第21話「中村」
久しぶりの投稿となってすみません!
これからもこのような形になってしまうかもしれませんがこれからもよろしくお願いします!
あれ…?ここ…
周りに広がっていたのは、鉄の残骸と燃えている木々であった。
なにがあったんだ…?あれ…なにしてたんだ俺…
まだ目の光の跡が抜けないし、耳をつんざくようなキーンという音も響き続けている。
ふと立ち上がってみる。
小嶋「あれ…?みんな…?」
皆、ばらばらになっていた。
ふと横を見ると陸軍兵が死体に向かって走っていた。
そうして死体の前に来てしゃがみ込むと…
陸軍兵「中治ー!!!」
そう陸軍兵が叫び死体を抱きかかえながら泣いていた。
死んだ…のか…?
まだ実感がわかない。
ここが現実なのか、夢なのか…
それともまだ、光に包まれているだけなのか…
包まれているだけなら幸せだろう。
この辛い現実もすべて夢にできるからだ。
でも、あいつがいない。
中…村…?
そう中村がいないことに気が付き、周りを探すために歩き始める。
しかし足にズキッという鋭い痛みが走る。
小嶋「痛ぇ!…畜生…」
そうして足を見てみると血が出ていた。
やはり傷がないのはおかしいと疑問に思ってはいたが足をやられているとなるとかなりめんどくさいことになってしまった。
でも…あいつを置いていく理由にはっ…!
そう覚悟を力に変え、下を見て情報を集める。
そうして少し周りを探ると、血がジャングルの草木が生い茂っているところへと続いていた。
それを辿ろうと小嶋も草木が生い茂っている中へと入っていく。
そうして、"それ"を見つける。
な、な…なにを…見ているんだ…?俺…
驚きが隠せなかった。
そこにいたのは、迷いなく海軍陸戦隊の隊員だった。
ふと、嫌なことが頭をよぎる。
でもそんなことあるはずがないと心を締め付け、名札が書いてある海軍の軍帽の裏を見る。
小嶋「まさか…違う…よな…」
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中村 海軍一等水兵
第295号大日本帝國海軍制帽
〜〜〜工厰
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裏面には、そう書かれていた。
中村…?中村…?
同姓同名か…?
でも、あいつの帽子を拾ったときは…確かに…
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過去編 8月5日 ガダルカナル島 航空隊基地
フーっと風が吹き、中村の帽子が飛ばされる。
中村「あ、俺の軍帽。」
そうして軍帽は飛ばされていき、ついに小嶋の足元へとたどり着く。
そうして小嶋は中村の軍帽を拾ってあげる。
小嶋「おいおい〜、気をつけろよ〜?」
そうして少し砂のついた帽子をタンタンと叩いて砂を落として渡す。
穂馬兵長「おいおい、軍帽は自分の誇りだと思えよな。それは自分が海軍であることを証明する一つの証明書のようなものだ。絶対に無くすなよ。」
そう言って穂馬兵長はまた隊舎へと歩いていく。
その時、ふと裏面を見た時に書かれていた番号は確かに…295号だった…
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現在
小嶋「中村…お前…死んだのか…」
小嶋は泣かなかった。
いや、泣けなかった。
彼にはまだ中村が死んだという現実の実感がないからだ。
覚悟を共に決めたからだ。
死ぬわけないと、本気で考えていたから…
隊長が裏の草をかき分けながら来る。
隊長「おい、そいつ…死んでるな…」
そう死んだことを隊長も確認すると、手を合わせていた。
小嶋はただ、立ち尽くすのみであった。
そうして隊長は小嶋を引き連れ、また進軍の道へと連れ戻す。
やだ…戦争なんて…
やだよ…母さんと暮らしたいだけなんだ…
助けてよ…中村…
中村…
「一人で走れぇ!!!」
その言葉が心に響く。
「国のために死ねるんだぞ!?」
その言葉が軍人の心に響く。
「俺…生きたいっ…!!」
その言葉が小嶋の"本心"に響く。
俺…なにしてたんだよ…!
今頃になって、涙が出てきた。
しかし今止まることはできない。
負傷していた陸軍兵の一人とともに進軍していく。
もはや別働隊は何もすることのできないほど戦力が弱まっていた。
スタッ…スタッ…と力弱く歩く。
もはや顔にはなんの感情もない。
ただ早く終われ…
そう願うばかりであった
空ではまだ日本軍のラバウルから来た航空隊と米軍の飛行場からスクランブル発進したF4Fが戦っていた。
あたりあたりに燃えながら戦闘機が突っ込んでいく。
落とされた味方機もこちらに牙を剥く。
そんな光景を横目に、僕らは別働隊としての働きがもうできないため中央隊と合流することになった。
9月4日 深夜1時 ジャングルの奥地
小嶋「あと、どれくらいっすか…」
隊長「あと、もうすぐだろうな…」
そう隊長が言ってる時に、陸軍兵がその場に倒れ込む。
陸軍兵「う、うぐぅ…」
その陸軍兵は腹に傷ができており、その中にはウジ虫がたくさんおり血まみれであった。
その傷を抑えながら陸軍兵は苦しそうに言った。
陸軍兵「隊長…俺を殺してくださいっ…うぐっ…!」
苦しみに耐えながらそう懇願すると、隊長は即冷徹な判断をする。
隊長「本当に…いいんだな…?」
隊長がそう聞くと、陸軍兵は縦に首を振った。
それを見て隊長は小嶋に手榴弾を渡した。
小嶋「え…?なんで俺なんすか…?」
小嶋はそう疑問に思い聞く。
隊長「よりにもよって…長年の仲間が死ぬところは見たくないんでな…頼む…」
その悲しそうな顔を見た小嶋は陸軍兵と顔を合わせる。
小嶋「すまんな…俺がやっちまって…」
陸軍兵「いいから…やれぇ…」
そう言われると、小嶋は手榴弾の紐を抜く。
そうして少し離れ、手榴弾の先の部分を石に叩きつけ投げる。
陸軍兵の目の前に手榴弾が落ちると…
陸軍兵「た、助けて…」
そう死ぬ間際に助けを求め、こちらに手を伸ばしてくる。
小嶋は放おっておけなかった。
だからこそ小嶋も体が勝手に手を伸ばしていたが、時すでに遅し。
ズチャァンと生々しい音とともにその小嶋の手にあったのは、まだ温かい血と火薬の臭いだった。
隊長「いくぞ…すまんな、新入りに…」
そう言って隊長は一瞬手を合わせ、そのまま奥に一人で歩いていった。
小嶋は、もう一度中村の死体のもとに行き銃剣でその手の小指を切る。
その小指を白い布に包んで、持って行く。
なんの、ために…!
お前は…その"覚悟"を捨てたんだよ…!
第二十一話「中村」




