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勧誘


城を出た後は各自それぞれ自由に買い物をする事になった。


ゼラはあっちこっちで珍しい調味料や食材等を買い漁ったり、魔術の基礎の本を買ったり、それぞれの鍛冶屋の腕前を見て回っていた。


その中の1店舗で妙に気になる剣を見つけた。


「おやっさん。これは?。」


「それはティルフィングっていう魔剣だ。この国では悪魔の魔剣と呼ばれてるもんだ。」


「いくら?。」


「おい。それは売りもんじゃないぞ。まぁ誰も触れないからそこに封印されて放置されているんだ・・・っておい!?。」


ゼラは取り敢えず握る。

違和感も無くじっくり手に取って観察する。


「血で赤黒くなってるな。手入れもしてないはずなのに刃は凄い切れ味だな。」


「お・・・お前さん・・・。ティルフィングを握れるのか・・・。」


店主は驚いてゼラを見ている。


「あ?。これそんなに危険な剣だった?。」


どうやら向こうで実装されていたティルフィングと違う物だったらしい。

向こうでは物理ダメージを上昇させるが保有者の魔力を死ぬまで吸い続ける魔剣として扱われていた。

攻撃性能は1位だったがデメリットの魔力吸収が秒間1割のMP吸収とMPが0になったら死亡扱いと強すぎて最大威力を開幕に叩き出した後は別の武器で戦う戦術でしか使えなかった。

ポーションや指輪で回復や自然回復を高めてもそれ以上に魔力を食らうので結果開幕だけという結果になった。


「ああ。封印されていても精神を支配されて体が乗っ取られる。この国のヴェイン様ですら操られかけたぐらいの強力だぞ。お前さん・・・。一体何者だ?。」


「はいこれ。」


「ブラックカード・・・。覇王!?。」


「そう。俺が覇王。名前はゼラだ。よろしく。ヴァーグル。」


「・・・。本当に神眼持ちなんだな・・・。」


目の前にいるゼラの容姿を見て現実逃避をしかけている。


「皆にそう言われる。取り敢えずもう一度聞くけど。これいくら?。」


「構わん持っていけ。正直あっても困る剣だったんだ。」


「そうか。じゃ代わりにこれと交換な。」


そう言ってゼラは一本の剣を渡す。


「こ・・・これは・・・。お前さんこれはどこで・・・。」


店主は驚きのあまり剣の詳細を聞いてくる。

ゼラからしてみればただのロングソード。

だが店主からしてみればとんでもない業物。


「それは秘密。じゃ今後の質向上に使ってくれ。」


そう言って店を後にする。

その後は特に何もせず集合場所である広場の噴水で全員と集まる。


「相変わらずいろんなもん食べてるな。」


シスとアウラとスィーナは出店の食べ物を頬張りもぐもぐと食べている。


「んっく・・・。お帰りマスター。」


「ん・・・。お帰りなさいませ。」


「んはぁ・・・。お帰り。」


きっちり飲み込んでから話をする。


「しっかし結構の量買ったみたいだな。」


「そうですね。調味料各種とお肉にお魚と野菜等を三日分程買い貯めさせてもらいました。」


「けど毎日本当によく食べるね。」


リエは関心して三人の食べっぷりを


「多分ラズ達も大食いだと思うぞ・・・。まぁ食べた分は働いてもらうからいいけどさ。」


「あは。」


「んでリニ。なにそんなに喜んでるんだよ・・・。」


上機嫌のリニが気になり聞いてみる。


「え?。これですよ?。」


見せられたのはティーカップセット。


「これはこの国の名工アルテメルアさんが作ったティーカップセットです。お城で見かけて可愛いと思ったので聞いてみたら店の案内状をもらいまして、それで行ってみたらこんなに可愛い物があったのでつい買っちゃいました。」


