第21話 化け物
色々と魔法に関して話してるうちに朝になっちゃったみたい。誰かから四天王がここに集まってることを聞いたみたいでゲルもやってきた。
「お前ら、何やってんだ?」
「ヒヨリちゃんが魔法の実験をしたいってことで呼ばれてそのあといろいろ魔法について話してたのよ。」
「実験だぁ?」
「まぁ、結果については後で見せてあげるよ。」
「そうだな。早朝からで悪いがさっそく今日の1つ目の依頼に向かいたいんだがいいか?」
「私は構いません。ヒヨリ様は?」
「ボクも構わないよ。これといって準備することもないし。」
「それじゃ決まりだな。カイル昨日言っておいた順に終わり次第転移してくれや。」
「分かっていますよ。それでは転移します。」
「ここは?」
「今日回る場所は多い。いちいち場所の名前なんざ気にしなくていいぜ魔王様。」
「分かったよ。それで、ここでは何が?」
「勇者と内通していると公言した魔族がいるんだとさ。そいつがこの街にいた戦力を全部幽閉してるって話だ。」
「ここは人間領と魔族領の境、その魔族領側なのです。」
「なるほどね。ここの戦力を無理に従わせて人間側の戦力をさらに増強しようってことかな?」
「おそらくはな。それだけの戦力を1人で幽閉できるとも思えねぇ。本人の実力がすさまじいのか、その戦力すべてが勇者側についているのか・・・」
「そこまでは現状ではわかりませんね。ですが、それも本人を捕縛すればわかる話。」
「そうだね。この小屋?」
「あぁ。せっかくだ、魔王様の力を見せてくれや。」
「その前に、ここはカイルに任せるよ。小屋を対象にやってみて。」
「かしこまりました。[ウィンドカッター]」
あの後、カイルには対象の取り方についても少し教えてみた。飲み込みが速くてあっという間に無機物を対象に取れるようになったみたい。相変わらずフランたちにはできなかったけどね。
あっという間に小屋は砕け散っちゃったね。
「何奴!」
「思ってたよりも手荒な真似をしてるみてぇだな。」
小屋の中は戦力なんかじゃない。子供と女の人ばっかりじゃん。人質に取ってたみたいだね。
「魔王軍四天王カイル、ゲル。あなたを捕縛しに参りました。」
「まさか四天王様直々に出てくるとはなぁ。それも2人も。そこのちっこいのは何だよ。」
「ボクのことかな。口の利き方には気をつけなよ。これでも貴方よりは強いんだから。」
「てめぇ程度の悪魔が俺より強いだぁ?笑わせてくれるな、小娘が。」
「事実だもん。自身があるならかかってきなよ。ボク1人で相手をしてあげるよ。」
「舐め腐りやがって・・・!」
ギィィィィン
突然の金属音?それも剣と剣がぶつかるような・・・
「おいおい、タイマンだってのに当然のように分身をだすとはな。」
「なるほどね。カイル、あれってスキル?」
「いえ。おそらくは特殊魔法でしょう。使用者の限られる魔法です。」
「なるほどね。ゲル、止めなくていいよ。その程度なら問題ないから。」
「だが・・・」
「ゲル、ヒヨリ様がああおっしゃられているんだ。手を止めるんだ。」
「わーったよ」
「俺と俺のドッペルゲンガーを相手に勝てるとでも錯覚してるのか?剣士相手にウィザードが1人で。」
「それがここの常識なんだろうけど、ボクを相手にはそうもいかないよ。ほら、かかってきなよ。」
早く魔法を試したいのに全然来てくれないじゃん。来てくれないと試せないのに。
「それなら行くぞ!」
高速移動からの両サイドからの挟み撃ち。やるね。まぁ、これなら身体強化だけで受けれるけど・・・
ギギギギギギギギ
「何!?」
「どう?驚いた?ボク、さっきの不意打ちを見てから常に自分の周りに小さい[ウィンドカッター]を無数に発動させてるんだ。小さい魔法は魔力の消費もそこまで多くないからね。それを並列して発動してるの。どう?」
「ハッタリを。魔法を同時にそれも常時発動するなど・・・」
「まぁ、信じられないだろうね。いいよ。それじゃ特別にそれを証明してあげる。」
[ウィンドカッター]を解除すると同時に身体強化で強化してた身体能力で一気に抜け出してみる。もちろん身体強化と通常の魔法の同時使用に関しては攻略してる。どっちも今のボクにできる最高の精度を保って発動できる。
「身体強化か。だが、その状態になった以上魔法は使えまい。」
「そう思う?なら試してみよっか。[ウォーターボール]」
高速で移動しながら敵周囲全体に[ウォーターボール]を配置して・・・
「小癪な・・・」
ぶつかると同時、一番視界が悪い状態で背後に接近。
「小癪って何が?」
「何!?」
「だから言ったでしょ?複数の魔法を同時に使用できるって。それには身体強化も含まれてるってだけ。」
「ば、化け物が!」
「そうだよ。ボクは化け物だよ。」
フランとかレイの魔法についての話を聞いてようやくボクは理解できた。ボクはこの世界のパワーバランスを脅かす化け物、いやまごうことなき『魔王』だ。




