表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
庭には3羽、ニワトリがいる。  作者: 優木凛々
第2章 片瀬邸

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/24

2026年10月15日 『旧友の姉』②

 

「実は、10年前から行方不明なんです」

「……っ!」



 驚き固まる優真に、女性が少し悲しそうに説明した。


 (みなと)は10年前に出かけたきり戻らなかったこと。

 警察も家族も散々探したが、それきり行方が分かっていないこと。


 優真は黙り込んだ。

 まさか自分の友人が行方不明になっているなんて思いもしなかった。


 何と言ったらよいか分からず困っていると、

 美咲が寂しげに微笑んだ。



「湊のこと、覚えていて下さってありがとうございます。もう、あの子のことを話してくれる人はいないので」



 優真は黙って頭を下げた。

 言葉が出ず、いそいそと美咲と別れを告げ、スーパーに向かう。



(まさか、あいつが行方不明だなんて……)



 落ち着かない気持ちのまま、優真は買い物を済ませた。

 足早に家に帰ると、卒論を書こうリビングに座る。

 しかし、どうも湊のことを考えてしまい、集中できない。



(……ちょっと調べてみるか)



 優真は検索バーにキーワードを打ち込んだ。

鷺ヶ首(さぎがくび)」「小学生」「行方不明」で調べると、ずらりと結果が出てくる。


 それらをながめていて、優真はふと2つの事件が混ざって並んでいることに気が付いた。

 とりあえず、一番上を開けてみる。



 ――――――――――――――――――

【鷺ヶ首市で小4男児が行方不明】

 2017年10月18日


 神奈川県鷺ヶ首市で、小学4年生の男児が行方不明となった。

 行方がわからなくなっているのは、同市に住む小学4年生・新倉湊にいくら・みなとくん。

 新倉くんは10月14日の午後、家を出たきり戻らず、家族が警察に届けを出した。

 警察はこれまでに、市内の公園や河川敷などを中心に捜索を行っているが、現在まで発見には至っていない。

 警察は事件に巻き込まれた可能性を含め、慎重に調べを進めている。

 ――――――――――――――――――




(これか……)



 優真は眉をひそめた。

 美咲に聞いてショックを受けたが、こうやって実際に見ると更にショックだ。


 日付を見ると、2017年10月18日。

 優真が埼玉に引っ越してから、約2か月後だ。



(あれから2か月後に行方不明になってたってことか……しかも、10月14日って俺の誕生日だし)



 偶然ではあるものの、友人が自分の誕生日行方不明というのは、気分的に複雑なものがある。


 そして、もう1つの事件の方を開いてみると、こんなことが書かれていた。



 ――――――――――――――――――

【速報】鷺ヶ首市で小2男児不明 海岸付近で足取り途絶える

 2018年8月21日


 神奈川県鷺ヶ首市で20日夕方、小学2年生の佐藤大樹くん(7)が行方不明となりました。

 大樹くんは友人と遊んで解散後、市内の海岸付近で目撃されたのを最後に行方がわからなくなっています。

 現場は離岸流が発生しやすい危険な海域で、警察と消防は海に転落した可能性も視野に、今朝から大規模な捜索を行っています。

 警察は、大樹君を見たけた人がいないか、広く情報提供を呼びかけています。

 ――――――――――――――――――




(……こっちは海難事故っぽいな)



 調べてみると、このあたりは海が急に深くなる「どん深」らしく、

 子どもの海難事故が多いらしい。



(俺はもう海で遊ぶような年齢じゃないからいいけど、子どもは注意しないと危ないんだな)



 都内ではないタイプの危険だな、と思う。


 ちなみに、湊もこの少年も未だに見つかっていないようで、

 地元警察のホームページに「行方不明者」として名前があった。



「見つかるといいけど……もう10年前だからな……」



 はあ、と思わずため息が漏れる。



 その後、優真は気を取り直して作業を進めた。

 しかし、何となく気が滅入ってしまい、集中しきれないまま、夕方を迎える。


 外は冷たい風が吹き始め、金木犀(きんもくせい)の甘い香りが漂ってきた。

 家の中の気温が下がったからか、天井のあたりから、パキッという家鳴りが聞こえてくる。


 優真は窓を閉めると、息をついた。



「……明日大学だし、早めに帰るか」



 片づけをして荷物を持つと、戸締りをして、電気を消す。



 そして、玄関でセキュリティを起動させると、

 雲が多い空の下、とぼとぼと都内の家へと帰っていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