↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガダルカナル〜密林に消えていく星〜  作者: kazu
第三章「落日篇」
PR
40/49

第33話「立ち上がれ陸王!一人のバイク兵」

※これより第5分隊のことはわかりやすく小嶋分隊と表すことがあります。セリフ上では第5分隊とも呼びますのでそこらへんはご理解しといていただけると幸いです。

9月19日 ガダルカナル島

僕らはムカデ高地を一時離れ、体勢を立て直すことになった。

地図頼りに僕らは歩いていく。

ザッザッと2個中隊の足音が響く。

しかしその足音も最初のように勇ましくはなく、仕方なく上げた足が重力によって落ち地面に触れるようなもはや力強さは感じられなかった。


小嶋「はぁ…すまんな、大丈夫かお前ら。」

小嶋はそう自分の分隊員たちを心配する。


小嶋分隊「大丈夫です…!」

みなそう息を合わせたように言うが、一人一人が目視でわかるほど弱っていた。

飢餓に襲われながら圧倒的な戦力を誇る米軍と対峙しなければいけない現状は絶望そのものでしかなかった。


小嶋「大丈夫だからな、あと1km離れられれば米軍の追跡は振り切れるだろう…」

小嶋たちは既にムカデ高地から6km歩いており、1時間半歩いていた。


好古「隼斗、お前まで死ぬなよ。」


隼斗「だ、大丈夫ですよ…私はまだ21ですからまだまだ体は動きます…」

隼斗は好古に支えられながら歩いていた。

若者が倒れれば誰が立つのか、そのような心が好古を動かしていた。

しかしその好古もまだ30歳である。


中尾大尉「畜生、我が中隊は飢餓と疲労に襲われすぎてる…岩吉大尉のほうは…」


岩吉大尉「我が第二中隊はそちらよりかなり被害が出ていてな…第一中隊突撃の援護をした時に狙い撃ちにされて、のこったのはほぼ2個小隊分しか…」

米軍の奇襲によって冷静さを失った第一中隊は米軍に向かって突撃を敢行した。

その結果第二、三中隊が撒き沿いをくらうとともに第一中隊は中隊長以外全員が戦死した。

このような絶望的な状況で残された希望はわずかながらの機関銃と弾丸であった。


岩吉大尉「だが、もし米軍にまた襲われたときは…私が直々に率いて突撃する。だからこそ全員に銃剣は付けさせている…」

そう、血まみれの軍服を来ながら岩吉大尉は中尾大尉に言った。

その姿と言葉になにも中尾大尉は答えられなかった。


密林の中を黙々と進んでいく日本兵たち。

彼らが何を思いながらその行軍を歩んだのかは私たちにはなにもわからない。

わかるのは、絶望という地獄が待っていたことだけであった。

雨に濡れながらも歩く彼らの目には光は灯っていなかった。


小嶋「よし、もうそろそろいいだろう。中尾大尉!ここらへんなら少しの期間は陣地構築ができるのでは?」


中尾大尉「あ?あぁ、確かに米軍の追跡は振り切れたようだしここらへんで陣地を少し作ろう。」

そこは森を抜けて少しの草原が広がっていた丘があった。


隼斗「ハハッ、塹壕掘りなんてもうごめんだぜ…」

そうして隼斗たちはその場に一旦座り込み、休む。

そうして少し周りを詳しく見渡すとどうやら何丁かのライフルや個人用の塹壕が掘られた跡があった。


中尾大尉「もともと別の部隊も陣地を作っていたのか…」

そこで、隼斗はとあるものを見つける。


隼斗「な、なんだこの布をかぶせてあるものは…」

そこにはなにか大きい布をかぶせて隠されているようなものが残されていた。

その大きい布を取ると、それは現れる。

雨は止み、周りは静まる。

そこにあったのは…


隼斗「陸王…」

そこに残されていたのは一木支隊がもともと上陸するとき、将校の移動用として1両に限って輸送されたものであった。

しかしその将校らはほとんど死に、ほかの隊員たちもほとんど使う機会がなかったためここに放棄されていた。


好古「どうした?っ!…これは陸王か。」

好古もその陸王を見て少し驚く。


岩吉大尉「ん〜…これはでもかなり整備されているな…わざわざハーレーの部品まで少し取り付けてあるぞ…」

岩吉大尉はそう見抜く。

しかし問題はハーレーの部品が付いていることの謎ではない。


中尾大尉「しかし…誰に操縦させましょう…相当の熟練者でなければこのガダルカナル島の立地に耐えられません…」

中尾大尉はそう思う。


好古「だったら、私は隼斗一等兵で良い気がします。陸軍兵ですし、こいつは戦争の前はかなりの期間バイクを運転していたようですし。」

好古はそう言って隼斗をバイク兵に推薦する。

そのことを聞いてすぐに大尉の2人は承諾した。


隼斗「わ、わたしですか…?い、いや!ぜひその任務につかさせていただきます!!」

隼斗はそう言ってまずはエンジンがかかるかを確かめるためにバイクにまたがり様々な点火するための工程を行い、キックペダルを踏む。


ブルンブルン!というエンジン音とともに陸王はついに生き返った。


中尾大尉「おぉ!ついたか!」


小嶋「まさか隼斗がバイク兵になれるなんて…」

そうみんな驚いていた。


隼斗「い、いや実は陸王はかなり乗っていましてもともとは私運送業者で乗っていたんです。」

隼斗はそうもともとの自分の仕事を話す。


隼斗「しかし、ここでまた会えるとは…」

そう隼斗は優しい微笑みで陸王を見つめる。

その綺麗な眼差しには誰もが微笑んだ。


陸王よ、ふたたび立ち上がれ。


陸王よ、ハーレーより王座を奪い返せ。


陸王よ!ふたたび味方の危機に立ち上がれ!!


第33話 「立ち上がれ陸王!一人のバイク兵」




まじで久しぶりすぎる投稿、申し訳ありません。

なかなか書く時間がとれずにこうなってしまいました…

それでも見てくれている人がいたので、なんとか書きました。

この作品は何度も言いますが必ず完結させます。

温かい目で見てくれていた読者様、ありがとうございます!!

※そして今回から出てくる陸王は公式的な記録はないし私自身も使われたとは思っていません。しかしその勇姿だけは描きたかったのです。どうかご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。