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君たちの時代にいたい  作者: たかゆき宗也
【新人司令官と教育係】
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過去のカフェ・アマンダ

「私が新人教育を!?」

「そうだ、今年司令部に一人入るらしくてな」

「はっ! 承知しました!」


 

 1905年ルミエール国軍、司令室。

 黒と白のツートーンが入り交じった髪をした若い司令官は上官に新人教育を任されていた。




 僕の名前はシグロ。

 2年前からルミエール国軍に務めている、現在の階級は中尉だ。


 目の前の髭を生やした上官はニコニコと僕に近寄っきたと思えば、新人教育を僕に任せたいそうだった。


 司令部だから、戦死することはなくても100%安全な職って訳でも無い、情が移ると嫌だなぁ。

 

 ……って思ってたんだが。

 

 あの鬼畜上司がー!!!と目の前の新人を目にして叫ぶところだった。


「本日からルミエール国軍司令部に配属されました。ナオキです。階級は伍長です。よろしくお願い致します」

「僕はシグロ、階級は少尉だ。本日から君の教育係を任された、どうぞよろしく」


 震える声で挨拶を交わす。


 ナオキ・フォン・プロス

 代々ルミエール国軍司令部に所属してるエリート一家じゃないか。

 情も何も、頭の出来も、能力も僕より遥かに上なんじゃ?


 ナオキ伍長はじっっと見つめる僕を前にしても直立不動で、逆に怖い。


 ……本当に凄く、凄く気まずい。

 だが、それは相手の方が感じている事だろう。

 固くなりすぎず、かと言って近寄りすぎずに……。


 「ナオキ伍長、今日は顔合わせだけだ。親睦を深める為にも今度……」


 食事にでも、と思ったがまて。

 

 食の好みを知らん。

 そもそも休日、わざわざ食事に誘う上司とか嫌じゃないか?

 

 酒は距離が近くなるが、ぐいぐい行くのは後が怖い。

 趣味は知らんし、風呂はまだ早い。

 訓練以外の手合わせは漢!って感じはするが熱血過ぎる。

 

 なんだ? 何に誘うのが一番だ?


 悩んでいたのが顔に出ていたのだろう。

 ナオキ伍長が少々困惑した顔で口を開いた。


 「宜しければ近くのカフェでブランチでもしませんか」


「そ、そうだな! 店はどこがいい? そうだこの前若い司令官が新しい店ができたと言っていたんだ、行ってみないか」

「分かりました」

 

 表情筋を殆ど変えないナオキ伍長だったが、少なくとも嫌な顔はされなかった。

 社交辞令だとは思うが。


「お待たせしました。ブラートカルトッフェルンとコーヒーです」

「ありがとう」

「ありがとうございます」


 ブランチに来たのは最近オープンした、美味いと噂のカフェ・アマンダ。


 落ち着いた内装、穏やかな曲がレコードから流れている。


「……シグロ中尉、一つ気になる事があるのですが」


ナオキ伍長はカップ置くと据わった目で僕を見た。


「シグロ中尉はハドワ出身の方ですよね? 資料で拝見しました」

「あぁ、そうだ」


 何を改まって聞くかと思えば、僕の産まれの事だった。

 ハドワは東国(ルミエール)西国(ヘルツカイナ)が唯一、平和条約を結んでいた。


 西国(ヘルツカイナ)人ではないが東国(ルミエール)人でもない僕と二人で一緒に行動するのは、プロス家の長男として慎重になっているのだろう。


 性格の良さや気前の良さなどで、判断はしないだろう。

 少なからず能力も高いことを示さなくてはならないな。


「私の事が不安なのは分かる……そうだな、仕事ぶりで私がどのような人間かこの先判断してくれ。役不足であれば、教育係の事も私から上へ話を通そう」

「分かりました、ありがとうございます」


 僕の胃薬が無くなった事を除けば、その後のブランチは滞りなく終わった。

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