魔大陸の案内
その後はゼラが満足するまで模擬戦が続き全員が限界以上まで戦ったので磨り減った精神と体力を癒す為に家で休む事となった。
鍛錬から帰ってきたのを見たセリアナはどんな事をしたのか気にはなったが怖くて聞けず朝食を全員分を出してくれた。
そしてゼラが座るり残りの空いた場所にシス達とリエにルシファーとミカエルが座り埋まる。
「そろそろここの机と椅子買い替えかな。」
「どうぞ。ゼラ様。」
そう言ってセリアナはゼラに朝食のプレートを置いてコーヒーも入れてくれる。」
「ありがとう。いただきます。」
そう言って食べ始める。
今朝はコッペパンみたいなパンとスクランブルエッグに自家製のハムと色とりどりのサラダだった。
「ふむ・・・。美味い。」
「っほ・・・。良かったです。」
「もっと精進して俺を吠えさせるぐらいの料理を楽しみにしてるぞ。」
「は・・・はい!!。」
笑顔で返事をするセリアナ。
「セリアナの目標はとんでもなく高い。」
「え?。」
シスの言葉で少し戸惑う。
「そうですよ。」
「なんせ主様は大抵普通のリアクションしかしてくれないの。」
「ですね。私達の料理も基本は美味しいとしか。」
「吠えない・・・。」
「けどそのおかげで色々試行錯誤や情報の共有をして自己アレンジをしているのでありがたいんですけどね。」
「そうだぞ。ここにいる全員それぞれ独自の味を作っている。」
「同じ料理でも味が全く違いますもんね。」
「そうですか。それは凄いですね。」
そんな会話をしながら朝食をする。
食べ終わった後はゼラ以外は家で休む事となったので、
「じゃ俺はセリアナを魔大陸の方に連れて行ってどんな所か説明してくる。」
その場にいる全員はそれぞれの返事をしたのでセリアナを連れて必要な荷物だけを持たせて転移でサタンの城に移動する。
一方その頃のサタン達は、
「え?。ダークエルフと連絡取れたのですか?。」
サタンとヘーゼナルボが王座の部屋で情報交換していた。
前の王座と違い会議用と客人をおもてなしも兼ねた白く清潔な部屋に変わっていた。
「ああ。俺が直々行ったら居たからな。」
「そうですか。で?。」
「そうだな。正直言ってかなり深刻な状況だったな。原因不明の病がダークエルフの集落を襲っていて全員の能力が半減している。外に出ようにもあの集落の周辺の魔物は今でも強化されているから俺だけでは辛いからな食料も水も尽きかけていたダークエルフ達も困り果てていた。それに瘴気があそこままだ漂っている。だからコウモリを飛ばしても帰ってこないかったんだ。まぁ俺の判断ミスだ。」
「・・・邪神ですか?。」
「可能性は有り得る。だがここから先はゼラに報告してからの方が・・・。」
「俺を呼んだか?。」
「「!?」」
二人の横に現れてたゼラにびっくりする。
「お前は・・・。」
「びっくりしました・・・。もう。脅かさないでくださいゼラ様。」
「いやー。すまんすまん。」
そう言って適当な椅子に座るゼラとその横に立つセリアナ。
「その子は?。」
ヘーゼナルボがセリアナに気付く。
「ああ。この子はセリアナ。ほら挨拶。」
「は・・・はひ・・・。」
緊張であがりきっている。
「ふふ。そんなに緊張しないでください。深呼吸しましょうか。」
サタンが微笑みながら深呼吸をさせる。
そして落ち着いたセリアナは自己紹介を始める。
「私はセリアナと言います。ゼラ様にこの地で料理をしないかと勧誘されました。よろしくお願いします。」
「料理・・・。お前何を考えているんだ・・・。」
「え?。別に普通に飲食店作ろうと思ってるだけだが?。」
「飲食店ですか・・・。いいですね。最近はそろそろ帝国の食料をもらわなくてもやっていけるぐらいの食料は確保できる見通しですし。」
「観光には食は大事だろ?。」
