ミーティアルアの弟子
案内された場所は訓練用に整地された広場。
そこにミーティアルアが5人の弟子を相手に戦っていた。
その中には奴隷の子が2人混じっていた。
魔族の子が3人で男子が2人と女子が1人。
赤黒い羽の生えた赤毛の短髪の男子と蒼色の羽を生やした緑色のショートカットの男子。
黒い羽を生えたロンクの黒髪の女子。
そして白と黒が半分ずつに分かれたショートカット女子と髪の色反転しただけで瓜二つの女子。
そして勝負が決着がついてミーティアルアが余裕で勝っていた。
「ん~。皆筋は良いんだけど実戦不足かな。」
「先生が強すぎるだけだろ。はぁ・・・。」
「今日こそ一発当てたかった・・・。」
男子二人はしょんぼりしている。
「また明日に向けて作戦を練るのと特訓しよっか。」
「そうだね。」
「それじゃ先・・・。」
一人がゼラ達の存在に気が付く。
「おう。なかなか良い子達鍛えてるじゃないか。」
「あ。ゼラさん!!。」
ミーティアルアが駆け寄ってくる。
「ゼラさんもそう思いますか!!。ほら!!。アクト、ゼフィーリド、ミリィアン。自己紹介だよ。」
そう言ってゼラの前に5人が並ぶ。
「俺アクトって言います!!。」
「ゼフィーリドです。」
「ミリィアンといいます。」
「おう。宜しくな。」
初対面の3人だったのでそう言う。
「ご無沙汰しておりますゼラ様。」
「お久しぶりです。」
双子で忌子として一緒に捨てられそのまま帝国で奴隷に堕ちたが売られる前に助けられ現在はここで勉強しながら生活していた。
「ああ。久しぶりだなカミラ、サミラ。最近はどうだ?。」
「はい。剣術をやろうと思い二人で志願しました。」
「先生が強くて勝てませんがいつかは勝ちたいです。」
二人は楽しそうにゼラに話す。
「うんうん。充実した生活してて良かったよ。」
二人の頭を撫でる。
二人は照れるように顔を赤くするが嫌がりはしない。
「さて丁度いいか。」
「何がですか?。」
ミーティアルアは分からなかったので首をかしげる。
「ミーティ。俺と戦え。」
「え?。いいですけど。でも剣なんか使えましたっけ?。」
「昨日から使えるようになったからな。試験運用を手伝ってくれ。」
「分かりました。皆も見ていくよね?。」
全員元気よく頷く。
「ゼラ様の剣。楽しみです。」
サタンは子供のようにウキウキしてゼラを見る。
「私もゼラ様が戦うのを見るの初めてでドキドキしてます。」
セリアナは緊張しているようだった。
そしてゼラは軽く体をほぐしてから二人は距離を取って向かい合う。
ミーティアルアの構えは大剣を右手で持ち短剣を左手で持っている二刀流ではあるが二刀流を習得していない。
「では審判は私がさせてもらいますね。ルールは致命傷を与えたら勝ち。腕や足が吹き飛んだり首や胸に寸止めでも勝ちにします。」
二人は頷き。
「では。始め!!。」
そう言った瞬間ミーティアルアがゼラに目掛けて全力で突っ込む。
ゼラは動かず見ているだけ。
「はぁ!!。」
大剣がゼラに襲うゼラはティルフィングで軽く動かし逸らす。
しかしそのまま短剣で襲うミーティアルア。
大剣は持ったままだが素早い剣撃がゼラを襲う。
「しっかしさ。いい加減二刀流覚えたらどう?。」
ゼラは最小の動きだけで避ける。
「そんなに覚えられたら苦労しませんよ!!。」
ミーティアルアは二刀流が習得出来ないでいる。
理由は大剣と短剣と言う大きさの差だったり本人が不器用だから等の様々な理由が浮かぶが不明である。
「すげぇ・・・。」
「これが上位者の戦い・・・。」
「少しでも盗めるように見ないと・・・。」
「ゼラ様の動き分かる?。」
「全く見えない・・・。カミラは?。」
「少し・・・。予測してる動きをしてる。次どこに来るかがわかっているかのように避けてる。」
「カミラの目って凄いな。俺なんか凄いだけしか分からないのに。」
「そんな事ないよ。それよりそろそろゼラ様が動くよ。」
カミラがそう言ってすぐに、
「じゃそろそろ動こうかな。」
「え?。っぐ・・・。」
短剣を弾かれ吹き飛ぶ。
「まだ!!。」
そう言って反対側の大剣で斬る。
それを受け流し勢いを利用して弾く。
「うそ・・・。」
「はい。俺の勝ち。」
ティルフィングが首に突きつけられて勝負が終わる。