ティーカップセットの模様は可愛らしく花が舞って持ち手もとことん可愛らしく見えるように薄くピンク色とこだわりが見えている。

好きな人には好きなんだろうっと思うゼラであった。


「まぁいいんじゃないか?。気に入ったカップで飲むお茶は美味しいし。」


「ですよね!!。ゼラ様のも買っておきました!!。」


そう言って取り出したのは黒をメインとしたカップだった。

ゼラは手に取って観察する。


「へー。そんなのもの売ってるんだな。しかもシンプルで持ちやすい形だな。模様はこの店のシンボルか。筆をモチーフにしたもんか。」


「夢や想像を描く事をイメージしたらしいです。」


「っま。次からこれにお茶を入れてくれ。」


「分かりました。」


カップをリニに返して、


「じゃ帰るぞ。」


門を抜けた後は森へ入って転移で帰る。

地下室から出て自宅の様子を見た瞬間ゼラは固まった。


「・・・。」


「どうかしました・・・。」


ナルベアも思考が停止する。


「うぁ・・・。」


「あ・・・。」


リナとルビニアは状況を読み込み呆れる。

ゼラ達の視線の先にはぐちゃぐちゃにゴミ等が散乱し家具やらも壊れているのが見えた。


「マスター怒ってるね。」


「仕方ないですよ。」


「ここまで酷いのは僕も同情出来ないかな・・・。」


「先輩は一定ラインは許してくれるけどそれを超えると激怒になるから。これは仕方ないよ。」


シスは気にせず片付けを始める。


「シス。やらなくていい。」


「え?。でも。」


「やるな。」


「分かった。」


そう言ってから家を出て行くゼラ。


「ミカエルとルシファーは何をどうしたらこうなるんだろ?。」


リエは首をかしげて考える。


「大方喧嘩でもしたのではないでしょうか?。」


ナルベアはため息をついて考えを言う。


「取り敢えず私は他の部屋の状況も確認してきますね。」


「私も・・・。」


「じゃ私達も一緒に確認する。いい?。」


「構いません。」


「自室も気になるしね。いいよ。あ。シルヴィアはいつもの門番をお願い。」


「ワン。」


「私はギルドの方に報告してきます。先輩が何処かへ行っちゃったので。」


「お願いします。」


そしてそれぞれ行動に移る。


一方ゼラ達が帰ってきた事を知らないミカエルとルシファーは、


「今日こそ許しません!!。」


「っはっは!!。お前がどんくさいのが悪い!!。」


街からかなり離れた森の上空で戦いをしていた。

ミカエルは矢を放ちそれを笑いながら避けたり相殺したり剣で叩き落としたりするルシファー。


「ホーリーランス!!。」


無数の光の槍と矢の同時攻撃をする。


「無駄無駄!!。」


ルシファーは光の槍には闇の槍を当て矢は剣で全て弾く。


「相変わらず無茶苦茶な戦い方ですね!!。」


「おいおい。我が無茶苦茶ならゼラはどうなる。」


「それもそ・・・。」


「おい。どうし・・・。」


ミカエルがゼラに気付いてルシファーはミカエルの視線の先を見る。


「見つけた。」


殺意増し増しのゼラが宙に浮いて居た。


「ぜ・・・ぜぜぜゼラさん!?。」


「か・・・帰ってきていたのか・・・。」


「ああ。今さっきな。で?。あの状況を放置して何してんだ?。」


「「・・・。」」


二人は恐怖のあまり体が動かなくなる。


「別に戦うなとか喧嘩するなとは言わん。だがな・・・。家を汚くしたまま出かけるなよ?。」


「「ごめんなさい!!。もうしません!!。」」


「じゃ帰って掃除と家具の新調しにいけ。」


「「はい!!。」」


帰るとナルベアから部屋はリビングだけ荒れていただけだったと聞いた。

他の部屋は問題なかった事を報告を受ける。

その後はあっという間に部屋は元通りになった。


「さて。ミカエルとルシファー。」


「「・・・。」」


自室で二人を体が痺れて動けない状況にさせている。


「これからお仕置きを決めようと思う。」


目の前を行き来して考えている。


「ん~。お。そうだ。」


二人の目の前に立って、


「今日から一月。俺の料理を食う権利を剥奪します。」


「「!?。」」


「我ながら良い考え。ほい。じゃ俺は用事あっから。」


そう言ってその場を離れ残される二人。

二人は見つめ合って、


「ごめんなさあああああああああああい!!。」


「ゆるしてくれえええええええええええ!!。」


泣きながらゼラの後を追う。

その後街中でも平然と泣いている二人を無視しセリアナの店へと行く。


「いらっしゃ・・・。あ・・・。ゼラ様!!。」


ゼラだと気付くと笑顔で駆け寄ってくる。


「ってお二人はどうなさったんですか!!。」


後ろで泣いて付いてきたミカエルとルシファーに驚く。


「ああ。こいつらが部屋を荒らしたから罰として一月俺の食事無しって言っただけ。」