「そうですね。人間との交流が始まれば大事ですね。ですが早すぎませんか?。」
「育成人材や建物の改装に食料の問題等を取り出したら開店までに2年程度を予定してるが?。」
「・・・。それぐらいだと帝国とエルフとの商業を開始する予定。合わせる感じか。」
「そうゆうこと。ってな訳でこの子がその飲食店の店長候補。まぁ今日は顔見せとここの案内。」
「そうか。」
ヘーゼナルボは呆れたように笑う。
「んで。俺がどうかしたのか?。」
それからダークエルフの状況を聞かされる。
「ん~。美味しい情報だけど今すぐは動けないな。特に今日は。」
「邪神を美味しいって・・・。お前の感覚はおかしいぞ・・・。」
「あの・・・。何故今日はなのでしょうか・・・?。」
サタンが恐る恐る聞く。
「ああ。俺が新しい武器を手に入れたから調子に乗って限界まで戦ったから。」
「・・・。恐ろしい単語を聞いたぞ・・・。」
「その武器とは・・・。」
ゼラがティルフィングを取り出し机に置く。
「これ。」
「剣だな。」
「綺麗な剣ですね。聖剣の部類でしょうか?。」
サタンが握った瞬間パーンっとティルフィングが砕け散る。
「え・・・?」
「サタン様・・・。」
「私握っただけです!!。壊してません!!。え?。え!?。」
ヘーゼナルボは青ざめ、サタンはテンパってあたふたし始める。
「・・・っぷ・・・。ははははは。」
お腹を抑えて笑う。
「え?。ゼラ様。」
「大丈夫大丈夫。これ砕け散っても元に戻るから。」
そう言って背中を見せる。
「なんなんですかその武器・・・。」
「ティルフィング。」
「っは?。ティルフィングってあの伝説の魔剣か?。」
「そう。その魔剣を俺が作り直したのがこれで聖魔剣ティルフィング。」
そう言ってまた机に置く。
今度は眺めるだけにする二人。
「本当に痛いからやめてください・・・。」
ゼラはティルフィングの言葉を無視して、
「まぁ所有者以外が握るとさっきみたいに粉々になるんだよ。んで所有者の元に戻ってくる。そして大抵の相手に特攻ダメージがついている優れもので剣術と聖剣術の付与効果も持ってる。」
二人は沈黙して驚いている。
「なんかますます訳のわからない方に進んでるな。」
「きにするな。んで今日は街中を探索するが問題ないか?。」
「あ。はい。大丈夫ですが私も一緒に行っても大丈夫でしょうか?。」
「暇があればいいが何も面白い事はないと思うが。」
「構いません。準備してきますね。ここで待っていてください。」
そう言ってサタンは部屋から出て行く。
それから暫くすると黒い私服を着たサタンが入ってきた。
「すいません。」
「気にするな。じゃ行くぞ。ヘーゼは情報をまとめといてくれるか?。明後日にはダークエルフの所に向かいたい。」
「分かった。用意しておく。サタン様は頼むぞ。」
「頼まれなくても安全は保証してやる。」
ヘーゼナルボは軽く笑った後礼をして見送った。
その後は街を見て回る。
少し前と違い建物が修繕が終わっていて魔族達は楽しそうに喋って仕事をしていて活気の良い雰囲気が溢れている。
中には帝国で奴隷だった子達も混じって話をしているので種族での違いを感じさせない雰囲気を出している。
「凄いですね。」
「何が?。」
それを見たセリアナは素直な感想を言う。
本や国の貴族達は魔族とは分かり合えないと言っていたがゼラは簡単に繋がりを作っていた。
「魔族と人間の共存です。」
「それは昔だろ。」
「え?。」
「魔族と人間が共存出来ないのは前魔王が好戦的で人間の領土を侵略戦争をしたからだ。今の魔王のサタンはその後の立ち直しを考え魔族にも人にも利益が出るように考える至って普通の王だ。」
セリアナはサタンを見る。
「私はそうですね。まぁ私が魔王をやっている間はその考えを貫き通しますよ。」
優しく笑うサタン。