「ん~。やっぱりこの程度か。」
そう言ってティルフィングを背負う。
「いやいやいや。ゼラさんの技おかしいですよ!!。」
「何がおかしいんだよ。」
「全部です!!。弾くタイミングに受け流しに回避。全部に隙が無さ過ぎるんですよ!!。本当に戦いい辛い・・・。」
「ん~。タイマンだとやっぱすぐに終わっちゃうな。サタンお前も入ってくれ。」
「え?。はい。分かりましたが・・・。宜しいので?。」
「構わん。朝はシス達10人とか相手に魔術有りでやってたし。」
「「異常ですよそれ!!。」」
二人して同じ事を言う。
「まぁまぁ。取り敢えずやろうぜ。」
「はぁ・・・。本当に我のマスターは戦うのが好きだね・・・。」
「後で破壊してやろうか?。」
「ごめんなさい・・・・。」
「よろしい。」
ぼそぼそっとやり取りをするゼラとティルフィング。
その後は2人相手に魔術無しで互角に戦う。
「あの・・・。ゼラさん・・・。いくらなんでも私達二人相手に互角に戦うのは・・・。」
「そうですね。流石に強いとかそんなレベルで済まないですよ。」
「構わん構わん。しっかしさっきと違って勝負を決めに行き辛いし面白いな。」
そう言ってゼラはミーティアルアに突っ込んでいく。
「・・・。なぁ・・・。」
「言うな・・・。僕も困惑しているんだ・・・。」
「なんであの二人相手にして互角なの・・・。ねぇ・・・。」
「分かったら苦労しないよ・・・。」
「さっきより動きの予測が出来ない・・・。」
隙を伺うゼラにそれを阻止しながら追い詰める様に動くサタンとミーティアルア。
しかしゼラは弱点を見つけた。
サタンが攻撃する時にミーティアルアが少し後ろに下がるタイミング。
その時にサタンの攻撃を流して体勢を崩し時間を稼ぎそのままミーティアルアに突っ込む。
「え!?。」
「・・・。」
咄嗟に防ごうと大剣を構えるが、
「遅いぞ。」
短剣を持っていた方の左腕が吹き飛ぶ。
「ひぐぅ・・・!!。」
右手で斬られた左腕を押さえる。
「はい。俺の勝ち。」
そう言って腕を治療し元に戻す。
「うぅ・・・。サタン様・・・。申し訳ございません・・・。」
「そんな事はありません。ミーティアルアはよくやってくれましたよ。」
「ふむ・・・。やっぱりミーティの二刀流スキルが無い分隙が大きいな。」
ミーティアルアの弱点は同時に大剣と短剣が使えない事。
判断ができてもどちらかが疎かになりそこを突かれた結果がこの勝敗が決まった。
「早く二刀流を覚えろよ。」
「努力します・・・。」
シュンっとするミーティアルア。
「っま。弟子を鍛えるのも忘れるなよ。」
「有難うございました・・・。」
全員武器をしまう。
「さて。君達。」
5人に向かっていう。
「これがミーティアルアの弱点だ。」
「弱点なのか・・・?。」
アクトが疑問に思っている。
「そうだぞ。この脳筋は二刀流を持ってないから片方でしか攻撃や防御が出来ないんだよ。能力差と実戦の差で補って君達より強いだけだ。だけど同等クラスやそれに近い実力者だと簡単に負ける。ちなみに俺は力でも速さでもあいつに劣っているからな。」
笑いながら言う。
「なんでサタン様とミーティアルア様を相手にしても勝てるですか?。」
サミラが質問した。
「そうだな。実力差は確かにある。けどそこは立ち回りで補う事で格上相手にでも戦える様にするんだよ。そして俺の立ち回りは基本待ちだ。耐えて隙を伺って見つけた隙に全力をぶつける。これだけだ。言うのは簡単だがやるのは難しいから誰もが出来る事じゃない。」
「質問いいでしょうか?。」
カミラが手を上げて問いかけてきた。
「答えられる範囲ならいいぞ。」
カミラはゼラを見つめ、
「ゼラ様の動き方。まるで相手が次の行動が分かっているように動いているように見えたのですが・・・。未来が見えているのでしょうか?。」
カミラ以外の今の言葉に4人は呆然とする。
「カミラは良い目を持ってるな。」
楽しそうに笑うゼラ。
「どうなのですか?。」
真剣な顔でゼラを見つめ続ける。
「そうだな。じゃ質問。この後俺は何をするでしょうか?。」
「え?。・・・。」
カミラは考える。
質問の意味とゼラがやろうとしてる事を考える。
