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異世界召喚が勇者召喚じゃなくて魔王召喚だったけど、魔王として頑張ってみようと思います  作者: 雲英侑李


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第4話 魔力による身体強化

[ウォーターボール]の練習を続けてるけど、なんでか一向にうまくいかないね。レイもなかなか戻ってこないし。イメージのほうが大事なのかな?

水球を作ってそれをまっすぐ的に向かって飛ばすようなイメージで・・・


「我が力の奔流に眠りし根源の水脈よ。我が声に応え、清流の水球を顕現せよ[ウォーターボール]!」


バシャ


水球が出来て、全然届いてはないけど的に向かって進んだ!けど、落ちる前っていうか空中で止まってはじけちゃった。何が原因なんだろ。


「ヒヨリちゃん、ちょっとは動くようになったみたいじゃない。」


「うん。でも空中で弾けちゃうんだよね。」


「そうね。本来は詠唱をしたら対応した魔法が出るはずだからヒヨリちゃんみたいに難しく考えることもめったにないんだけどね。」


「魔法の才能はないのかな?」


「いいえ。魔力量は確かに多いみたいだし、そうじゃないんじゃないかしら?やっぱり異世界から来たせいで法則が少し崩れちゃってるのかしらね。明日からフランちゃんも付いて2人でいろいろ考えてみるから今日は魔法について知識をつける日にしましょ。仮に魔法が使えなくても相手が使ってくることがあるなら覚えておいて損はないでしょ?」


「そうだね。うん、分かった。」


ってことで一日中魔法について教え込まれてきた。詠唱についてだったり、詠唱に対応した魔法があることだったり。魔力の操作法についても教えてもらって大体理解はできたかな。


「って感じなんだけど、何かわからないことはある?」


「とくにないかな。しいて言うならさっき言ってた魔力による身体強化が気になるかも。」


「まだ少し時間もあるしそれを教えたら今日は終わりかしらね。せっかくだし実践してみましょうか。」


今度連れてこられたのは魔法用ではなくて剣術用の訓練場みたい。


「ここは剣術訓練場よ。といっても幹部たちしか使えない場所だから大体は空いてるわ。」


「へぇー。幹部用とそれ以外でちゃんと分かれてるんだ。」


「お互いにいい影響がないもの。ってことで魔力による身体強化ね。まずはこの剣、持ってみて。」


指を刺された剣を見ると、結構大きい。こんなのゲルくらいの体格の人でも扱うの難しいんじゃ・・・


「これ?すごいおもそうなんだけど・・・」


「いいから。」


手をかけてみるとそれだけで重厚感が伝わってくる。そして持ち上げようと、力を入れると・・・


「重っ!」


「でしょ?まぁ、見た目からわかってただろうけど、この剣はこの魔王城にある一番重い剣よ。ゲルが実戦で使うのはこれに近い重さだと思うけどね。」


「そう考えるとゲルってすごいね。で、これが魔力で身体を強化するのと何の関係があるの?」


「その前に見てもらいたいのが、私がこれを引き抜けるかどうか。話しながらだからあまりそう見えないかもだけど、結構力を入れてこんな感じでびくともしないの。でも、魔力での身体強化を最大までかけると・・・」


レイの体がぼんやりと光ってる。これが魔力での身体強化なのかな?しかもあの剣が少しずつ持ち上がってる!


「さすがに完全に持ち上げたり振るったりはできないけど、こんな感じで動かすくらいはできるようになるわ。もともとの自分の身体能力も関係はあるけど。ヒヨリちゃんは身体能力に自信がないって言ってたわよね?」


「うん。前の世界では人間の中でも最下層って感じかな。」


「そんなヒヨリちゃんでも身体強化を使ってる間だけは人間では到達できないくらい強靭な肉体になれるわ。」


「そんなに?」


「えぇ。ただ、1つだけ難点もあるわ。」


「難点?」


「えぇ。見せたほうが速いわね。我が力の奔流に眠りし根源の水脈よ。我が声に応え、清流の水球を顕現せよ[ウォーターボール]!」


剣術用の訓練場で魔法を使っていいのかな?でも、水球が飛ぶどころか水すらできてない?


