表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屋根裏ダンジョン育ちの無名剣士、配信で正体を隠したまま無双する  作者: 剣竜
第二章 屋根裏ダンジョン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/40

第三十九話 合体する魔物と戦ってみた

 平均レベル35台の高レベルダンジョン『割れの縦穴』。

 その最深部にたどり着いた哲人と賭稲。

 前方の広い空間。

 今までとは明らかに違う空気が漂っていた。


「これ…マジでヤバいやつじゃ…」


「…いる」


 哲人が小さく呟いた。

 哲人は、ゆっくりと魔導銃剣を構える。

 暗闇の奥で、何かが動いた。

 地面?壁?

 いや違う。

 それは…


「岩…ッ!」


 複数の岩、それらが勢いよく哲人と賭稲に向かって転がってきた。

 一つ一メートルほどだか、直撃はさすがにまずい。

 何とか回避する二人。


「ふぅ~、危なかった」


 安堵する賭稲。

 しかし妙だ。

 ここは最深部。

 今までの道とは違って坂になっているわけでもない。

 岩が転がってくるわけが…


「…賭稲、後ろ!」


「へ…?うおッ!?」


 先ほど避けた岩が再び二人に向かって転がってきた。

 それを避けてもさらに追尾してくる。


「うわわわ」


「まさか…!」


 鑑定のスキルを例の岩に向ける。


 --------------------


 ロックギガント・レッグ

 Lv:30

 スキル:群体行動、合体


 --------------------


 やはりそうだ。

 あの岩が魔物なのだ。

 先ほど戦ったロックハウンドと同じ『群体行動』のスキルを持っている。


「この岩が魔物なんだ!」


「この岩が!?」


 哲人の言葉を聞き、賭稲が落ち着きを取り戻す。

 転がり続ける岩、ロックギガントたちが、不規則に軌道を変えながら二人を追い詰めてくる。

 しかし慣れてしまえば大したことはない。

 数は多いが、レベルも30。

 前の階層にいたロックハウンド以下だ。


「レベルは30。二人なら余裕だよ」


「よし、じゃあ一体ずつ片づけてやる」


 そういう賭稲。

 しかし、哲人はあることが気になっていた。

 それは、『ロックギガント・レッグ』という名前。

 レッグ…足…

 そして、スキルに『合体』という文字があったこと。


「まさか…」


 転がり続ける岩、ロックギガント。

 だが、その動きがふいに止まった。


「…あ?」


 賭稲が間の抜けた声を漏らす。

 次の瞬間、岩同士が引き寄せられるように集まり始めた。

 床を擦る重低音が、空間全体に響く。


「な、なんだこれ…ちょ、ちょっと待てって…!」


 賭稲が後ずさる。

 集まる、乗る、合体する。

 脚部のような塊が組み上がり、胴体を形成し、腕が生える。

 そして最後に、歪な頭部が乗る。

 それは、巨大な人型だった。

 全高はゆうに五メートルを超える。

 継ぎ接ぎのような岩の集合体。

 だが確かに意思を持って立っている。


「ロックギガント…!」


 賭稲の声が震える。


「いやいやいやいや!デカすぎるって!こんなの聞いてねぇよ!!」


 巨人がゆっくりと腕を持ち上げる。

 岩が軋む嫌な音。

 焦る賭稲。

 ゆうに二十体は合体している。


「30レベルが二十体だから合計は…600レベル!?」


 賭稲が叫ぶ。

 600レベルの敵など倒せるわけがない、と。

 しかし、哲人の一言で、賭稲の声が止まる。


「あれは『一体』じゃない」


「え?」


 哲人の視線は、巨人の継ぎ目に向けられていた。

 岩と岩の接合部。

 わずかにズレる箇所。

 動きの鈍い部分。


「集合体だ。パーツごとに動いてる」


 そうだ。

 先ほどまでと何ら変わりない。

 ただ人型になっただけ。

 ロックギガントがただ群体行動をとっているだけなのだ。

 人型に姿を変えたからと言って、劇的に強くなったわけではない。


「…ってことは?」


「一つずつ壊せばいい。さっきまでと同じだよ」