「そ・・・そうですか・・・。」


「すまんな。取り敢えずこれが報酬だ。」


「・・・。あれ?。多くないですか?。」


金貨10枚を渡すが事前に説明した依頼料は金貨5枚であった。


「いや。何かと迷惑かけてたんじゃないかと思ってな。謝罪料も入ってるって思ってくれ。」


「そんな事ありませんよ。取り敢えず金貨5枚はお返しします。」


「そうか。」


ゼラは返された金貨5枚をしまう。


「取り敢えず今日はは色々と今後について話しておきたいから奥に案内頼める?。」


「分かりました。」


セリアナについて行きいつもの場所のいつもの席に座る。


「注文は取り敢えずボトルと軽いおつまみを頼めるか?。」


「分かりました。」


そう言って出て行く。


「んで。お前らはいつまで泣き続けるんだよ。」


未だに泣いている二人。


「ごめんない・・・。ゼラさんのご飯禁止は止めてくだいお願いします・・・。」


「それ以外なら何でも受けるからお願いだ・・・。」


土下座して頼み込む二人。


「そんなに嫌なのか・・・。ならますます取り下げたくないな~。」


「鬼です!!。」


「悪魔だ!!。」


「はいはい。じゃ次やったら本当に飯作らないからな。後罰として明日から訓練を手伝ってくれ。」


二人はぱぁ~っと笑顔になりはいっと返事をする。


「やれやれ・・・。」


「お待たせしました。」


セリアナが戻って来ていつものお酒のボトルとグラス、おつまみのナッツを持ってきてくれた。


「ありがとう。」


ゼラがそう言ってグラスを持つとすぐにお酒を注いでくれる。

そして一口飲む。


「美味しい。」


「ではお話というのは?。」


「取り敢えず横に座るといい。ミカエル、ルシファーは先に帰ってくれるか?。」


「分かりました。」


「うむ。ごゆっくり。」


二人は先に家に帰す。


「んで話ってのはな。魔大陸で料理を作ってくれないか?。」


「え?。」


セリアナは驚く。


「まぁ今はまだ街として機能はしてない。だけど五年以内には豊かな街にする予定ではある。魔王のサタンにその側近のヘーゼナルボ達がそれぞれが役割を持ってかなり頑張ってくれて帝国から来てくれた子達のおかげで農産物も順調に育ってるし帝国も貿易してくれる約束もしてくれた。アリシアの村も貿易を約束を取り付けたし今後一番成長する街だ。そこで新しく店を出したいと思ってな。」


「そこまで話が進んでるんですね・・・。」


ゼラの話を聞いて落ち込んでいるように見えた。


「どうかしたか?。」


「いえ・・・。その話はお父さんに話した方が・・・。」


「いや。連れて行くのはセリアナ。君だよ。」


「え?。私ですか?。」


指名されて嬉しさと驚きが満たしていく。


「そうそう。最近料理も覚えてるみたいじゃないか。」


「それは・・・。」


ゼラに認めてもらいたくて追いつきたくてせめて料理と接客は完璧にこなしたいと思ったから必死に父の腕を盗む為に頑張っていた。


「俺は君にやって欲しいから勧誘した。君のお父さんではなくセリアナに。だから自分で決めて。」


「・・・。少し時間をください。」


「構わない。だけど早めに返事は決めてくれ。後今後この街に滞在する日数は徐々に減っていくのもお父さんに伝えてくれるかな?。」


「・・・。わかりました・・・。」


そう言って出て行くセリアナ。


「ふむ・・・。何を悩んでるかは分からないが・・・。まぁなるようになるかな。しっかしお酒美味しい。」


その後ボトル1本とナッツを全て完食して会計に行く。


「会計お願いできる?。」


「え?。あ・・・。はい!!。」


近くに居た女性店員に声をかけて会計を済ませて外へ出て行く。


「有難うございました!!。」


そう言われて見送られる。


「・・・。」


奥からその光景を見るセリアナ。


「はぁ・・・。本当にSランクに・・・。しかもブラックカード・・・。」


「本当にゼラ君は上り詰めたわね。」


母はうふふっと笑うだけ。


「だがセリアナにだってあるじゃないか。接待技術。」


「けどこれ本当に役立つの?。」


自分のスキルが本当に凄いのか分かっていない。


「ああ。お前の接待技術は世界一位だ。それに料理も俺からはもう教えられる事は無い。」


「え?。でも私の料理お父さんの味と違う・・・。」


自分の味と父の味が全く違うのでまだまだだと思っていた。


「いや。基礎は全て。そこからの応用も既に教え切った。後は数だ。何回も何回も作る事で初めて料理は完成に近付く。俺もまだ未熟だ。」


「料理って奥が深いんだね・・・。」


「ああ。無限大に可能性を秘めている。味の付け方や下処理に焼く、煮る、湯がく、揚げるの仕方で変わってくるからな。そういえばな。ゼラ君は料理も得意でガンガオが絶賛していたそうだ。だから・・・。」


