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君たちの時代にいたい  作者: たかゆき宗也
6章 番外編
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アメッサの独り言

「アンジェ、アンジェ…………あった」


 ルミエール国軍司令部の一室。

 アメッサは書類棚から知り合いの衛生兵と過去の事件の資料を探していた。


「それと、確か13年前だったか」


 背伸びをし棚の上部へ手を伸ばし分厚い冊子を手に取った。


「1912年……ラントヴィル、女性………………これか」


 無数のページを巡り一つのページで手を止めた。


「君の名前はシユか」


 1912年はノイ戦線が開戦した年だが、開戦したのは12月。

 アンジェの友人が誘拐されたのは資料によると6月。

 冷戦状態でピリピリとした独特の空気は纏っていたが、ノイ戦線は突然始まった。

 そんな時に何故西国(ヘルツカイナ)から最も離れたランドヴィルで誘拐が?

 

 5歳の子供。

 労働力としても、実験体としても役に立たないだろう。

 人身売買や臓器売買か?


 いや、そもそも西国(ヘルツカイナ)人が誘拐したというのも憶測に過ぎない。

 小児性愛者の犯行という可能性もある。


「生きている可能性はほぼないが……」


 このまま停戦状態が続き、講和条約が締結されたとしよう。

 西国(ヘルツカイナ)は証拠隠滅のために捕らわれている東国(ルミエール)人を始末するだろう。


 

 我々、東国(ルミエール)の軍人は、西国(ヘルツカイナ)に勝つ為戦うのではなく、国民を守るために武器を持つ事を表向きに掲げている。

 

 綺麗事だが、自分達が侵略者となりうる行為は、『善良な東国(ルミエール)人』には賛否が別れる題材だろう。


 

 私がいたノイの施設は東国(ルミエール)に潜入するために自分が東国(ルミエール)人であるように生活をしていた。

 だからか、ノイの歴史など私にとってはどうでもいい。


 ナオキ総司令官が言うように、私が生まれた瞬間、ノイは西国(ヘルツカイナ)だった。

 ただそれだけだ。


 1925年現時点、私は東国(ルミエール)に住む西国(ヘルツカイナ)人だろう。

 では、今ノイで生まれた子は東国(ヘルツカイナ)人だろうか。

 この考え方でいくならそうなるが、世間は認めたくないだろう。

 

 もし今後ノイが再び西国(ヘルツカイナ)ものになったら?


「ハッ、なんだこの考えは、堂々巡りだろ。疲れているのか?」


 自身へ悪態をつくが、考える頭は止まらなかった。

 

 私達が東国(ルミエール)人と名乗るには余りにも歴史が許さず。

 西国(ヘルツカイナ)人と言うには余りにも西国(ヘルツカイナ)の生活を知らない。


 だからこそノイは見捨てられた。

 

 壁を建設するため、ノイ・チャイファル国境戦争も増援のない負け戦。

 殺される為だけに戦った。


 だからこそノイの西に難攻不落の壁が出来たんだ。


 

 それがどうだ、ヴァッサ方面とはいえ壁は爆発され、被害を受けた。

その作戦の立役者(立案者)がノイの生き残りだと後世で知れ渡ればとんだ因果応報。

 個人的にはとても清々しい。


 ……こちらとしても壁の建設をなんとしてでも止めない限り勝機は無い。

 本当だ。


「なんで私は自身に言い訳をしているんだ?」

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