第5話 原子悪魔
訓練1日目が終わったわけだけど、今日を通して何個かわかったことがあるね。
まず、ボクは魔法を使うこと自体はできそうってこと。なんかレイの反応からしておかしい部分はあるんだろうけど、そこはおいおいかな。
次に魔法による身体強化は便利ってこと。もともとのボクの力だと横にあったよくファンタジーもので騎士たちが持ってそうな剣ですら持ち上げるのが限界だろうし、あんな大きい剣を持ち上げれるくらいならほかの部分を強化したらいろいろとできそうだね。
最後にボクは人間どころか生きてすらいなさそうってこと。今日1日活動し続けて空腹感すら感じてないし、やっぱり睡眠欲もない。ぶっちゃけ性欲もなさそう。異世界ものだとアンデッドは三大欲求を感じなくなってたりするけどボク、アンデッドなのかな?見た目はごく普通の魔族って感じ。角も生えてるしなんなんだろ?
「ヒヨリ様、少しよろしいでしょうか?」
「フラン?いいよ、入って。」
「失礼いたします。夜分遅いですがヒヨリ様の体質ならおやすみになってないと思い伺わせていただきました。」
「あ、ボクもちょうどそれについて考えてたんだよ。元々人間だったから食欲とか睡眠欲がないのってなんだか変な感じがしちゃって。」
「そうですよね。本日はそのご説明に、と。この世界にヒヨリ様を召喚する際、召喚の儀を執り行った我々にはヒヨリ様の種族のみが知らされました。」
「そうなの?で、その種族って何?」
「原子悪魔、本来であれば肉体を持つことのない悪魔族の一種です。数が少なく、肉体を持たないその性質から人間界では最も強い悪魔族として認知されています。」
「そうなの?ですが、このように・・・」
フランが手を握ってきた?当然だけど触れられてるね。
「ヒヨリ様には触れることが出来ます。つまり実態をお持ちだということです。睡眠欲や食欲などの欲求がないという原子悪魔の特性はお持ちでありながら、実態を持つ、私は悪魔族最上位の悪魔女王ですがこのような例は聞いたことがありません。」
「つまり、種族的にボクは特殊だってこと?」
「はい。実態を持つことで魔法以外の手段でも敵に干渉できますが、それは相手も同じことです。敵の物理的な攻撃を受け付けてしまいます。仮に現在の体がこの世界に渡る際に作られた依り代だとして肉体が崩壊したのち、原子悪魔としてこの世界にとどまることが出来るのかも分かりません。一般的に実態を持たない種族は依り代を失った場合、再び実体のない元の種族として野に放たれるのみですが・・・」
「なるほどね。まぁ、元の世界のボクとおんなじ見た目だし、この肉体は大事にするよ。」
「そうしていただけると。原子悪魔は本来魔法攻撃でしか傷をつけられない種族、人間側も魔法兵を大量に用意してくると考えています。」
「軍とかのことについてはみんなに任せるよ。そういうことに関してはボク素人だし。」
「お任せください。」
「明日からはフランもボクの訓練に付き合ってくれるんでしょ?」
「はい。ご一緒させていただきます。それではおひとりの時間をお邪魔しても申し訳ないので、私はこれで失礼いたします。」
「うん。いろいろ教えてくれてありがと。明日からの訓練楽しみにしてるね。」
「はい。私も楽しみにしております。もし、お疲れでなく、訓練をしたいのであれば夜間であっても本日レイが案内した訓練場は使用できますので、ご自由にお使いください。」
フランは帰っちゃったけどどうしようかな。体を休めてもいいけど、疲労感も感じないんだよね。なんだか不思議な感じ。どうせ部屋にいても暇だし魔法の練習でもしようかな。
夜中なのもあって廊下には誰もいないね。警備すらないけど結界か何かで守ってるのかな?って、そんなこと考えてたら着いたや。
「ん?こんな時間に幹部の訓練場に来るとは、誰だ?」
「こんばんは。」
「魔力量は多いようだな。すまないが、今は俺の貸し切りだ。使いたいなら10分後に来い。それとも俺の共犯になってリスクを負うか?」
「変なリスクは負いたくないしやめておこうかな。」
「賢明だな。名を聞いておこう。」
「ヒヨリ。別に覚えておかなくていいよ。」
「そうか。」
ここにいる時点で幹部なんだろうけど、今の獣人さん誰だろ?フランとレイですら魔力量を具体的にはわからないって言ってたのにまるで見えてるみたいな言い方するね。それに腰に双剣を装備してた。魔法の訓練場にいるのは不自然だね。
ん?さっきの獣人さんがいたとこあたりから変な魔力を感じるかも。ってか、壁越しでも魔力が見えてるって相当大きい魔法じゃない?こっそり戻ってみようかな。
いや、何か秘密があるみたいだし、今首を突っ込むのはやめとこ。あの言い方からして夜によくここを使ってるみたいだし来れば会えそうだしね。




