第26話 ネタバラシ
「これより第126代魔王様の戴冠式を執り行います。」
魔王量の国民がほぼ全員集まってくるって聞いてはいたけど、すごい数だね。王都を埋め尽くす勢いだよ。
「崩御された先代魔王カリオル様の名代として四天王カイルが戴冠の儀を執り行わさせていただきます。魔王ヒヨリ様、こちらへ。」
今日の流れはほとんど聞いてないんだよね。基本的にボクがすることはないとだけ聞いてるんだけど・・・
「魔王ヒヨリ様。僭越ながら先代魔王様カリオル様の名代として四天王カイルの名において第126代魔王として任命させていただきます。どうぞ、民にお言葉を。」
聞いてないんだけど・・・まぁ、いっか。
「みんな、ボクはヒヨリ。魔王ヒヨリだよ。ボクはこの世界を人間と魔族が本当の意味で共存できる世界を創ってみせる。この中には人間に対していい印象を持ってない者もたくさんいると思う。けど、人間って多分みんなが思ってる以上に良い生き物だし、面白いものだから。ボクはもともと異世界の人間だからね。きっとみんなが人間と楽しく暮らすことが出来る世界を創って見せるとここに誓うよ。」
すっごい歓声が聞こえてきたけど、多すぎてもう何言ってんのかよくわかんないや。
「これにて第126代魔王様の戴冠式を終了とします。面会を希望する貴族は魔王城へと集結せよ。」
ってことで今度はたくさんの貴族たちとの面会が始まっちゃった。フランとカイルが対応してくれることもおおくて ボクが話すことはそこまで多くなかったけど、魔族ってどうも強さが絶対的な指標みたいで力比べを申し込んでくる人が多かったからちょっと大変だったね。四天王が応じるって言ってもその四天王よりボクが強い証拠がどこにあるんだ、って言われてね。だから本気を出さない程度に身体強化だけで倒しておいた。
色々と大変ではあったけど、1日はあっという間に過ぎて行って、面会が終わったころには夜も遅く、レドルを呼び出した時間が近づいてた。
コンコン
「どうぞ。」
「来てやったぞ。」
「ありがと。」
「随分とお疲れだな。あぁ、貴族連中との面会か。」
「そ。ついさっき終わったところだよ。」
「本来の魔王のためにご苦労なこったな。」
「今日呼び出したのはその件なんだよね。」
「本来の魔王、についてか。勇者から視覚共有で姿は見せてもらったが。」
「勇者本人と話したんだ。」
「あぁ。今日は俺は自由だったからな。」
「だろうね。例のことは勇者に伝えた?」
「あぁ。警戒しておくとは言ってたぞ。」
「ならよかった。」
「お前はなぜ魔王を裏切る?」
「そうだね。聞きたい?もうそろそろ話して問題ないころ合いなんだよね。っていうか今日はそれを話すために呼んだわけだし。その前に、魔法訓練場に移動しよっか。」
「なぜだ?」
「そのほうが都合がいいから、かな。ここは衛兵に声が聞こえてたっておかしくない部屋だし。」
「それもそうだな。」
ってことで魔法訓練場に連れ出した、ちゃんと理由がある。
パチン
魔法訓練場について、ボクが指を鳴らすと結界が展開される。
「この結界は?」
「内部のを遮断して出入りを禁ずると同時に結界の管理者以外が内部での魔法の使用が出来なくなる結界。ボクが作ったものだよ。」
「作った?」
「ボクはね。魔法を複数のターゲットに当てれるだけじゃなくて、無詠唱で使えるんだよ。そのうえ好きな魔法を創ることだってできる。」
「そんなわけあるか!そんな力もはや・・・」
「『神』の領域とでも?」
「ぐっ・・・」
「その通り、ボクのスキルは{全能神}。ボクの元居た世界では全能の神とされている神の名前を冠したスキルなんだよ。その力はこの世のすべての法則を無視して自分のイメージを実現させる。まさに全能のスキルってワケ。」
「俺の支配も効いていないってわけか。」
「よくわかったね。その通り。レドルのスキルはボクに何の効果も及ぼせてない。それどころか君らのスパイ行為にボクがスパイをしていた。まぁ、それに関しては疑われてたみたいだけどね。問題はそこじゃない。魔王自らスパイ行為をしていたってワケ。」
「偽りの魔王がよく言うぜ。」
「ここまで言っても分からないかな?それならこれはどう?[フェイクカバー]」
勇者の見た『魔王ナナ』の姿に変化する。
「そ、その姿は・・・!」
「ようやく理解した?本来の魔王、魔王ナナなんて存在しない。魔王ナナはボクが姿を変えて偽名を名乗っただけの存在なんだよ。」
ガンッ
「逃げ出そうとしても無駄だよ。さっき言ったでしょ?内部の音の遮断と出入りができない結界を張ったって。明日、勇者との戦いが終わるまで眠っててもらうためにね。このままここを封鎖してもいいんだけど、四天王の管理下に置くほうが楽かな。それじゃちょっと待っといて。」
「カイル、今いい?」
「ヒヨリ様?いかがなさいましたか?」
「ちょっとレドルをボクがいいって言うまで拘束しておいてほしいんだけど頼んでもいい?」
「レドルを?かしこまりました。」
「いま、魔法訓練場に結界で閉じ込めておいたから。拘束したら結界を解除するから。」
「もしや例の件がバレたのですか?」
「似たようなところ。でも明日にはどうにかするから明日中拘束をお願い。」
「分かりました。私自ら監視をしておきましょう。」
ってことでそこからはサクっとレドルを拘束してカイルに引き渡した。一応レドルだけ出入りが出来なくなる結界を張っといたから脱出はできないでしょ。
ってことでついに勇者との決戦の日を迎えた。




