の島!」
「そこは外せないな」
確かに、鎌倉と言えば砂浜とか、江の島とか思うだろうね。その前に付き合ってもらうけど。
「そこも行くけど、ちょっと付き合ってよ」
「おー……おっけ!」
悩む時間もない。単純な大輝だからこそ、できる旅もある。
俺達は来た道を戻った。さっきと同じ光景過ぎて飽きてくる。と、思いきや大輝が一生話しかけてくる。こういう所は悪くない。
「ここらへん雰囲気いいな!」
「たしかにな」
どんどん歩いていくと、鶴岡八幡宮が見えてくる。その周りも雰囲気あるお店が沢山あって、なんともタイムスリップしたような感覚だ。
「階段すげぇな!」
「そうだな。なんでも世界遺産に登録されるかもしれないんだそう」
「そーなのか! すげぇ!」
多分ね。大輝の疑わない所は助かるけど、心配が勝つ。
とりあえず、階段を登ってお賽銭の前で儀式をした。何回するんだ、と思うが日本ならどこでもやるだろう。
「あ、待ってくれ」
「どうしたんだ?」
「御朱印だけ」
「……? わかった」
大輝はよくわからない顔をしていたが、俺は見なかったことにして御朱印を貰いに行った。
帰ってきた頃には大輝は暑さにやられた顔をしていた。残念ながら、日陰はない。
ただ、屋台が少しあったので、そこでカステラだけを買ったらしい。食べてないが。
「葵……これあげるよ」
「ベビーカステラ……? いいのか?」
「これ以上食べたら死んじまう」
俺はその言葉を聞いて「大袈裟だなぁ」と思ったが、顔を見る限り冗談じゃなさそうだ。
「はぁ……江ノ電乗ろうぜ。ちょうど冷房も効いてるだろ」
「たしかに!」
なんだ、元気じゃん……。




