思わぬ出会いは春の季語
王子に吸われているセレスティーネ。
どうやら王子にも悩みがあるようで……
事件は、春の暖かな日差しが降り注ぐ昼休みに起こりましたわ。普段はお友達と食事をすることが多い私ですが、今日は珍しく校舎裏の木陰でのんびりと過ごすことにしたのです。小さな花々が咲き、小鳥たちの鳴き声を聞いているうちに、つい居眠りをしてしまったのです。タヌキの姿で!
私ということが!それだけでも淑女失格ですわ!
「君は毛並みもきれいだし、汚れも虫もついていないみたいだね。誰かに世話されているのかな?」
そして、居眠りしている間に見つかったのでしょう。私はこの国の皇太子でいらっしゃるユリウス王子に捕まっていたのです!まあ、確かに学内にタヌキがいたら気になりますもの。私だって眺めたり触ったりするかもしれませんわ。ですが、なぜ王子は私のお腹にか、顔をうずめているのですか!死んだふり?死んだふりをするべきですの?!
「ふふっ。フワフワだね。ねえ君、もう起きているだろう」
なんでバレましたの!あああ。また吸わないでくださいませぇ。体臭には気を付けておりますが……。ちょっと、王子。こんなかわいらしいタヌキが貴方の顔を叩いて抵抗しているのですよ。少しは容赦するなり、逃がすなりしないのですか。
「ん~、ぽんた、ポン吉、ぽんたぬ。あ、ポンポンもいいね」
なんですの、その壊滅的な名づけセンスは。それに私は麗しのレディですわ。
「君は何がいい?ぽんた?それとも、ポンポンがいいかな」
「ピギャー!」
どれも嫌ですわ!はーなーしーてー!
「そうかそうか~、ポンポンがいいかー」
んなぜ!
「実はモフモフした動物が大好きなんだ。私も部屋で動物を飼えたらいいんだけど、王子としてのイメージがあるからダメだと止められてしまってね」
そんなことが……。勉強も運動も完璧で、さらに生徒会長も務めているユリウス殿下にそんな一面があったなんて。
「キュー」
「なぐさめてくれるのかい?君は賢いね」
別になぐさめているワケではありませんわ。ただ、公爵令嬢としての視線やイメージを気にして、本来の姿である化けタヌキの姿を隠してしまう私と重なってしまったのです。決してそんな、絆されたとか、そういったことではなく。
「ありがとう、ポンポン」
名前はポンポンで決まってしまったのですね。
ご覧いただきありがとうございました!
名前を付けられてしまいましたね~
これからよろしくね、ポンポン




