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ガダルカナル〜密林に消えていく星〜  作者: kazu
第三章「落日篇」
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第36話「無情」

9月21日 ガダルカナル島 残存部隊陣地


僕らはあの戦闘のあと士気は上がる一方だった。

米軍に勝つなど夢のようなことであったからだ。


小嶋「このままいけばきっと…きっと勝てる…!」


そう小嶋は信じていた。

あの戦闘では完璧な戦略と戦力によってうまく戦うことができていたからだ。

そのような指揮官がいるならば勝てると信じてしまうのは当然だ。


しかし、空は別だ。


日本兵「おい!またラバウルの奴ら爆撃に来たらしいぞ!」


そう言うと、たしかに空には日本軍の爆撃機と零戦が編隊を組んで米軍のヘンダーソン飛行場を爆撃しようとしていた。


隼斗「ここ最近はよく来ますね…やはりここはそれほど重要なのでしょうか。」


好古「そりゃそうだ。ここを取れれば太平洋の戦いの大部分で有利に立つことができるからな。」


そう、ここまで日本軍と米軍が飛行場に執着する理由はその"不沈空母"としての価値やオーストラリアを孤立させるために不可欠だったからだ。


ここを取れれば南太平洋は我が物にできると信じた日本軍とここを取れば反撃の糸口にできると考えた米軍、それぞれにとても深い理由(わけ)があった。


新藤「しかし、よくアメリカも迎撃能力を失いませんよなぁ…やはり艦隊や飛行場からの戦闘機によるものからでしょうか。」

この者は新藤造一郎という名前で階級は一等兵、訓練生時代からの真面目者で頭は良かったが体はあまり優秀ではなかった。


小嶋「あぁ、きっとそうだ。あいつらはまるで無限のように戦闘機を持っていやがる。そして兵力も同じだ。」

米軍の戦闘機の生産能力はまさに異常であった。

現代のジェット戦闘機を3日で1機作るようなものだ。


好古「陸を取れても制空権と制海権がないなら意味がないな。」

そう好古が言ったあとに空を見つめる。




好古「勝てるのかねぇ…この戦争…」

そう、1機の零戦を見ながら言う。


しかしその瞬間、ドガァーン!という爆発音とともに吹き飛ぶ。

どこからか飛んできた曳光弾に撃墜されたのだ。


そうしているとF4F戦闘機が何機も陣地の上空を通り過ぎていく。


まともな対空設備はここにはない。

この急造陣地に戦闘機が襲来するなど考えていなかったからだ。


日本兵たち「畜生!撃て撃て!」

「アメ公め!」 「コノヤロォ!!」

そうして日本兵たちは三八式歩兵銃にて応戦するがその発砲によって気付かれ、戦闘機は引き返してくる。


小嶋「くそっ!逃げろー!!急いで密林に逃げ込め!」


その小嶋の声も届かずF4Fは逃げ惑う日本兵たちに機関銃を乱射する。


日本兵たちに土煙が迫り、その弾丸は兵士たちを貫く。


日本兵たち「ぎゃぁ!!!」「ぐはぁっ!」


そうして日本兵たちは空から狙い撃ちに遭い、バタバタと何機ものF4Fに蹂躙されていく。


小嶋「くそっ…!くそっ!」

小嶋も密林に逃げようとするが後ろ上空からF4Fが狙いをつけながら迫ってくる。


1000m…900mと少しずつ。


バタバタと小嶋も決死の覚悟で走り続けるが、それでもF4Fのほうが何百キロと速い。


ついに600mへと近づいたとき、F4Fは機関銃を密林に逃げ込もうとする小嶋へ乱射した。


後ろから土煙がとてつもない速度で迫ってくる。


小嶋は必死の覚悟でその場に伏せた。



その覚悟が、彼を救った。



両腕の隣を土煙が舞いながら弾丸は通り過ぎていく。


そう、F4Fは翼内機銃なため小嶋は偶然にもその機関銃と機関銃の間に入ることができたのだ。


小嶋「助かった…のか?いや!隠れないと…!」


そうして小嶋は密林に逃げ込むことができ、森の中から兵士たちが殺されていくのを見つめることしかできなかった。


しかしそのとき、好古が近くにあった九九式軽機関銃を持って密林を飛び出した。


小嶋「おい!戻れ!!」


小嶋はそう呼びかけた。

しかし、好古は聞こうとしなかった。

それは悲壮な覚悟の上だ。


好古「私のような敗残兵に!死に場所をください!!」


そうして、好古は九九式軽機関銃を空に向ける。

もちろん1機のF4Fも巣から出てきたネズミを食い殺す猫のように照準を好古たった一人に合わせて突っ込んでくる。


ダダダダダ!と九九式軽機関銃が火を吹く。


好古「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


F4Fも遠距離だが機関銃を乱射してくる。


ズバババという機関銃の鋭い音とダダダダダという機関銃の音ともに叫ぶ好古の声が陣地に響き渡る。


しかし、戦争はあくまでも漫画のような世界ではない。





好古は、F4Fの機関銃の弾丸に腹を貫かれた。

 




好古の腹からとてつもない量の血が噴き出すとともにF4F戦闘機は平然と基地へ帰っていく。


小嶋「あの機体番号…覚えたからな…!おい!好古!」


そう小嶋は軍服が真っ赤に染まった好古へと近づいていく。


小嶋「好古!好古ぅ!」


小嶋が好古の上半身を持ってそう呼びかけると、好古は上半身を起き上がらせる。

その行動に小嶋は生きているという希望を抱いた。



しかし、"現実"にそのようなストーリーはない。



好古「あ、あああああああぁぁぁぁ!!!」


狂気に満ちた顔で最後に叫び声を上げて、好古は小嶋の手の中で死んだ。







…







また…なのか…?






俺はまた部下を…







部下を…!






小嶋「く…くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」



そう小嶋は涙を流しながら、泣き叫んだ。

しかし、悲痛の叫びは天には届かない。



現実は、"無情"だからだ。


第36話「無情」






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