第9話 契約
「さて、これでお前も共犯だ。アルファとベータとの関係だが一言でいうのなら俺たちはあいつらのいる国からのスパイだ。」
「まぁ、そうだよね。」
「魔王側の情報をあいつらに流す代わりにメリオンが滅んだ後、新たに設立する魔物たちのための国を俺が統治する契約だ。」
「なるほどね。その契約を相手が守るとも限らなくない?」
「残念ながらそれはない。俺は情報を収集することに長けているが、それ以外にも1つスキルを持っている。スキル{契約者}簡単に言うのなら契約を必ず遂行させるスキルだ。」
「それでボクに外で言わせないようにするっていう条件をアルファたちがすぐに飲んだんだ。」
「そういうことだ。この力は大きな力の差の前には意味を成さない。具体的なところでいうと四天王以上は無理だな。だが、このスキルは強力だ。そのデメリットとしてスキル効果が有効でなくとも俺にはわからない。だからこそ、俺の情報を集める力、魔力を見極める眼と相性がいい。」
「なるほどね。それで、やるなら早くやったら?」
「そうだな。{契約者}レドルが命ず。金輪際この場で起こる事象をこの場以外の場かつ俺の居ぬ間に口にすることを禁ず。」
魔力が見える。魔法に近い力なのかな?その魔力がボクを覆いつくそうとして・・・
明らかに弾かれるような動きをして消えた。レドルには見えてないのかな?魔力を視るって言ってももしかしたらボクみたいに魔法を使う時に魔力が見えるんじゃなくてその人が持つ魔力量がわかる感じっぽいかな?
でもスキルの魔力が弾かれたってことは失敗したってことだよね?ってことはフランたちに共有できるじゃん。
「これで契約は完了だ。この契約は禁を破るとペナルティがあるのではなく、強制的に禁を破ることが不可能になるものだ。」
「なるほどね。すごい力だね。」
「褒められるのは悪い気はしないが、何も出ねぇよ。それじゃ俺はこれで。次回のアルファたちとの会合は5日後の同じ時間だ。必ず顔を出せ。」
レドルも部屋に戻ったことだしボクも戻って休もうかな。
部屋に戻ったら思わぬ顔がいた。
「レイじゃん。わざわざ部屋で待ってどうしたの?」
「フランちゃんは寝ちゃってるし私だけでも早めに情報をもらおうと思ってね。私こう見えてアンデッドだから睡眠は必要ないの。」
「そうなんだ。えっと、何から話そうかな。レイはレドルのスキルって知ってる?」
「いいえ。確かあの子スキルは持ってなくて技術だけで幹部にのし上がったって聞いてるけど。」
「なんか格下相手に強制的に契約を結ぶ力を持ってるみたいで、ボクもそれ使われて外でそこで会ったことを口外するなって言われたんだよね。」
「それじゃ、私は聞けないのかしら?」
「もしそのスキルが効いてるんだったらこのことすら話せてないって。」
「そうよね。ってことはヒヨリちゃんはレドルよりも格上、つまり私たち四天王以上だって証明されたわけね。」
「まぁ、そうでもあるかな?それで、なかであったことなんだけど、大体は予想通りだったかな。」
なかであったことを詳細にレイに伝えてみた。レイとフランならうまいことやってくれるでしょ。
「なるほどね。どこの国のスパイかとか言ってなかったかしら?」
「それは聞けなかったね。でもレドルを次期王にすることを確約できるならレドルのスキルが効かないくらいの実力者か、本当に契約を履行する気があるのなら勇者が所属する国じゃない?」
「そうよね。それにしてもおおよそ予想で来ていたとはいえ厄介ね。私たちの情報は基本向こうにすべて洩れているのね?」
「そうだと思うよ。唯一知られていないのはボクが本当に魔王だってことだけ。」
「ヒヨリちゃんが力のコントロールをできるようになるまで勇者たちが待ってくれればいいけどね。」
「そうはいかないでしょ。多分ボクを魔王として公表したらすぐにでも攻め込んでくるはず。異世界から召喚したって情報はあるわけだし。本物はすごい強いってことにしてるけどそれでもさらに力を蓄える前にって動き始めるはず。」
「そうよね。これに関しては四天王全員を集めて話すしかなさそうね。」
「一旦フランに判断を仰ごっか。」
「そうね。こういうことはフランちゃんに投げちゃいましょ。それと、今日来たのはもう1つ用事があったのよね。」
「何?」
「ヒヨリちゃんって魔力の制御がうまくいってないじゃない?それこそ今日の[ヘルフレア]みたいに。」
「そうだね。」
「その練習をしてもらおうと思ってね。訓練場に行きましょ。」
「うん。」
そこからレイに魔力制御の仕方を教わってなんとなくだけど分かった気がする。これまでボクがやっていたのと一番違ったのは魔法に魔力を込める意識。自分のイメージしたその魔法を再現するために何となくで魔力を使っていたんだけど、そうじゃなかったみたい。魔法っていう器に魔力を入れていくイメージ。昨日の[ヘルフレア]に関しては魔力を使いすぎだね。でも今、レイに教えてもらって感覚はなんとなくわかったかも。




