ビアンカの恋文
ある日の休日。
カフェ・アーホルンでアメッサはフレーバーティーを飲んでいた。
スカラーは店にアメッサしかいないことを良いことに、接客を放棄し隣に座っていた。
店の鐘が軽快に鳴った。
入店してきたのはビアンカの継母、ビアンカだった。
「スカラー! 手紙、届いたわよ」
「パピーからっ!? やったー!」
ビアンカの一言にスカラーは跳ねるようにしてビアンカの元に向かい手紙を受け取った。
「ふふーん、パパ大仕事が終わったんだぁ〜」
スカラーはふむふむと手紙を何回も読み返していた。
「なんてお返事する?」
ビアンカの質問にスカラーは体を捻り長考した。
「そうだなぁ、このお店の店長になったよーってのと、アメッサちゃんのことと、後は……もうすぐ収穫祭があるよってのを書いて!」
「私のことも書くのか?」
スカラーはどうやらアメッサのことも手紙に綴りたいそうで、アメッサは少し顔をしかめた。
「そりゃそーよ! だって初めての友達だもの」
「何処に送るのか知らないが、あまり私のことを書くと検閲で弾かれるからな」
「任せて頂戴、上手く書いておくわ」
これまでも元西国人であるスカラーのことも上手くやり取りしていたのだろう。
ビアンカはアメッサにウィンクをした。
手紙を執筆するからとビアンカは店の奥に消えていった。
「ビアンカさんの夫は遠方にいるのか?」
「そうだよ。マミーが若い時旅行先でパピーと出会って、それからずっと手紙のやり取りしてるんだって」
なんともロマンチックな出会いだとアメッサは思ったが、その言葉を飲み込むように紅茶を口に含んだ。




