第16話 四天王会議
「貴方から呼び出しとは珍しいですね、カイル。」
「そうね。それに四天王全員だなんて。」
「まぁ、聞こうじゃねぇか。カイルから呼び出しってこたぁ、よっぽどなことなんだろ?」
「ゲル以外の2人からしたらたいしたことではないかもしれませんが。本日私は珍しくスケジュールに大きな空白がありまして、ヒヨリ様の訓練が終わったとお聞きして先日のレドルの件に関してすり合わせともう1つ用事がありましたので、ヒヨリ様のもとを訪ねました。」
「レドルの件で何かあったのかしら?」
「まずはそちらから。結論としては、ヒヨリ様とは別の世界から召喚された魔王が本物の魔王であり、その魔王はこの世界に存在していない魔法を操る。ヒヨリ様は魔王候補として召喚されたもう1人であり、表向きにはヒヨリ様を魔王として公表する。という筋書きになりました。情報部隊とかかわることはないでしょうが、一応頭に入れておいてください。」
「分かりました。ヒヨリ様とレドルの関係に変化は?」
「多少レドルが疑いの目をかけているとのことですが、おそらくは問題ないでしょう。」
「それならいいじゃねぇか。わざわざ呼び出すほどのことか?」
「いえ。本題はそちらではありません。その話の中でヒヨリ様の魔法に関するお話をお聞きし、興味を持ちまして、私物の魔力回復ポーションで魔力を回復していただき、本日の朝に魔王城に届いた依頼に同行していただき魔法を見せていただきました。」
「そういうことですか。確かにヒヨリ様の魔法は異質ですし絶大なものですが・・・」
「そういう次元でしょうか?約50体いた虫型モンスターに対して無詠唱しかも一度の魔法で対処したのですよ?」
「無詠唱?」
「昨日の夜練習してたんですって。たった1晩でこの世界ではありえないことを成し遂げたらしいわ。」
「レイは今日の訓練で見ていたようですが、さすがの私でも理解が追い付きませんでしたよ。」
「無詠唱で複数に魔法を命中させる、か。確かに化け物だな。かの魔神でもそんなこたぁ出来ねぇだろうによ。」
「そうですね。まさか詠唱まで省略してしまうとは。」
「まだ話は終わっていません。ヒヨリ様に50体を対象にした[ウィンドカッター]を魔力が全快の状態であれば何回使用できるかと聞いたところ30回とおっしゃられました。そのうえ、フランやレイには劣るでしょうが、人間の老魔術師以上の精度でありながらまだ精度が悪いというのです。」
「それは私も同感。あれだけの精度であれだけの回数使えてまだまだっていうとは思わなかったわよ。」
「今更だが、複数に命中させるってのがよくわからねぇんだがどういうことだ?」
「厳密にいうと複数に命中させているというよりは1度の魔法ですべての対象にその魔法の効果を発動させていると言うほうが正しいでしょう。[ウィンドカッター]を見せていただきましたが、すべてのモンスターそれぞれに対して多少威力は下がっていましたが[ウィンドカッター]が発動していました。」
「なるほどな。」
「ヒヨリちゃんに関してもう1ついいかしら?私が一度魔力による身体強化を教えた日があったんだけど、剣術訓練場のあれ『あれ』を引き抜いたのよね。」
「俺でさえ振るうのがギリギリの代物だぞ?見間違えではないのか?」
「そんなわけないでしょ。この目で見たんだから。それに今の魔力効率、精度なら『あれ』を余裕で振るえるようになってるんじゃないかしら?」
「まさか、そんな・・・。いや、ヒヨリ様ならありえそうですね。」
「確かに。私も今日初めて魔法を見ましたがあれはなんでもありって感じですよ。」
「私とフランちゃんはヒヨリちゃんの訓練の情報共有のためにちょくちょく話してたんだけど、その中でヒヨリちゃんのスキルの話になったのよね。」
「スキル、ですか。今日のヒヨリ様を見るまで自分のスキルを超えるスキルは見たことがありませんでしたが、あの方は別格でしょうね。」
「えぇ。魔法の法則を自在に書き換えるスキル、という可能性もあるとは思ったのですが、都合のいいタイミングでスパイであるレドルに遭遇したことが気になります。そこで私とレイの結論としては、『自身の望む世界に書き換えるスキル』ではないか、という話になりました。」
「そんなものが存在していいかとかそういうことを考えなければ一番ありえそうですね。」
「俺はまだその力を見てねぇから信じられねぇがな。」
「ヒヨリ様が嫌と言わないのであれば明日はゲルのところに行かせましょうか?あなたが行かなければいけない依頼などもたまっていたでしょう?」
「まぁ、そうだな。チョイと厄介な案件は立て込んでるが・・・」
「私も付いていきましょう。本来明日、本日ヒヨリ様に協力していただいた依頼を片付ける予定でしたので明日はスケジュールが空いていますので。」
「そりゃ助かる。カイルがいれば移動も楽だからな。」
「幹部が直接出向くレベルの依頼を見ることが出来ますし、ヒヨリ様としてもいい経験になるでしょう。」
「そうね。城には私が残るから心置きなく行ってきなさいな。」
「私は戴冠式の準備がありますので。」
「それなら決まりだな。」




