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異世界召喚が勇者召喚じゃなくて魔王召喚だったけど、魔王として頑張ってみようと思います  作者: 雲英侑李


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第6話 情報収集部隊長レドル

なんか魔法の練習をする気分でもなくなったから部屋に戻って自分の好きなように軽い模様替えをしてたらあっという間に夜は更けて朝になってた。


「ヒヨリ様、おはようございます。」


「おはよ。」


「魔法の練習でお部屋にいらっしゃらないかとも思いましたが杞憂だったようですね。」


「なんか獣人の人がいてちょっと喋ったんだけど、邪魔するのも悪いかなと思って部屋に戻ってきてゆっくりしてたんだ。」


「獣人?幹部となると・・・あぁ、レドルですね。情報収集を専門にする部隊の部隊長ですね。魔法も使うには使いますが、訓練場にいるのは珍しいですね。」


「使うには使う?結構すごい魔力を感じたんだけど・・・」


「他の方もいらしたのではないですか?彼が使えるのはせいぜい中級の魔法までだったはずですし。ただ相手の魔力量を直接見ることができる特別な目を持っていますね。」


「ボクも魔力は多いって言われたよ。やっぱり他の人でもいたのかな?」


「おそらく。」


「まぁ、いいや。今日はどんな訓練をするの?」


「レイから昨日の訓練については聞いていますが、私もこの目で見せてもらいたいので、まずは訓練場で見せてください。と、その前にお伝えしておくことがあります。」


「どうしたの?」


「現在、人間達の連合軍による軍事行動を我が国との国境付近で確認しております。先代魔王様の崩御が世界全体に伝わったことで強気な行動に出ているようです。」


「ちなみにだけど、先代の魔王様が亡くなったのっていつくらいなの?」


「ちょうど20日前です。」


「情報の伝達が発達してなければそんなものだよね。で、どうするの?」


「ヒヨリ様さえよろしければ予定よりかなり早いですが新たな魔王として戴冠式を執り行いたいと存じます。」


「いいよ。日程は任せるね。」


「よろしいのですか?人類の敵として明確な敵対目標とされることになりますが・・・」


「ボクを呼び出した時点でそうなるのは決まってたことでしょ?」


「それはそうですが・・・」


「別にいいよ。まだ3日目だけど、前の世界よりもこの世界にいる方が楽しいって感じてるし、そのくらいの方が強くならないといけないから訓練にもやる気が出るってものだよ。」


「そう言っていただけると幸いです。」


「いいって。まだまだこの世界の知識はないし、こんな感じだけど一応フランの上司みたいなものなんだから。」


「やっぱり人間みたいな言葉を使うんですね。」


「そう?魔族的にはどう言うの?」


「支配者という言葉を使うことが多いですね。やはり実力や才能主義な面が大きいですので。」


「そっか。でもボクは支配って言葉あんまり好きじゃないからフランとの間では使わないからね。」


「はい。それでは訓練場に向かいましょうか。」




廊下を歩いていると昨日の獣人、レドルとすれ違った。


「フラン様、おはようございます。そちらの方は・・・昨晩訓練場で会った方ですね。」


流石に四天王の前ってなると丁寧な姿勢になるんだ。しかもフランが連れていて幹部用の訓練場を使っているって情報だけでボクにもちゃんと姿勢を低くしてる。情報収集部隊ってことだったけど腕は確かかもね。


