無自覚
「魔大陸・・・ですか・・・。」
翌日早朝にて、エルフの村の自宅の自室にベリアナ、リューニャ、フローディナ、セフィリアを集めて魔大陸で実践すると伝えているところ。
「ああ。アリシア達が経験した同じような実践が出来る場所に明日向かうんだ。」
「アリシアさん達と同じ経験ですか。なら私は参加します。」
セフィリアは迷う事無く手を上げて言う。
「セフィリア・・・。うん。そうだね。私も行きます。流されてとかじゃなく。私が強くなる為に参加します。」
「そうですよ。ここで逃げたら行けてAランクだと思うし。」
「ここまでやったら最後まで、ですね。やりますよ。」
全員やる気を出し参加する事になった。
「分かった。だが今回は最短ルートで救出しないといけないから命令は厳守で頼むぞ。」
全員がはいっと気持ちいい声で返してくれた。
「それと装備更新もする。希望が無ければ俺が独断で決めるが・・・。」
スッっと手を上げたのはベリアナ。
「私、二刀流で戦いたいです。」
「ふむ。理由を聞こうか。」
「チベルネさんと訓練していた時なのですが。その時に二刀流で戦った際に戦いやすかったので。」
「ふむ・・・。」
スキル欄には二刀流3と書かれていた。
「そうか。ならその方向で作ろう。」
そしてメモ帳を出し書き残す。
「次は私。」
そう言ってリューニャが手を上げる。
「弓の他に杖を頂けませんか?。」
「ん?。」
リューニャのスキルを確認する。
スキル欄に本来習得できないはずの火魔術、氷魔術、風魔術がそれぞれ1レベルで習得していた。
「は?。リューニャ。お前魔術使えるのか?。」
「はい。実はサリアさんに魔術の事を教えてもらっていたら習得できまして・・・。それで弓以外の策として杖をと思いまして。」
「そうか。なら職はどうするんだ?。」
「やっぱり憧れのアリシアさんと同じようにアルテミスを目指したいとは思っています。」
「かなり厳しいぞ?。」
「大丈夫です。アリシアさんから狙撃に関してはお墨付きをもらいました。後は経験を積んでいくだけです。」
「・・・。アリシアがそこまで言うのか・・・。成長したみたいだな。」
リューニャの事もメモに残す。
「私はメイスで構いませんが、できれば長く重い物をお願いできますでしょうか?。」
「ヒーラーが超重量級武器を要求するか・・・。」
「いけませんでしたか・・・?。」
「いや。いいなって思ってな。分かった用意しておこう。」
フローディナのもメモに残す。
「私は刀であれば。」
「分かった。俺が思うように作ろう。」
そしてメモ帳を片付ける。
「じゃ今日の夕方に迎えに来る。それまでに荷物をまとめておくように。」
四人は元気よく返事をし、ゼラ出て行くを見送った。
「新しい武器・・・。」
「それだけ魔大陸の危険な所に行くという実感が湧きますね。」
「とりあえず気は抜かないよう頑張ろうね。」
「当たり前ですよ。それより挨拶回りと荷物をまとめないといけませんね。とりあえず先に荷物を整理して皆さんに挨拶して回りましょう。」
各自荷物をまとめて挨拶回りをする。
訓練で仲良くなったエルフ兵達や食事を作ってくれた料理人のエルフ達に私生活の世話や知識を教えてくれた年配のエルフ達とほぼ全員に挨拶をして回った。
「本当に良い人ばかりだね。ここの村は。」
「ですね・・・。」
セフィリアは少し浮かない顔をしている。
「大丈夫だよ。帝国がここを攻めるように言ったクズはゼラ様とお兄さんが倒してんでしょ?。」
「そうですが・・・。あの時に今の力があれば多少結果は変わっていたと思うんです・・・。」
「なら二度と繰り返さない様に力をつけよ。過去は過去。起こってしまった事は消せないんだからこれからの事を考えよ。ね?。」
