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【完結】異世界召喚が勇者召喚じゃなくて魔王召喚だったけど、魔王として頑張ってみようと思います  作者: 雲英侑李


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第15話 軍略

「改めてお見事な魔法でした。」


「そう?精度は微妙だったと思うけど・・・」


「この世界においては戦というのは質よりも量というのが常識です。その理由はわかりますか?」


「質次第では数はどうとでもなるんじゃないの?」


「いえ。そもそも魔法は1人を対象にしか発動できません。複数を対象にできるのは結界等の範囲を指定し、効果を付与する魔法のみです。そのため結界以外の魔法は戦において使用されることは少ないのです。剣などの武器での戦闘となるとどれだけ実力があったとしても数の前には無力です。そして、今回の人間たちとの戦では相手の数がこちらの数倍に及ぶでしょう。」


「確かにそうだね。確かに戦力の質だけなら数に負けちゃうけどさ、戦略の質っていうのもあるんじゃない?」


「戦略の質、ですか?」


「うん。ボクの元居た世界は平和な世界だったけどさ、昔は人間同士でよく争ってたんだよ。その時代に使われてた戦略とかは数が少なくても勝てるようなものもあったよ。」


「お聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」


「今回の戦いに関係ないものも知ってるんだけど、聞く?」


「後学のためにお願いします。」


「それじゃ早速今回のに関係ないけど兵糧攻めってやつからね。」


「兵糧、食料ですか。」


「そう。これは攻め込むときのものにはなるけど、その場所に食料とかを届けるような街道を制圧して封鎖しちゃうんだよ。こっちはその街道を使って物資を封鎖している人たちに届けれるけど、相手は蓄えてた食料が無くなると戦えなくなることはわかってるからどれだけ不利な地形だったりしても無理に出てくることになるでしょ?だから向こうが仕掛けてくる前にこっちは有利な状況を作っておくんだよ。」


「なるほど。考えたこともありませんでした。街道が限られていればなおさらというわけですか。」


「そういうこと。次に奇襲、その中でも夜襲だね。」


「奇襲はこの世界の戦でも用いられますが、夜襲とは?」


「奇襲を夜にかけること。特に魔族は夜でも目が見える人がいるだろうし有効なんじゃないかな?」


「相手の疲労がたまり休む時間に攻め込むわけですか。やられたくはないですね。」


「次にこの城じゃ厳しいだろうけど籠城だね。地形次第では城に籠って地形を利用して有利に立てるよ。」


「地形、ですか。戦は平地で行うのがこの世界において常識なので考えたこともないですね。」


「今後意識してみるといいよ。あと、この世界に来て思ったんだけどさ、この世界って街とか街道の近く以外って森が多い?」


「はい。大抵は森におおわれていますね。街や街道も森を切り開くところから作り始めたといわれています。平地では戦が起こった際に包囲されかねませんので、攻められる際に森か街道を通らせるようにということのようです。」


「その場合、正直に街道を通っては来ないでしょ?」


「そうですね。奇襲は森の中を軍で侵攻するのがセオリーなので。」


「それなら魔法がすごく役に立つと思うよ。」


「魔法ですか?軍に対して?」


「うん。[ヘルファイア]を森に対して打ち込んじゃえばいいんだよ。」


「それでは森が無くなってしまうではないですか。」


「それなんだけどね。森ってすごく時間はかかるけど燃えても元に戻るんだよ。この世界の生態系がよくわからないから具体的な年数は言えないけど100年くらいあれば元通りなんじゃないかな?」


「たった100年で。」


「やっぱり魔族からしたら100年って大して長くないんだ。」


「えぇ。それに見通しの良くなった森は侵攻には向きませんし、この王都に攻め込むのは困難になるでしょう。言われて気が付きましたが包囲ができるような地形でもないですし。」


やっぱりこの世界って思考力とか常識っていうのかな?なんか地球に比べて圧倒的に低いよね。常識が固定観念を作ってるのが悪いんだろうけど。


「まぁ、今の話を参考にしてみるといいよ。ボクの魔法だってカイルからしたら戦の常識を変えるからこの話をし始めたんでしょ?」


「そうです。一般的にこの世界では戦は質よりも量というのが常識とされています。ですが、今のお話そしてヒヨリ様のお力を見て、質の重要さを知りました。1つ気になるのですが、どうしてそうも博識なのでしょうか?」


「この世界とは文明の発展度合いも違う世界から来たからね。常識が違うって思ってもらえばいいよ。ボクの居た世界には遠距離で人を殺す武器だったり広範囲を爆発する兵器だったりがあるような世界だから。」


「恐ろしい力がありながら平和だったと?」


「まぁ、争ってる国はあったよ。ボクの居た国が特別平和だったってだけ。」


「やはり、争いは避けられないのですか。」


「やっぱり主義主張が違う人が集まるとね。それでも戦争みたいなのはあんまりなかったし、この世界でもそれを目指そうよ。」


「そうですね。私も本心としては軍略なんてものよりもどうすれば友誼を結べるかといったことを考えたいのですがね。」


「勇者に勝ってボクがそうして見せるよ。まだまだ成長中って感じだけどね。」


「えぇ。期待しています。それでは私は情報を持ち帰り検討しますのでこれで。」


「うん。くれぐれも情報部隊の人たちにボクの情報を追加で渡さないようにね。」


「もちろん心得ております。」


カイルと別れたころにはもうすっかり外は暗くなってた。

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