第27話 勇者との戦い
「衛兵さんちょっといいかな?」
朝から四天王たちにはボクにかかわらないよう指示を出しておいて、今はお昼頃。準備は整った。
「いかがいたしましたか?」
「四天王全員にここに集まるよう伝えてきて。勝手に入れちゃっていいから。」
「かしこまりました。伝令いたします。」
いまみんながいる場所は多分いつもの仕事場だろうから、一番ここから近いのはフランかな?大体2分もあれば来るだろうね。フランが着くちょっと前に出立しようかな。
「失礼いたします。って、本当にいないんですね。この板?は何でしょう?軍勢のようなものが描かれていますが・・・」
「入るわね。フランちゃん以外ちょうど一緒にいたからみんな一緒なんだけど・・・ってヒヨリちゃんは?」
「いないかもしれないと指示されたときにはおっしゃられていましたが、本当におられないようですね。」
「この板はなんだ?」
「分かりません。私が来た時にはこの状態でした。」
『ちゃんと映ってるかな?』
「ヒヨリちゃん!?」
「絵が動いたぞ!」
「魔法通話でもないでしょうし、どういうことでしょうか?」
「私もこのようなものは見たことがありません。」
『多分びっくりしてるだろうけど、そっちの声は聞こえないんだよね。これはとある場所の風景を映し出してるんだ。もちろん今現在のね。ボクの作った[スクリーン]っていう魔法の効果。魔法の権限はカイルに移しておいたから多分カイルが念じれば視点は動くと思うよ。』
「やってみます。」
「おぉ!本当に動いたぞ!」
『魔法の気配からして成功したみたいだね。それじゃ状況を説明するけど、今見えてるのはおとといボクが侵攻を遅らせた勇者の軍。今はちょうど国境にいるよ。それで、おとといのことで隠してたことがあるんだけど、ボクと勇者の一騎打ちを約束しちゃってたんだよね。多分みんなに話したら止められるだろうと思って黙ってたんだけどね。ただ、倒したってだけじゃ信憑性もないでしょ?だからこうやって実際に見れるようにしたってわけ。ここでみんなが何を言おうと聞こえないし、ここからボクは戦闘に集中するからこの魔法は勝手に使ってもらって構わない。それじゃ。』
「カイル。追え!」
「分かっています。」
「勇者と一騎打ちだなんて・・・ヒヨリちゃん、大丈夫かしら?」
「今は信じるしかないでしょう。この映像は必要ですが、援軍に行こうとしてもそれを実現できるカイルに魔法の管理権限を渡されていますし。」
「そうよね。ヒヨリちゃんの強さだものきっと大丈夫よ。」
って言ったはいいけど、実は向こうの声聞こえてるんだよね。そうでもなきゃみんなが入ってきたタイミングで声をかけれないよ。まぁ、ここからはオフにさせてもらうけどね。さすがに戦闘中に声が聞こえてきたら集中するどころじゃなくなっちゃうし。とりあえず[フェイクカバー]を解除して・・・
「何者だ?天使の格好をしてふざけているのか?」
「そっちがボクを呼び出したんでしょ?」
「呼び出した?」
「名乗るべきかな?ボクは悪魔天使のヒヨリ。君に分かるように言うのなら魔王ヒヨリだよ勇者レイロス君。」
「貴様が魔王?そんな馬鹿気た格好をした魔族がどこにいると?」
「ここにいるじゃん。それにこの姿はボクの魂の姿を形にしたもの。どっちかっていうと受肉した精神生命体に近いんだけどね。」
「そうか。どうやらふざけているわけではないようだな。確かに悪魔の気配を感じるのも事実だ。」
「やっと信じてもらえた?それで、一騎打ちって言うことでいいのかな?ボクとしては後ろに控えてる軍全部を同時に相手取ってあげてもいいかなって思ってるんだけど。」
「随分と俺のことを舐めているようだな。」
ザンッ
速い!けど、魔法で全身を強化したボクからしたら遅すぎる。でも本気ではないみたいだね。
「何!?」
「その程度の遅さじゃ当たらないよ。もっと本気できなよ。」
「化け物が・・・!」
「そうだよ、ボクは化け物だ。それもとびっきりのね。でもそれはお互い様じゃない?」
「それもそうだな。俺も化け物だ。魔法を使わせる隙すら作らない。いくぞ!」
超高速の連撃!確かに普通なら声を発することすら厳しいかもね。ただ、今のボクには関係ない。けど、試したいこともあるし、魔法はまだ使わない。
「えいっ!」
「危なっ!舐めた攻撃しやがって!」
石をいくつか投げつける。もちろんタイミングを見計らってちょうどいいタイミングで。
避け続けるボクが面倒になったのか、一旦勇者が足を止める。
「てめぇ、俺を舐めてるのか?」
「そんなことないよ。実際ボクも本気にならないと避けれないくらいの攻撃速度、それは脅威だよ。でもね、ボクは君以上に化け物なんだよ。ただそれだけの事。」
勇者が剣を構えて一歩前に出る。それと同時にさっき投げた石に足が触れる。
ボゥ
勇者の体が唐突に燃え始める。あんまり効いてなさそうかな?
「なんだ、これは・・・?」
「ただの[ヘルファイア]だよ。でもやっぱり君自身に魔力障壁がかかってるんだ。それを確認できただけでも上出来かな。」
「俺が問いたいのはそういうことではない。なぜ、貴様からではなく地から炎が発生したのかと聞いている。」
「知りたい?まぁ、教えてあげないけど。」
すでにあの石には魔力が発動ギリギリまで込められてる。あとはそこに衝撃が加われば自動的に発動しちゃうってわけ。そして仕掛けた[ヘルファイア]はあれ1個だけ。残りは全部[テレポーテーション]だから踏んだ瞬間に強制転移させられちゃう。
デフォルトではその座標ははるか上空に設定してる。ボクが触れちゃったとしても一瞬で転移して帰ってこれるし何なら転移座標も自由に決めれるけど、勇者はそうもいかないでしょ。
「答える気がないのならいい。俺に魔法が通用しないならどう戦うんだ?」
「そんなの近接に決まってるじゃん。」
なわけない。魔法が効かないからこそ魔法で倒すんだよ。
それでこそ本当の勝ちだと思うから。
「俺に近接で勝てる生物なんて存在しねぇよ!」
一瞬で背後に回られた!?でも問題ない。
キィィィィン
「な、指1本で・・・」
「これは[ハード]って魔法。ボクが創ったものだよ。体の好きな部位をものすごく硬い金属質にするっていうね。」
「チッ」
「まぁ、そう不機嫌にならないでよ。事前に忠告しとくけど、ボクの魔法は万能なんだ。どんなことだってできるんだよ。」
「どんなことでも、か。なら俺の魔力障壁を魔法で破ってみろよ!」
そういいながら切りかかってきた!