「リューニャは本当に前向きですね。」
セフィリアは笑う。
リューニャも釣られて笑い、
「私には前向きしか取り柄がないからね。それにその前向きのおかげでアリシア様の訓練を耐え抜いた感じだから。私はこれからもこの取り柄だけは失わないようにしたい。」
「本当に強い・・・。私とパーティーを組んでくれて本当に良かったよ。」
「ですね・・・。今思うと運命の導きに感謝しかないです。」
ベリアナとフローディアはしみじみ思う。
ハイオークに捕まっても自分以外を逃げるように言って、自分の技を返され腕が吹き飛んでも大きな声を上げることなく痛みに耐え、地獄の訓練にも耐えてベリアナやフローディアは弱音を吐いてしまった時には励ましてくれた。
リューニャ自身はアリシアの事を悪魔だのと悪口は言ったが辛いやしんどい等の弱音は一度も言ったことがない。
ベリアナとフローディアはそこに惹かれ軽蔑されないように見放されないように頑張ってきた。
それを知ったかはたまた無自覚なのか訓練が始まって1週間後に三人で集まっている時にリューニャは二人に、
「二人に会えて本当に良かったよ。これからもずっとよろしくね。」
と笑顔で言った。
二人は少し泣いてしまった。
リューニャはなんで泣くのっと慌てて二人を励ました。
それ以来三人の仲は深まり、互いにしている訓練の情報を共有したり、新しい事を試したりと向上心が高まった。
セフィリアもその仲に馴染むようになり現在では四人で弱点の洗い出しをし克服する為に試行錯誤を繰り返している。
「さて、荷物をまとめてアリシアさんにも挨拶しに行こ。」
リューニャはせっせと荷物をまとめ始める。
釣られて三人もまとめ始める。
そして使った部屋の掃除を終わらせアリシアがいるはずの場所のゼラ宅の情報司令部へ足を運ぶ。
するとゼラとアリシアにタリナが話し合いをしていた。
「ふむ・・・。そうですか。それでしたら私も行きましょう。」
「ああ。頼む。護衛にチベルネ、サリアを連れてきてくれるか?。」
「はい。自己防衛の方もチベルネ以外が行えるようにしておきましたので。それにタリナがいます。村の事は安心して任せられます。」
「正直な話をしますとですね・・・。ゼラ様、アリシア様が仕事が早過ぎるので私に回ってくる仕事の量が多すぎるのでもう少し減らしてください・・・。」
「え?。俺そこまで仕事してないぞ。」
「私もそこまでしてるつもりないんだけどなぁ・・・。」
「無自覚ですか!?。ゼラ様は新しい業種の設立に各国の王と同等の書類仕事をこなしてますし。アリシア様は村の特産品の開発に村の開拓も勧めているんですよ!!。常人だと考えて考えて提案等を出し、部下に命令っという猶予があるはずです。ですがお二人は直感で物事を進める為に早過ぎて私達の負担が大きいんです・・・。なのでもう少し自重を・・・。」
「すまんな。それは無理だ。今は成長期に入る寸前だ。今のうちにやっておかないと後々大変になるんだ。だから耐えてくれ。」
「ですが・・・。もう少し・・・。」
「頑張ってくれ。安定したら長期休暇は出来る様にするから。」
「うぅ・・・。分かりましたよ・・・。頑張ります・・・。なのでゼラ様・・・。早く帰ってきてくださいね・・・。」
「おう。早く帰ってきてまた仕事増やすわ。」
「おにぃ・・・。横暴だぁ・・・。仕事辞めてやるぅ・・・。」
「・・・。そこまで詰め込んでるのか・・・。仕方ない。ナルベアの方に多めに分けるか。」
「え・・・。」
タリナが驚く。
「あの・・・。ナルベアは一体何をしてるんですか・・・。」