「学べると?。」


「そうだ。良い機会だ。このチャンスを物にしなさい。そうすればお前は更に上に上がれる。」


父の言葉に決心を固める。


「分かった。お話は受ける。けどいつに行くんだろ?。」


「そこは話してないのかい?。」


「うん。お誘いがあったってだけ。」


父と母は互いに見つめ合い。


「今すぐ行ってきなさい。」


「え?。」


「そうだ。今すぐ行ってこい。ゼラ君の思考だと早い方が好まれる。」


「そうね。後はシスさん達の実力も早く知っておく方がいいわね。」


「ああ。店なら気にするな。最近の売上はゼラ君を抜いても以前の5倍ある。看板娘が居なくなるのは痛いが何とかするさ。」


二人は笑顔で早く行ってこいと勧める。


「ほ~ら。身支度して行きなさいな。」


「う・・・うん!!。私頑張る!!。」


そして着替えや生活用品をバックに詰めてセリアナは急いでゼラの家へと向かう。


ゼラの家に到着した。


「相変わらず大きい・・・。」


そして門を開けて入ると、


「あ・・・。え・・・?。犬?。」


セリアナはシルヴィアに気付いて少し後すざりしてしまう。


「くぅん?。ワン!!。」


「ひゃぁ!!。」


シルヴィアがワンワンっと吠える。

それに気がついたスィーナが玄関から出てきた。


「どうしたのシルヴィア?。ってセリアナ?。どうしたの?。そんな荷物を持って。」


「それは・・・。」


ゼラからの勧誘の説明をすると、


「へ~。分かった。」


「有難うございます。」


「けど主様はまだ帰ってきてないんだよね。」


「まだ帰ってきてないんですか?。」


「うん。まぁ夕飯までには帰ってくると思うから家に入ろ?。」


「有難うございます。ところでその子は・・・。」


恐る恐る聞いてみる。


「この子はシルヴィア。私の従者だよ。可愛いでしょ?。」


「はい。けどその子がシルヴィアなんですね・・・。」


「どんな噂流れてたの?。」


目をキラキラさせて聞いてくる。


「評判はかなり良く、賢くて強い。門番さん達もあんな子が居れば楽なのにって愚痴っているぐらい優秀っと聞いていますね。」


「えへへ・・・。よかったねシルヴィア。これからももっと頑張らないとね。」


「ワン!!。」


「じゃ案内するからついて来て。シルヴィアは引き続きお願いね。」


セリアナを家に招く。


「ふぁ・・・。すごい・・・。」


家の内装の美しさは勿論、掃除が行き届いており塵一つ落ちていない。


「まずここの私室を案内するね。」


そう言って二階のひと部屋に案内する。


「ここを好きに使っていいよ。荷物もここに置いて一階に行くよ。」


「あ・・・。はい!!。」


そうして一階に行き全員とご対面する事になり、リビングでお茶をしながら自己紹介をした後は夕食の手伝いをさせてもらう事になったが全員の料理の腕が異常な事に気がついた。


「皆さん料理は得意なんですね・・・。」


「ん。毎日やってるからこれぐらい普通。」


「この中で料理出来ないのはミカエルとルシファーだけですよ。」


「戦闘が強くても料理出来ないなんて未熟者・・・。」


「酷くないですか!?。」


「そうだ。戦闘だけなら我はこの中なら随一だぞ!!。」


ボロクソに言われる二人は猛反論する。


「それは聞き捨てならない。」


シスがそれに反応する。


「ほう。シス一人で我に勝てると?。」


「勝つ。その前に料理作る。終わったら後でボコボコにする。」


「楽しみだ。料理も戦闘も。」


「あのそれ私も入ってます?。」


「勿論。やらないなら不戦勝で私の勝ち。それで戦闘でも料理でも役立たずの天使って称号を与える。」


「酷い!!。私だけ扱いが酷いですよシス様!!。」


賑やかな雰囲気にセリアナは心から面白いと思う。


「あ。セリアナさん。これ皮を剥いてもらえますか。」


「わかりました。それにしても何時もこんな感じなのですか?。」


リエに何時もの状況を伺ってみる。


「そうですね。大抵賑やかです。静かな時何かある日なんてありませんね。」


「そうですか。」


「苦手ですか?。」


「いえ。逆です。この雰囲気は私好きなんです。」


「それは良かったです。」


リエが笑顔で返してくる。


(この子も可愛いなぁ・・・。本当にゼラさんの付き従ってる子のレベルは高い・・・。けどまだ私は諦めません!!。)


そう心に決意し料理を続けるのであった。


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