ゼラを見て、瞳を見て、手を見て、足を見て様々な所を見る。
だけど答えは分からない。
「・・・。分かりません。」
「そう。それが正解。」
カミラに近付いて頭を撫でる。
「え?。」
正解と言われ驚く。
「カミラ。俺を見て分からないと言っただろ。」
「はい。」
「俺は体のあらゆる場所から次の行動が予測出来る要素を消したんだよ。心は無にして、瞳は君を見つめるだけ、息は一定でして、手足は一切動かさない。だから次の行動は分からないで正解。」
「・・・。まさか戦闘中は予測で全て動いていたと?。」
「そう。相手の全てを観察して次の行動を予測し動く。それが俺の戦闘方法。けど希に外れるからそこのケアもしながら戦ってるけど。」
カミラは理解したのか笑う。
「凄い・・・。凄いです!!。そんな事出来るゼラ様は本当に凄いです!!。」
「カミラ。何がどう凄いの?。」
サミラが不思議に思って聞いた。
「ゼラ様がやっているのは先読み。ただ一手先じゃなくてその先の全てを読み切ってる。これは長年の経験や洞察力が無いと出来ないの。私はまだ少ししか出来てないけどゼラ様はあの若さで完全に物にしていて読みが外れた時もケア出来るぐらい極めているの。正直ミーティアルア様の弱点が武器を同時に扱えないってのも私は分からなかった。だって手加減してくれていると思ってたから。それにサタン様もミーティアルア様も先読みをしているけどゼラ様は完全に読みを外して戦ってた。凄い勉強になる。」
(いや。それは神眼と向こうのゲームの知識に五年近くもこの戦術してたおかげなんだけどな。)
その後5人の前に立って。
「どうだ?。一戦やるかい?。」
5人それぞれ顔を見合わせる。
「私はやります。」
そう言ってカミラが前に出てきた。
「カミラがやるなら私もやります。」
そう言ってサミラも出てきた。
「俺もやる。」
「僕もだ。」
「全員行くなら行くしかないじゃない。」
それぞれ武器を構える。
模造刀ではあるが全員直剣タイプ。
「ふむ・・・。とりあえず出しておこうか。」
そう言って様々の大きさの模造刀や棍武器に槍に盾を大量に出す。
「すげぇ・・・。一杯出てきた・・・。」
「あの・・・。これは一体・・・。」
カミラとサミラ以外は呆然と眺めている。
後の二人は武器を選び始めていた。
「好きなの使っていいぞ。お前達はロングソードやショートソード、大剣ぐらいしか握ってないだろ?。」
「はい。しかしこれは色々ありますね。」
楽しそうに武器を握って振ったり眺めたりしているカミラとサミラ。
「だから使ってみるといい。試しは俺が受けてやる。」
「有難うございます。では私はこれで。」
「私はこれかな。」
カミラが手に取ったのは盾と槍。
サミラも同じ物を手に取っていた。
そして二人は互を見て笑う二人。
「「やっぱり同じ物になるね。」」
「じゃ俺はこれだ!!。」
「僕はこれかな。」
「私はこれがいい。」
アクトはグレートソードタイプ、ゼフィーリドは両刃剣タイプ、ミリィアンは薙刀タイプの物をそれぞれ手に取って構える。
「それでいいのか?。」
「「「はい!!。」」」
「じゃ私達は少し慣れてきますね。それまでお待ち下さい。」
「ああ。準備できたら戻ってきてくれ。」
そう言ってカミラが全員を引き連れてそれぞれの武器の特性や性能に弱点を振ったりそれを見たりして探り始める。
「うぅ・・・。私あの武器教えられないよ・・・。」
ミーティアルアが不安そうにカミラ達を見る。
「別に教える必要はないぞ。近接戦闘に必要なのは基礎と場数だ。基礎の方は今日俺が教えておくから後はお前が何とかして場数をこなさせるだけだ。多分そのうち追い抜くんじゃないか?。」
「そ・・・そんな事ありません!!。いえ・・・。させませんよ!!。私も頑張るんです!!。」
「お。やる気があるなら二刀流の習得手伝ってやる。」
「はい!!。」
そう言って二人は武器を取り戦い始める。
「本当に楽しそうで良いですね。」
「そっそうなんですね・・・。」
場の空気になれないセリアナ。
今まで戦いやその訓練を見た事が無いため免疫がない。
「セリアナさん。お話しましょうか。」
「え・・・?。あ。はい。」
ゼラ達を残しセリアナはサタンに連れられて建物の中へと案内される。