「物価の調査。嗜好品の傾向。帝国や王国の経済情勢。裏組織の状況。裏取引の傾向。流行り病の情報。流行の商品。周辺の村の魔物被害の情報を調べてはまとめて俺に知らせてくれてるな。後はギルドの仕事をついでにやって、向こうの家でメイド長の仕事をやってる。まぁ二日はちゃんと休みを取らせてるがまぁ大抵は調べ物をしてる。俺が命令しない限りは色々とやってるな。タリナの3倍ぐらいは働いてる気はする。」
「・・・。変わりすぎですよ・・・。昔はかなりおどおどして自信なさそうにしてたナルベアが・・・。」
「人ってのは変わるもんさ。それはプラスでもありマイナスでもある。ナルベアの場合は本人の実力向上に関してはプラス。逆に自己管理が疎かになっているからそこがマイナスだ。まぁある程度は命令で俺に付き添いをさせて一緒に食事やお茶に昼寝をさせてるからまだ大丈夫だと思いたい。」
「ゼラ様。私も付き添いで食事や昼寝に同行させてくださいよ・・・。」
アリシアは少しむすっとし拗ねる。
「まぁアリシアの場合はこの村の代表だからな。そんな簡単に連れて行ける立場の人材じゃないから余裕ができない限りは無理だな。」
「じゃ。魔大陸に行く時にでも・・・。」
「ん~。速さ重視だから数回ぐらいしかないがまぁいいだろ。」
「やった!!。って貴方達!!。」
アリシアが四人に気付く。
少し顔が赤くなる。
「あはは・・・。本当にゼラさんは人気ですね・・・。」
リューニャは苦笑いをして近付く。
それに続いて三人も寄ってくる。
「すいません・・・。聞くつもりは・・・。」
セフィリアが気まずそうに言う。
「構わん。別に聞かれて困るような事話してないし。」
「では私は持ち場に戻ります。」
きりっとした顔をし部屋を出ていこうとするタリナ。
「そんな今更きりっとしても無意味だぞ。」
「うぐ・・・。言わないでくださいよ・・・。」
「まぁ上に立つ者だって愚痴りたくなるもんだ。いいか?。何事も全部は吐けとは言わんがガス抜きはしろよ。タリナみたいに溜め込み過ぎると老けるからな。」
「誰が老けてるんですか!!。私はまだ40歳!!。人間で言うと20歳です!!。」
「そうだな。じゃ俺より年下だな。」
「うぐ・・・。それだけは・・・。認めたくないので40歳です・・・。」
「どんだけ俺が年上になるのが嫌なんだよ。」
「当たり前じゃないですか。手間が掛かる弟みたいな存在です。」
そう言って出て行く。
「・・・。少しはましな顔になったな。仕事を減らすか。とりあえず秘書をもう一人探さないとな。とりあえずお前達はどうした?。」
ゼラは笑いながら四人の方を向く。
「いえ。荷物をまとめ終わったので挨拶をと思ったのですが。」
フローディアが言う。
その後にリューニャが前に出て、
「話の内容からアリシアさん達も来るのですか?。」
「まぁな。とりあえず明日に話しながら行くことになる。じゃアリシア後は頼むわ。俺はこの子達の武器作りにサリアと一緒に作るから用事があればサリアの所に来てくれ。」
そう言って出て行く。
「アリシアさん。」
「どうしましたかベリアナさん?。」
「ゼラさんの仕事量って・・・。」
「そうですね・・・。今日の予定ですが、早朝に訓練をして朝食中に全員の予定把握した後にここに来てこの村の進捗情報を確認して貴方達に魔大陸に行くかを聞いて、今はサリアと武器製造をして、その後に魔大陸に情報を確認しに行くみたいです。ちなみに普通なら武器製造は1週間は最低でもかかりますが錬金術で作るので素材があればすぐに作れるのですよ。」
「なんかとんでもない情報量を毎日頭にいれてるって事になるんですかね・・・。」
リューニャは冷や汗をかく。
「まぁ常人であれば発狂してしまう量ではあるとだけ言っておきましょう。さて私は今は暇ですのでお茶でもしましょうか。」
ニコッと笑うアリシア。
その後はアリシアと世間話と言う名のゼラとの今後についての話し合いが始まるのであった。