「あれ?魔法が出ない?」


「これが難点よ。身体強化中は他の魔力を使ったスキルだったり魔法が使えなくなるのよ。だから魔法使いとしては逃走用の最終手段っていうのがこの世界での常識ね。たまに魔力量が多いのにもともとの身体能力に秀でてて身体強化を前提にした剣士とかもいるけど、大抵は身体能力に優れた人間ね。そういう子が相手になると四天王でも苦戦するくらい強いわよ。」


「そんなになんだ。」


「勇者は魔法も使えるってことだったしもし直接戦うようなことになったら警戒しておいてもいいかもしれないわね。」


「覚えておくよ。ボクにもできる?」


「これはちょっとコツがいるけど、ヒヨリちゃんならできるんじゃないかしら?さっき魔法を使う時に自分の胸あたりから魔力を引き出して使ってたでしょ?」


「確かにそんな感じ。」


「その魔力を外に引き出すんじゃなくて腕とか足、体の強化したい場所に流し込む感じ。魔力の流れる感覚はさっきつかめたでしょ?」


「うん。ちょっとやってみる。」


腕に向かって魔力を流し込む。さっきのレイみたいに腕が光りだしたかも。でも感覚的には特に変わった感じもないんだけど・・・


「感覚だとできてるかわからないわよね。さっきの剣を持ってみて。」


「やってみる。」


剣の柄を握るとさっき持った時とは違う感じ。なんか持てそうな気がする。


ギギギギ


もともと専用の台に置かれていて、そこから引き抜こうとしているせいでこすれて嫌な音が鳴ってるけど、何とか引き抜けた!レイよりもうまくできてるのかな?それともレイってボク以上にすっごく非力?


「すごいじゃない!私でもちょっと持ち上げるのが限界なのに。」


「そうかな?エヘヘ~」


そのあとはひたすら褒められて今日の訓練は終わった。




と、そんなことを考えて訓練を受けていた魔王に対してレイは違う感想を抱いていたようだ。


「またですか、レイ。」


「だってヒヨリちゃんに常識が通じなすぎるんだもの。それに明日からはあなたも見てくれるんでしょ?情報の共有は大事じゃない。」


「情報の共有が大事だと思うのなら普段からもっと徹底してください。まぁ、仕事を片付けながらで良ければ聞きますよ。」


「それじゃ、お昼に話した後のことからね。戻ったら私のいないうちに練習をしてたみたいなんだけど、ちょうど魔法を使った瞬間でね。水球がちょっと前に動いたかと思ったら空中で弾けたのよ。」


「弾けた?その場で落ちるだけでも十分不思議なのに、本当なんですか?」


「この目で見たもの。しかも弾けた水が1つ1つ鋭い針みたいになってたし。」


「つまり、あなたはヒヨリ様に複数人を同時に攻撃するような魔法を使用できる才能があると考えている、と?」


「そういうことよ。しかもそれだけじゃないの。そのあとは座学でいろいろ教えてたんだけど、ずっと聞いてるだけなのも退屈だろうし、ヒヨリちゃんが知りたいって言ったのもあって身体強化について教えたのよ。」


「いいじゃないですか。魔力操作の基本の1つですし。」


「それが、剣術訓練場のあれを引き抜いちゃったのよね。」


「は?本気で言ってます?ゲルが本気を出してやっと振るえるかどうかなレベルのあれを?」


「そうよ。」


「なんというか本当に規格外なお方ですね。」


「でも本人には自覚がないんじゃないかしら。だからあくまでも悟られないようにお願いね。」


「そうですね。才能は自覚すると成長を止めてしまうこともありますし。」


「そういうことで、明日からお願いね。」


「まだまだヒヨリ様は私たちを驚かせてくれそうですね。」

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