第13話「飢餓からの脱出作戦 決行編」
今回はついに決行編です。
飢餓という苦しみから逃れられるのか…
そんな話となっております。
それではどうぞ。
山田兵曹があの言葉を言って去った頃は、もうすでに腕時計は11:20(ヒトヒトニマル)を指していた。
セミも鳴かぬ時間帯だ。
ただあるのは青空と月と密林だ。
珍しく、暑くもない。
作戦決行は11:30。
だからこそ隊員の間では緊張が走っていた。
すると、佐原大尉が出てくる。
小嶋「おい、佐原大尉だ。」
佐原大尉「吉田中尉から聞いてはいると思うが、これから我々は米軍食料の奪取を行う。いや、どちらかというと"奪還"だろうな。」
そう佐原大尉は言う。
実は米軍は飛行場も設備もほとんど日本軍が作ったものを鹵獲しており罠も張り巡らす隙がなかったため米軍からしてみれば最高に整った状態だ。
だからこそ佐原大尉は"奪還"という言葉を使った。
もうそろそろか…
佐原大尉が作戦を説明してる間にも小嶋は今か今かと待ちわびている。
この作戦が成功すればそこらへんの川水やトカゲを食う生活からはおさらばだからだ。
しかしだからこそ、誰かの"命"という代償がつく。
でも佐原大尉はそんなことは気にしない。
佐原大尉「まずは護衛部隊に次ぐ。命をかけてでも主任班を守れ。もし主任班が危うくなれば突撃を仕掛けてでも注意を反らせ。いいな。」
そう護衛部隊にはまるで「突撃」を命じるような訓示を行い、次は主任班に訓示する。
佐原大尉「主任班は、米軍が護衛部隊に注意を反らせられてる間に物資のテントに潜入せよ。くれぐれも見つからぬようにな。」
そして訓示は終わり皆準備に取り掛かる。
見つかぬように…か…
せいぜい頑張るしかないか…
早く…早く飯が食べたい…
そう小嶋は思いつつも出陣の準備を終わらせる。
小嶋「よしっ、中村。いこう。」
中村「おう。いくか。」
そうして小嶋たちは第一混合部隊と合流し、出発する。
道中も護衛部隊に守られながら進む。
護衛部隊はほかの近くに潜伏していた警備隊も合同で編成されておりその数は100を超えていた。
しかし、士気は低い。
本当に大丈夫なのか…?
護衛できるのかな…
そう不安に思いつつも歩く。
ただ歩き続ける。
すると密林から抜ける道を見つける。
しかしやけに整備されている。
佐原大尉「怪しいな…よし…密林の道から行くぞ。」
そう言って佐原大尉は密林のほうへ歩いていった。
護衛部隊や主任班も続く。
すると飛行場が木と木の間から見えてくる。
やばい…ついに…決行…
失敗は許されない…畜生…
そして、決行される。
佐原大尉「森重少尉が率いる第一混合部隊は迂回し、物資テントになるべく近いところから潜入せよ。我ら吉田中尉以下護衛部隊はここから護衛する。いいな。」
そうして森重少尉は同意し、僕らはまた奥へ歩いていく。
鼻につく度に思う…
草の臭いがすごい…
少し鼻がツーンとする…
そうして歩き続けると森重少尉がいきなり止まる。
森重少尉「よし、ここからなら近い…山田兵曹率いる一班は今から潜入し、安全だと確認できれば合図を送れ、さぁいけ。」
そうして山田兵曹率いる僕らは見回りの通る道が探照灯で照らされていない間に渡る。
渡る時にも心臓が激しく動いた。
汗だって止まらない…
でも見つからなかった。
見張り台にいる奴はどうやらサボり野郎らしい。
そうして無事にテントにたどり着けた僕らは合図を出し、ほかの仲間たちを呼ぶ。
そしてついに糧食のあるテントを見つける。
森重少尉「よし、運び出せ…」
そうして静かに少しずつ糧食を運び出す。
皆緊張して手が震えていたがその震えを抑えつけて運ぶ。
落としたらすべてが終わりだ。
そんなプレッシャーを感じながらも任務を遂行する。
でも…手の震えが止まらない…
糧食を落としそうだ…
そんな事を考えていたら、不幸は訪れる。
汗で、糧食が落ちる。
え…?
