脱獄成功?
文字数が少ないので、同時公開です
分けて出したかったのです
それを見届けた執事は、黙って立ち上がった。
そしてポケットから鍵を取り出し、自分の牢の扉を開ける。
セリーは、その様子に目を見開いた。
執事は何も言わず、ゆっくりとダハントの後を追っていった。
◇
ダハントは階段を駆け下り、教えられた通り、突き当たりの扉を開けて外へ出た。
「やった!
出られたぞ!」
その直後――
背後の扉が閉まり、
「ガチャン」
と、内側から鍵がかかった。
だが、ダハントは逃げ出せた喜びに夢中で、それに気づかなかった。
とにかく建物から離れようと、必死に走る。
しばらくすると、目の前に急な流れの川が現れた。
「川?」
ダハントは立ち止まった。
川沿いに歩いていく。
だが――
しばらくすると、なぜか元の場所へ戻ってきてしまった。
「ここは……。
川の中州なのか?」
途中、上を見上げると、向こう岸の建物と牢獄をつなぐ石橋が見えた。
「なんなんだ、ここは!!」
ダハントは、先ほど出てきた建物へ戻ろうとした。
だが――
扉には鍵がかかっている。
「おい!
入れてくれ!!」
重い木の扉は、びくともしない。
何度も体当たりを繰り返したが、扉には傷一つつかなかった。
「ちくしょう!!
なんなんだ、ここは!」
ダハントの叫び声が、中州に響いた。
その時――
橋の上から声がかかった。
「君。
そこで何をしているのだ?」
見張りの兵士だった。
「た、助けてくれ!
迷い込んでしまったのだ!」
ダハントが叫ぶ。
「ああ、それは無理だ」
兵士は、あっさり答えた。
「数日、頑張ってくれ。
私は『橋』の見張りだからな。
建物の中には入れない」
そう言って、兵士は何事もなかったように持ち場へ戻っていった。
実は――
ダハントが開けた木の扉は、執事一人では重すぎて閉めることができなかった。
そのため、騎士団長とレオンが待機していたのである。
二人が扉を閉め、内鍵をかけた。
さらに念のため、重いかんぬきまで下ろしていた。
◇
「こうなったら、向こう岸まで渡ってやる!」
ダハントは川へ入っていった。
だが――
数歩進んだところで、川底が急に深くなる。
「うわっ!」
ダハントは慌てて引き返した。
なんとか元の場所へ戻る。
全身びしょ濡れだった。
「泳ぎを習っておけばよかった……」
今さら後悔しても遅い。
次にダハントは、建物の壁を伝って石橋まで登れないかと考えた。
だが、壁には苔がびっしりと生えている。
手をかけても滑る。
足場になるような出っ張りも、ほとんどない。
それでも必死に登ろうともがいていると――
上から、何かが降ってきた。
「うわっ!」
ダハントの顔が引きつる。
橋の上から、見張りの兵士が声をかけた。
「その壁な。
皆、そこで用を足すから、気をつけた方がいいぞー」
「先に言え!!」
ダハントの怒鳴り声が響いた。
その時――
今度は、建物の中から香ばしい匂いが漂ってきた。
肉を焼いている匂いだった。
さらに、看守たちの陽気な笑い声まで聞こえてくる。
「どこだ!
窓はないのか!」
ダハントは必死に建物の周囲を探した。
ようやく見つけたのは――
ネズミ一匹が通れるかどうかというほど、小さな通気口だった。
そこから、声も匂いも伝わってくる。
一方、自分から漂ってくるのは――
川の泥水の臭い。
そして、先ほど上から降ってきたものの臭い。
「ちくしょう!
なんで俺様が、こんな目に遭わなければならないんだ!!」
誰も答えてくれない。
ダハントは、とうとうその場に寝転がった。
もう、ふて寝するしかなかった。
……自由どころか、牢屋より不便な場所に自分から移動しただけですw
がチャッピーの感想でした
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