 あまりにも簡単に言う。

 だが、理屈は通っていた。


 巨人の拳が地面に叩きつけられる。

 衝撃で岩盤が砕け、破片が飛び散る。


「ひっ…!」


 賭稲が回避する。

 幸運のスキルの効果か、攻撃は全く当たっていない。

 その横を、哲人がすり抜ける。


「援護してくれ」


 短く言い残し、一直線に巨人へと向かう。

 哲人は跳んだ。

 振り下ろされる腕をギリギリで回避。

 そして、その勢いのまま巨人の脚部へと潜り込む。


「まずは足」


 魔導銃剣が変形し、刃が淡く発光する。

 そのまま、鋭い一撃。

 脚部を構成する岩の一つに叩き込まれる。


 ヒビが入る。


 二撃、三撃と攻撃を続ける。

 至近距離からの射撃。

 脚部を形成していたロックギガント・レッグ数体がまとめて吹き飛んだ。


「すげえ…」


 賭稲が呆然と呟く。

 巨人の体勢がわずかに崩れる。


「効いてる…!」


 哲人は止まらない。

 次々と関節部を狙い、動きを削いでいく。

 腕の一部が崩れ落ちる。

 肩が歪み、膝が砕ける。

 巨体は確かに脅威。

 だが、精密さはない。


「よし、次」


 哲人の一閃が、さらに一つのパーツを破壊する。

 やがて不安定になった巨体が、大きく揺らいだ。

 最後に頭部を構成する岩へと照準を合わせる。


 乾いた音が響く。


 次の瞬間。

 巨体が内側から崩壊するように、無数の岩へと分解した。

 静寂の中に、転がる岩の音だけが遅れて響く。


「…終わった」


 哲人はゆっくりと息を吐いた。


「…マジかよ…」


 賭稲が震える足で立ち上がる。


「いや、マジで…何今の…一人でボス倒したみたいなもんじゃん…」


 哲人は答えず、崩れた岩へと歩み寄る。

 そして、その中に手を差し入れる。

 取り出したのは、淡く光る結晶。

 さらに、通常よりも密度の高い外殻片。


「レアドロップ…それも複数か」


「えっ!?マジ!?」


 賭稲が駆け寄る。


「これ売ったらヤバいやつじゃ…?」


「素材としても優秀なやつだよ」


 哲人は淡々と回収していく。

 周囲を見れば、まだ動きを止めたロックギガントたちの残骸が点在している。


「…全部回収できるな」


「え、これ全部!?うわ、すげぇ…」


 賭稲の目が、さっきまでとは別の意味で輝く。

 と、その時だった。

 残されていたわずかな魔力を使い、ロックギガントが哲人に最後の反撃を仕掛けた。

 死なばもろともの一撃。


「なッ…!」


 完全な意識外からの一撃。

 避けられない。


「はッ!」


 しかし、その攻撃は通らなかった。

 賭稲のサーベルがその攻撃を切り落とした。

 最後の一撃はその場で三枚下ろしにされてしまった。

 崩れ落ちるロックギガント。


「ナイス援護」


「へへへ…」



 --------------------



 ロックギガントを倒し、ドロップ品を回収。

 そのままダンジョンから出る二人。

 賭稲のおかげで普段よりも数倍はいい素材を入手できた。

 これで屋根裏ダンジョンも強化できるだろう。

 哲人は賭稲に報酬を渡した。

 最初の約束の分だ。


「じゃあこれは報酬」


「え、こんなに…!」


「半分て最初に言ってたしな」


 賭稲としては7:3でも十分だったが、こんなに多くもらえるとは予想外だった。

 軽く雑談をして別れることに。

 一応、互いの連絡先だけは交換しておいた。

 名前は広めたくなかったので、そこだけは了承してもらった。

 雑談の中でいろいろと哲人が知らないことも聞くことができた。

 ダンジョンの素材以外にも、うれしい収穫があったというわけだ。


この小説が気になった方は☆☆☆☆☆で応援していただけるとありがたいです。


面白かったと思っていただけたら、感想、誤字指摘、ブクマなどよろしくお願いします!


作者のモチベーションが上がります!


コメントなんかもいただけるととても嬉しいです!


今後ともよろしくお願いします。


皆様のお言葉、いつも力になっております! ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