ようやく解放してくださったのですね!顔が赤い?熱中症かしら
お昼休みもあと少しで終わるかといったところで、やっっとわたくしは王子から解放されました。スタッと膝から飛び降りると、惜しむように手を伸ばしてきますが、気にしませんの。わたくしはそんなに安い女じゃないのですわ。
「久しぶりにゆっくりした時間を過ごせたよ。暇な時はいつも色んなことを考えてしまうから……よかったら明日も来てくれないかい?」
「キュー!」
またわたくしのことを吸うのでしょう!嫌ですわ!
これ以上止められる前に早く撤収してしまわなければ。タヌキの俊足をみせる時ですわ。
ふう、校舎影まで来ればさすがについて来ませんわね。この辺でいいかしら。その辺の葉っぱを頭に乗せてと。
「けほけほっ。散々な目にあいましたわ。授業が始まってしまう前に教室に戻らなければ。」
人の姿のほうが走るスピードが遅いですわね。淑女として走ってはいけないというのもありますが、こういう時はタヌキの姿になりたいと思ってしまいますわ。
「はっ!目の周り!」
教室に入る直前に気が付けてよかったですわ。ピカピカに磨かれた大理石の壁の反射で確認を……。よし、うまく変化できていますわね。耳も尻尾もありませんわ。
「セレスティーネ様。どちらにいらしていたのですか」
「すこし……外の空気を吸っていたのです。何かあったのですか?」
「いえ。今度の授業について教えてほしいところがあっただけですわ」
「それなら次の休み時間にお教えしますわ」
「ありがとうございます!……あれ?セレスティーネ様、お顔が少し赤いようですが、大丈夫ですか?保健室に行った方が良いのでは」
「えぇ!そ、そんなことはありませんわよ!あ、きっとあれですわ。太陽にあたりすぎて暖まってしまったのですわ」
「そうなのですね。春とはいえ、熱中症には気を付けなければなりませんね」
か、顔が赤い?!変化が上手くいっていなかったのかしら。なんということ!それもこれも、あの王子のせいですわ!時間があればちゃんと変化の確認ができたのに。もう、会いたくありませんわ!!
「きゅるるる……」
と、思っていましたのに!
「来てくれてありがとう。君、実は言葉が分かったりするのかな?」
「キュー!!」
なんで今日もここに来てしまったの!
ご覧いただきありがとうございました!
また昨日の場所に行っちゃったみたいですねえ。
しかもタヌキの姿で。




