第11話「飢餓からの脱出作戦 計画編」
今回も潜伏パートではありますがかなりの分岐点ではあるのでどうぞお読みください。
それではどうぞ。
あの潜伏生活が始まってから1週間。
ほぼほぼなにもなくいつも通り過ごしていたが、とある問題が出始めていた。
1942年8月後半 ガダルカナル島 密林にある洞窟
あれ…?米…減った…?
小嶋「なぁ…最近飯減ってきてねぇか…?」
小嶋はそう中村に話していた。
中村「そうだな…あんなにあったのが夢のようだ…」
実はもともと飯盒にほとんど満杯だった米が、今ではもう飯盒の半分くらいかなかった。
中村「まぁ…仕方ないだろ…飯の補給も途絶えているんだ…」
小嶋「そうだな…」
そうして飯が少なくなった問題は諦める。
その後小嶋はとあることを話す。
小嶋「俺たち…もし…本当に敵が現れたとき…撃てるのかな…」
中村「はぁ…?撃つしか…ないだろ…」
そう暗い表情をしながら言う。
確かに身も心も一応まだ新兵である小嶋たちはそう不安を感じていた。
確かに「会ったこと」はあったが敵と「対峙」したことはなかった。
そこに鈴木が歩いてくる。
鈴木「何言ってるんですか?そんな迷いがある人に撃てる訳がないでしょう。」
鈴木は鋭いところをつく。
確かに撃つことに迷いを感じている兵士にいざ撃てと言っても撃てないのと同じ、米兵と対峙したことがないのに撃てるというのは妄想でしかない。
現実は、甘くないのだから。
二人の生きてる世界が…狭い世界だから…
わからないことだらけだ…
小嶋「そうだな、でも…覚悟だけは決めとくよ…」
そう小嶋が少し暗い顔で言う。
その後は特に何もなく小嶋と中村は2人で仲良く話をした。
その頃 隊長室
佐原大尉「おい吉田。残りの食料は?」
吉田中尉「飯盒で表すと…半分にして約4日…」
そうだ、もうすでにほとんど備蓄がなくなっていた。
敵軍の空襲によって吹き飛ばされるかもしくは敵に盗まれてしまったかだ。
だからこそ備蓄は予備のものしかなかった。
そんななかで潜入できる訳がない。
そこで…佐原大尉はある作戦を思いつく…
佐原大尉「おい森重、お前が小嶋や鈴木、設営隊と組んで敵の飯を盗めないか?我らが銃で応戦している間に。」
そう森重少尉に提案する。
森重少尉は現在設営隊と警備隊が混合している小隊を率いておりそれが可能だった。
森重はそんな大尉の命をかけた作戦に応える。
森重少尉「大尉の命令ならば、どんな命令でも。」
そして、命をかけた食料奪取作戦の計画が始まる。
翌日 朝方
セミの鳴き声が響き始めた時間帯だ。
その鳴き声を目覚ましに、小嶋たちは起きる。
小嶋「うぅ〜、はぁ〜…」
小嶋は背伸びをし体を軽くする。
そして中村を起こす。
小嶋「お〜い…中村、朝だぞ…」
中村「おう…今起きる…」
そして中村も起床、周りもほとんどの人が起き始めている。
するとなぜか奥から吉田中尉が出てくる。
小嶋「どうしたんだ?」
中村「まぁ黙って聞いてようぜ。」
そうして沈黙が広がっていくと、吉田中尉は話す。
吉田中尉「君たちに、謝らないといけないことがある。それは、もうほとんど食料の備蓄がないこと、そして命をかけた作戦に参加してもらうことだ。」
周りはざわつき始める。
小嶋たちも不安な顔になる。
え…?
飯が…ない…?
命をかけた…作戦…?
なんだよそれ…
「俺たちに…"死ね"って言いたいのか…?」
しかし吉田中尉は続ける。
吉田中尉「静かに!お願いだから最後まで聞いてくれ…」
そんな吉田中尉の悲しそうに喋ることに皆は黙る。
吉田中尉はようやく話を続ける。
吉田中尉「実は、森重少尉が率いる第一混合小隊を食料の奪取作戦の主任班とし、その他の分隊、小隊はそれを援護してもらう役割になる。」
そう吉田中尉は語り続けた。
そのとき、後ろから森重少尉が出てくる。
森重少尉「いいか!このあと第一混合小隊は壕の入り口に集合!いいな!それだけだ…」
そう森重少尉は命令を出し、また後ろに戻る。
吉田中尉はまだ作戦概要を話す。
吉田中尉「決行は!明日の夜11:30(ヒトヒトサンマル)にする!!いいな!」
そうして作戦概要を話終わっとき皆が返事する。
全員「はい!!!」
そう返事を聞いたあと、吉田中尉たちは壕の奥側へ戻っていった。
するとまた周りはざわめき始める…
日本兵たち「飯…ないのか…?」
「なんだよ…設営隊は荷物持ちってか…?」
「設営隊にだってやれることはあるのに…!役立たずって言いたいのか…?中尉殿たちは…!」
そう飯がないことと、まるで設営隊には用なしだからあえて危険な任務を背負わせたと感じさせるような説明に怒りを覚えている。
そんな皆の怒りを、吉田中尉は窪みの影で聞いていた。
涙を流しながら。
違うのだ…!
用無しなんかじゃない…
なんなら用がありまくりなんだよ…!
もっと生きてほしいからこそ…やるしかないんだよ…!
この作戦は戦えるものを多く主任班にすれば護衛する部隊、つまり応戦する部隊の数が減ってしまうため設営隊を多く回していた。
設営隊のほうが重い荷物を運ぶことには慣れていると考えた佐原大尉の思いだった。
しかし、それを言葉にしないと彼らには伝わらなかった。
ある隊員は怒る。
「なんでだよ!俺等が役に立たないとでも思っているのかよ!畜生!!!!!」
ある隊員は黙る。
「………」
ある隊員はつぶやき続ける。
「死にたくない…!死にたくない死にたくない死にたくない!!!!」
ある隊員は泣く。
「守ってくれるんじゃなかったんですか…!中尉殿っ…!!!!」
そんな悲惨な皆の惨状を聞いていた吉田中尉は…
吉田中尉「すまない…!すまない…」
ただそうつぶやき続け、
泣いていた。
小嶋たちは…
小嶋「俺等、本当に敵と対峙することになるな。」
中村「俺たち、撃つ勇気…でるかな…」
そんなことを心配していた。
しかし小嶋ははっきり言う。
小嶋「撃つ勇気より、「生きる勇気」だろ?大切なのは。それに、きっと生きる勇気のなかにも撃つ勇気は入ってるさ。」
そう勇気づけるような言葉に中村は応える。
中村「あぁ、生きると誓ったんだ…!絶対にまた生きて帰れるさ!」
そう、勇ましく言った。
第11話「飢餓からの脱出作戦 計画編」
今回はとうとう飢餓から脱出するための作戦を立てる話でした…
設営隊たちの悲痛の叫びを、届かない悲鳴をどう勇気というものに変えていくのかがこれから見ものになっていくと思います。
それではまた次回お会いしましょう。
それでは、また