やばいやばい…なんとかしないと…
とうしようどうしよう落ちたらすべてが
そう考えようとしていた時、糧食が落ちるのと同時に銃声がなる。
護衛部隊の方からだった。
山田兵曹「なんだ!?」
その時から発砲音がだんだん多くなっていく。
こちらが応戦してる間にも敵は仲間を集めてくる。
森重少尉は決断を下す。
森重少尉「仕方ない!あれだけあれば一ヶ月は持つはずだ!退くぞ!」
そうして慌ててみんな走る。
一人一人が密林に飛び込む。
小嶋も中村も道を渡り飛び込む。
ズサッと草に飛び込む音とともに汗が飛び散る。
小嶋「はぁ…はぁ…あぶなかった…」
中村「糧食を落とすなよ…護衛部隊のおかげで助かってるが…」
しかしどうやら様子を見てると護衛部隊が不利な状況になっていた。
同時刻 護衛部隊方面
吉田中尉「いいか!弾は無駄にするな!最低限の護衛だけだぞ!!」
そういい吉田中尉もピストルで応戦する。
しかし相手はマシンガンやブローニング、M1ガーランド(セミオートライフル)だって持っている。
圧倒的に不利だ…
しかし横目で脇道を見ていると主任班が出てくる。
よしっ…!これで退ける!
そう考えた吉田中尉は撤退を命令しようとする。
しかし敵はとうとう…シャーマン戦車を出してきた。
ガガガという地面に響く音とともにその大砲はこちらを向いている。
ズドーンという轟音が響く。
その瞬間密林の目の前に砲弾が着弾する。
まずい…!このままでは…!
そう考えてるのが遅すぎた。
味方は吹っ飛ぶ。
ドガァァンという爆発音とともに複数の日本兵が吹き飛ばされた。
日本兵たち「いでぇ…いでぇよぉ…!」
「助けてくれ…」 「なんでこんな目に…!!」
「………」
たとえ砲弾の破片が体を貫いても、即死することはほぼない。
体の生存機能が失われない限りは死に絶えることはない。
つまり活動が続く限りは苦しみが続く。
運良く即死できる人もいたが、死ねばもうその人は家族と会うことはできない。
運がいいのか…悪いのか…
吉田中尉「っ!…てっ、撤退しろ!!」
佐原大尉「撤退だー!!退けー!」
そうして皆が慌てて撤退しだす。
すると、主任班と合流する。
小嶋「早く!行きましょう!」
その小嶋たちの腕には大量の糧食が積まれていた。
生きて帰れば…飯が食える…
そんな希望を胸に皆は走り続ける。
しかし、それでも銃弾は飛んでくる。
ドスッと足を貫かれた兵士は必死に叫ぶ。
日本兵「お、置いてけー!!!いけー!!」
そのものは自分を捨て置けという。
足手まといになるなら、という考えだ。
立派な考えだが、現代では想像もできない。
ふつうなら、助けてほしいはずだから…
しかしそんなこと考えてられない。
ただ、走る。
「俺は生き残るぞぉぉ!!」
あの時と、また同じだな…
悲しいが…そんな実感しか生まれない…
だが止まれないんだ…!!
小嶋「生き残る…ぞぉ…!生き残ってやるぅ!!」
そう走りながら叫び、密林の奥へ僕たちは消えていった。
飯は、奪取することはできたが…
食べさせてやりたい奴らに…食わせてやれなかった…
壕の近くにつくと皆は地面に座る。
だが…嬉しみよりも、疲れや…悲しみが広がった…
日本兵たち「畜生…!なんでいっちまうんだよ!」
「食料あっても…食う隊員が少なくなったら意味ないだろ…」「くっ…は、原ぁ…!」
泣き、怒鳴るものやただ悲しみに暮れるものもいた。
そこに笑顔の隊員は、一人もいなかった。
なんで…いつも笑顔だけ消えるんだよ…!
戦争だからとかいう理由で…納得したら…駄目だろ…俺…!
小嶋は、そう自分に怒りを感じていた…
第十三話「飢餓からの脱出作戦 決行編」
どうでしたか?
今回はかなり「潜入」というものにフォーカスを当ててみました。
次回も心に響く回をお届けしたいと思っています。
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それでは、また。




