第29話「太陽よ、お前はどっちなんだ。」
皆さんこんにちは!
この落日篇を機になんと、毎日投稿を復活させようかなと思っております!
これからもこの作品をよろしくお願いします!
それではどうぞ!
9月15日 ガダルカナル島 川口支隊陣地
僕らはある程度の軽い陣地を作ってそこに駐屯することにしていた。
あの日から身も精神も削られきってた自分がまだ動けることに疑問を持ちながらも、時間は過ぎていった。
小嶋「…」
その時間が過ぎていくごとに、新しい問題が発生し始めていた。
陸軍兵1「知ってるか…?あいつらのこと、」
陸軍兵たちは固まって話をしていた。
陸軍兵1「実はよ…前に食料取り入ったやつら、片方は死体で見つかったらしいぜ。」
陸軍兵2「はぁ?片方だけって、じゃあもう一人は生きていたのか?」
陸軍兵2は疑問をぶつけた。
陸軍兵1「それがよ…見つからなくて米兵にでも投降したんじゃないのかって噂になってるらしいんだ…」
陸軍兵2「はぁ!?なんじゃそりゃ!相方のやつ無駄死にもいいとこで可哀想だなぁ!」
死ぬことに無駄もクソもあるかっての…
生きてるほうが、無駄に決まってる…
希望も何もかも失った小嶋にとっては、死ぬことこそ無駄ではないと考え始めてしまっていた。
しかしそんな考え方をしてしまうのも仕方がないことである。
仲間も親友も戦場で亡くした今、改めて生きることに何の意味があるのか自分に問い詰め直すときが来たのだ。
しかし、いくら問い詰めても…答えは帰ってこない。
倒木に座っていた小嶋はもはやこの状況をどうにかしたいという気力ややる気すら沸かずにいた。
「次はかならず死んでこい。」
小嶋「今ならあいつの言葉…わかる気がするな…アハハハ…」
小嶋はそう小さい声でつぶやく。
どうやら陸軍兵たちにもその声は聞こえていたらしく、こちらを振り向いてくる。
陸軍兵1「げっ…おいおい"死神の小嶋様"だぜ…」
陸軍兵2「関わらねぇほうがいいな…いこう…」
兵士たちのあいだでは少し話題になっていることがあった。
それは小嶋の部下たちのことであり、彼の部下になれば必ず死ぬという謎のなんの根拠もない噂であった。
しかし、現時点ではそれが現実になってしまっている。
だからこそ、小嶋は一言も反論しようとせずありのままを受け止めようとしていた。
あのときのことを思えば…こんなこと…
そう自分に言い聞かせていた。
耐えれば、耐えればいつか苦しみは終わるはずなのだから。
そう考えていると、一人の士官から話しかけられる。
陸軍士官「おい、お前。次の食料獲りはお前とこの横田だぞ。早く行ってこい。」
そう言われて見ると、横にはガリガリで元気もまともになさそうな兵士がいた。
こいつが横田か…?
そう疑問に思いじーっと見ていると話しかけられる。
横田「あの〜…なにかおかしいですか…?」
そう弱々しい声で言われる。
小嶋「あっ!いや、なんでもない…いこう…」
そう言って小島は横田と2人で食料獲りに出た。
まぁ食料と言っても、まともなのが食べられるはずもない。
ヘビが取れれば十分と言えるほどの飢餓にまみれた戦場だったからだ。
ガダルカナル島 山道
小嶋、横田「…」
2人はお互いに黙りながら歩いていた。
横田に関してはもはや喋る気力がないのであろう。
だが、やれるものは一つもない。
するといきなり道に小さいがヘビが飛び出してきた。
するとすかさず小嶋は銃剣で指し、獲る。
小嶋「よしっ…!あと二匹か三匹とれば…」
小嶋が言い笑顔を見せると、横田に話しかけられる。
横田「あの…一ついいですか…?」
小嶋「ん?なんだ?」
そう聞くと、横田は話す。
横田「僕にも、捕り方を教えてもらえませんか…?まだ1回も捕ったことなくて…ゴホッ…」
元気のこもってない喋り声だったが求められたならばそれ相応の対応をしてあげるまでだ。
小嶋「いいぜ、教えてやるからまずは何か探そう。」
そうして、またしばらく歩くと道の路肩にヘビがいるのを見つけた。
そこで小嶋は説明しながら獲る。
小嶋「いいか、獲るときは一瞬で仕留めろ…例えば…こんな感じぃ!」
そう言うと、銃剣はすばやくヘビを貫き仕留めることができていた。
横田「すっ、すごい…!」
横田は笑顔でこちらを見つめていた。
なんだか、懐かしい気持ちだ…
笑顔で見つめられるっていつぶりだろうか…
中村…
小嶋「よし!ならさっさともう一匹とって帰ろ!」
そうしてまた歩き始めていく。
しかし、ここで問題が発生した。
横田はまともな力もなく、銃剣をすばやく貫きさせることが難しかった。
横田「あっ…」
小嶋「おいおい、大丈夫か?」
何度も銃剣を空かしてしまう横田に小嶋は心配する。
小嶋「お前、体調悪いんじゃねぇのか…?」
横田は汗まみれになっており、これ以上続けさせれば本気で死にかねないと思った小嶋は止めようと考える。
しかし、横田はそれを遮る。
横田「いいんです…!1回だけでも、やらせてください…」
そう言うと、路肩に止まっているヘビを見つけた。
横田は慎重に近づきながら、銃剣を構える。
横田「っ…!」
その瞬間、ドスッという音とともに見事に銃剣の先にはヘビが突き刺さっていた。
小嶋「お、おぉ!よくやった横田!」
横田「や、やった…ぁ…」
そう喜んだ瞬間に力が抜けていった横田は、地面に倒れた。
小嶋の顔は、一瞬にして笑顔が消えた。
小嶋が倒れた横田の額に手を当てると、とてもひどい熱が出ていた。
小嶋「ね、熱中症…だ…」
そう、絶望した声で言う。
小嶋「おい!今運んでやるからな!」
そうして担ごうとすると、異様に力が入っていなかった。
それに小嶋は気づき、脈を測ると…
心臓は動いていなかった。
小嶋「脈が…ない…じゃあなんでさっき額は温かかったんだ!」
そう小嶋は意味不明な状況に一瞬困惑したが、すぐに理解することができた。
小嶋「太陽…お前か…お前がただ額を温めてただけっていうのか…?」
小嶋はそう、太陽というはるか上の存在に叫ぶ。
小嶋「また、またお前は俺を騙すのか!
いつもいつも綺麗になったり人殺しになったりしやがってお前はどっちなんだ!!
味方か?
敵か?
いい加減、はっきりしやがれこの…」
その一言に、すべての感情を込める。
小嶋「このクソったれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
第二十九話「太陽よ、お前はどっちなんだ。」
今回は少し「太陽」というものや「飢餓」というものにフォーカスを当ててみました。
これからも小嶋たちの行く先を、見届けてください。
それでは次回。