現にサタンはゼラが連れてきた子達はこの国の住民として受け入れ待遇も同じにしている。
その後はゼラの手助けによって畑を作り、それに興味を持った魔族達がサタンに提案し率先して手伝い今の大きな畑を作り農業を確立させるまでに至っていた。
「寿命や能力は違います。ですけど生きているんです。意思を持って意見が交わせるならば言葉で解決できるはずなんです。まぁ綺麗事ですけどね。」
「そんな事はありません。私なんかよりずっと立派です。」
「ふふ。伊達に長生きしていませんからね。ですが私なんかよりゼラ様の方が凄いんですよ。エルフの村の英雄、この国の立て直し、帝国の再生、それだけにとどまらずギルドの評判も上げて弟子の育成や新しい事業を考えてずっと働いておられるのですから。」
そう言ってサタンはゼラを見つめる。
「俺はそこまで考えて動いてないけどな。自分がやりたい事を進めてる自分勝手な人間だ。」
「ふふ。私はそう思いません。」
若干照れているゼラと微笑むサタン。
(この人もゼラ様の事好きなんだ・・・。本当にあっちこっちに想いを寄せてくれている人が居る・・・。私なんかちっぽけな理由だけど、サタン様とかナルベアさん達は色々救われたんだ・・・。少し羨ましい・・・。)
「大丈夫ですよセリアナさん。」
「!?。」
セリアナの耳元で小さい声で、
「私はゼラ様に確かに好意を寄せています。ですが貴方が引く理由はありませんよ。好きになるのは仕方ないじゃないですか。ですが貴方が諦めれるのであれば私は止めませんが・・・。」
「・・・。」
「それにシス様達の信頼には絶対届かないんです。ある程度は割り切って努力しませんと倒れますよ?。」
(そうか。ナルベアさん達も割り切って好きになってもらう様に努力してるから余裕があるんですね・・・。)
少し皆の事を理解できた気がしたセリアナ。
「おい。どうかしたか?。」
不自然に止まっている二人に声をかける。
「すいません。今行きますね。ほら行きましょうセリアナさん。」
「はい。」
差し出された手を握るセリアナ。
そして二人はゼラの後を追う。
その途中で声をかけてくる人や魔族は全員ゼラとサタンに笑顔で挨拶をしてくる。
それをちゃんと返す二人。
一見普通の様に見えるが実際全員から確実に挨拶される事が異常だった。
「凄いですね。」
「まぁ異常だわな。全員が俺やサタンに挨拶してくれるのは。まぁ良い国の証でもだあるからな。これもサタンが頑張ってる成果だ。」
「そんな事はありません。ゼラ様のおかげで今があるのですから。」
案内を一通り終えた後にやってきた場所は、
「ここは孤児院ですか?。」
大きな学校みたいな建物の前までやってきた。
「そうだな。けど正確には学校みたいなもんだ。身寄りのない子供達はここで暮らしている。んで朝から昼過ぎまではここで勉強だ。読み書き、計算の他に才能があって使えるなら魔術、気合があれば剣術も教えている。」
「・・・。普通そうゆう事を教えているのは貴族達等のお金持ちが行く場所じゃ・・・。」
「そうですね。私の国でも昔はそうでしたがゼラ様のススメで小さい時に色々やらした方がいいと言われたので実践してみたんです。」
「教師はヘーゼナルボが選んだ人達だから問題なく機能している。剣術は脳筋のミーティアルアで魔術はアルテミアが担当してるがどうなん?。」
「二人共面白いって言って鍛えてますよ。既にミーティは5人筋の良い子を弟子にして、アルテミアは2人を弟子にしてますよ。ちなみに今日はその子達を特別に鍛えていますよ。」
ゼラはニィっと笑い。
「じゃ行こうか。」
「言うと思ってましたよ。案内しますね。」
「え?。え?。」
ゼラの不気味な笑いに戸惑うセリアナ。
苦笑いをして案内をするサタン。
「これはまた戦いか~。」
背中に装備されているティルフィングが呆れて諦めている。