「レドル。おはようございます。そのお話に関してはヒヨリ様から聞いております。」


「ヒヨリ、様?四天王のあなた様が敬称をおつけしているということはそちらのお方は・・・」


「あなた達は召喚の儀を行ったことしかまだ知らなかったわね。こちらが召喚の儀でお呼びした新たな魔王様、ヒヨリ様です。」


「そうだったのですか。昨晩の無礼をお許しください。」


「いいよ。あの程度を無礼とは思わないし。」


「ありがたきお言葉。」


「レドル、魔王様と知らなかったとはいえ、無礼を働いた、と?」


「フラン、いいから。せいぜい敬語じゃなかったくらいだし、無理に敬語を使わなくてもいいと思ってるから。」


「ヒヨリ様がそうおっしゃるのなら。レドル、今後は気をつけるよう。」


「はっ。」


多少怪訝そうな顔をしていたレドルはそのまま解放され、ボク達は訓練場にやってきた。


「遅かったじゃない、フランちゃん」


「すみません。少しばかりレドルに指導をしておりました。」


「あら、何かあったの?」


「ヒヨリ様に無礼を働いたとのことだったので。」


「ってことはヒヨリちゃんレドルと会ったんだ。あの耳触りたくならない?」


「まぁ、もふもふして触り心地は良さそうだよね。」


「そうよね。頼んでも触らせてくれないのよね。」


「レイ、一旦無駄話は避けましょう。それに少し気になることがあります。」


「それは私も同感かも。」


「え、なに?」


「ヒヨリ様、あちらの隅を見て何か感じませんか?」


「なんか、魔法を使う時の魔力を集めてるのとは違うけど、魔力が見えるかも。」


「やはり、魔力が目で見えているのですね。私共は感じる程度のことしかできませんがそれでもかなり大規模な魔法が使用された形跡ですね。時間帯にもよりますが、ヒヨリ様のお話からすると・・・」


「ヒヨリちゃんのお話って?」


「昨晩レドルとここで遭遇したそうなのですが、その後大規模な魔力を感じたそうです。」


「感じたっていうか、壁を貫通して見えたんだよね。」


「どこから見えたか聞いてもいい?」


「えーっと、ここを出てちょっと右に行ったとこ。ちょうどそこの隅と廊下の間にある壁のある通路ではあったけど。」


「となると攻撃系の大規模魔法や儀式系ではなさそうね。」


「そうですね。それなら魔力が見えるヒヨリ様であればもっとはっきりと視認できるはずです。」


「具体的なことはわからないけど、レドルが怪しいわね。」


「実は昨日ちょっと話した時にも怪しいとは感じたんだけど、何か個人的な秘密とかだったら悪いと思って関わらなかったんだよね。」


「いえ。泳がせるという点で見てもそれで正解です。もう少し様子を見ましょう。しかしレドルなのが厄介ですね。彼に気取られずに接近するなど不可能です。」


「いや、ボクに考えがある。さっきレドルと別れる前、怪訝そうっていうかなんか不満そうな顔をしてたんだよね。でも多分レドルって上下関係にはしっかりしてるタイプでしょ?」


「そうですね。」

「そうね。」


「ってことは多分ボクが魔王っていうのを疑ってるんじゃないかな?魔力を見えるなら多分ボクの魔力コントロールって雑だろうし、実際もそうだけど、見てくれからも身体能力は高くないように見える。そんな奴が本当に魔王なのかって疑ってるんじゃないかな?」


「なるほど。それで、どうするおつもりなのです?」


「まず、フランからレドルに、ボクは対外的に発表するための魔王の替え玉だって伝えてもらって、本当の魔王とは後々顔合わせをさせるってことにしよ。そしてボクがレドルがやろうとしてることに関わる。」


「それなりの規模の魔法を扱える相手がいるのに?ヒヨリちゃんそれ大丈夫なの?」


「ボクはこれでも頭はいいし、話術だって優れてる方なんだよ。レドルみたいな序列を重視してる真面目なタイプを騙すくらい簡単だよ。」


実際彼は共犯になるかと聞いてきた。それにスパイ対策で城の中でもボクを魔王の替え玉にしてるってことにしても何も不思議じゃない。極めつけには彼は情報収集部隊の部隊長。誤った情報を掴ませておく方がリスクになる可能性もあるからボクが替え玉だという"事実"を伝えることもごく自然でしょ。

そしてあのタイプは格下をとことん見下してる。あくまでも替え玉、そして自分より弱い存在と見下している存在と2人きりの状態ならきっとあんな感じの態度をまた取るでしょ。

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