サリア
私の名前はサリア。
この村で育ち錬金術の研究をしていた他の皆より頭の良い以外は至って普通のエルフ。
私達は帝国に戦争を仕掛けられ村が消滅し全員が囚われてもおかしくない状況になったがゼラ様達の救援により全員助かった上に襲った帝国の裏の犯人をも倒し現帝国と良い関係になった。
私達の英雄ゼラ。
本人は謙虚で無欲、多額な報酬を要求するわけではなくメイドを募集という形で報酬を受け取った変わった人。
当然村のエルフ達は七割の人が募集に集まった。
余りにも多すぎるという事で審査が入り私は錬金術と魔術で審査を突破した。
その後実際に目の前で見た英雄は気さくで面白い人間と見て取れた。
最終的には私は外れてしまったが修行をする事となりアリシア様も同行し魔大陸へ。
魔大陸では最初こそ地獄だった。
経験としてアリシア様達と魔大陸の強い魔物を狩り、その後には私だけ魔力が尽きかけるまで錬金術をする事となり、気絶し足らなくなったらゼラ様に起こされて魔力を渡されノルマ達成まではやらされた。
この生き地獄から開放されたいっと思いつつも一週間後にその成果が実った。
ゼラ様に渡されたレシピはリニが使っている武器の弾だった。
魔大陸に来て良い所を見せたくて作らせてくださいと頼みやった結果は弾60発の50発分の素材を無駄にするという散々な結果。
私はすぐに謝った。
作れる自信はあった。
作っている物はかなり単純で難しそうに見えなかった自分の落ち度。
普通なら怒る。
素材を無駄にするなって。
けどゼラ様は違った。
ケラケラと笑いその場で素材を全てを元に戻すという離れ業をして見せる。
ワールドアルケミストと自称ではない事を実感させられた瞬間だった。
そして言われたのは、
「失敗は誰にだってある。失敗しても大丈夫なようにするのが師ってもんだ。だから失敗を恐れず学べ。そしてその過程で最後に大きい功を達成させろ。焦る必要も格好つける必要はないんだ。人生は長い。特にエルフなんかはな。」
その時に私はゼラ様を本格的に英雄として、そして師匠として尊敬できる人と認識した。
戦いでも術者と思えない程近接戦闘をする。
私と同じようにナルベアもゼラ様の弟子としてそして自分がゼラ様の弟子としての自覚が物凄く高い。
もう昔のナルベアの面影が無く凛々しく強く、そしてゼラ様を信仰をしている。
私も似たような感じなので話がよく合う。
教えてもらった事を伝え合い情報を共有をした。
ナルベアには戦術の全てを、私には錬金術の全てを教えようとしている事に私達は嬉しくなり頑張り続けた。
結果私はワールドアルケミスになった。
その上ユニーク職のワールドソーサレスにもなり村で一番の術師にも上り詰めた。
でも私は満足はしていない。
その先にいるゼラ様に追いつきたい。
褒めてもらいたい。
認めてもらいたい。
その結果、私は我武者羅になった。
止めてくれる師から離れた結果だった。
エリクサーも作れる様になって神木を作れることをゼラ様から貰ったレシピ本で知り、毎日毎日魔力が尽きるまで神木を作った。
英雄の家ならばこれぐらいじゃないとと目標を高くした結果。
建築を遅れさせるわけにはいかなかった。
そして完成した日に私は体調を崩した。
身体が怠く動きたくない。
家で安静にしていれば治ると思った為、アリシア様に報告しお休みを貰った。
けど良くならない。
何かの病気かと思った。
けど体が動かない。
食事は心配性なアリシア様が持ってきてくれる。
申し訳ないと思った。
出来る限り元気に振舞うようにした。
数日後。
ゼラ様がここに訪れペットに拘束され寝かしつけられた。
一番知られて欲しいくない人に知られてしまった。
その後治療が始まり術をかけられたり、薬を飲まされたりした。
そのおかげで体調は良くなった。
けどゼラ様は効果がなかったと落ち込んでしまった。
そしてハイエリクサーを作る為に旅に出かけたと聞いた時私はとんでもない事をしてしまったと思った。
体調管理が出来ずに迷惑をかけるのは良くないと。
もし治ったら健康にも気を付けよう。
次の日の早朝。
体に異常が発生した。
「あがぁ・・・。うぐぅ・・・。」
「今魔力を抜くから・・・。」
突然魔力が暴走しだした。
抑えられない魔力をレリアが抜いてくれている。
「・・・。だめ・・・。私じゃこの魔力量を受け止められない・・・。仕方ない・・・。」
うん・・・。
多分ゼラ様だけじゃないかなこの量は・・・。
「ゼラが帰ってくるまでは私が何とかしてあげる。だから死んだらダメよ。」
うん・・・。
分かってる・・・。
「失礼しますよ。言われた通りありったけの宝石を持ってきましたよ。」
「早くこっちに渡して。」
宝石に魔力を貯めるのか・・・。
うん・・・。
頑張ってってしか思えないけど・・・。
「私は諦めない!!。こんな運命認めない!!。貴方は絶対こんな場所で死ぬではダメよ!!。」
ああ・・・。
意識が少しずつなくなっていく感じ・・・。
爆発しそうな程身体が熱いのに寒い・・・。
分かる・・・。
自分が死ぬって・・・。
最後にゼラ様の顔を見たかった・・・。
声が聞きたかった・・・。
褒めて欲しかったなぁ・・・。
ごめんなさい・・・。
「悪いがそれはお断りだ。謝るぐらいならありがとうっと言って逝けよ。まぁ逝かせないが。」
「「え!?。」」
ああ・・・。
本当に凄い良いタイミングで戻ってきてくれた・・・。
やっぱり英雄には敵わないな・・・。
「マジックドレイン。」
吸われてるのが分かる・・・。
レリアが悪いんじゃない・・・。
これはゼラ様が凄いだけ・・・。
「ゼラ様・・・。」
「おう喋れるようになったか。」
「有難うございます・・・。」
「当たり前だ。だから安心して俺に預けろ。」
「はい・・・。」
私はそこで意識を無くした。
恐怖は無く、むしろ心地が良かった。
「ミカエル、ルシファー。これ原因分かるか?。」
魔力の量が安定しすやすやと寝ているサリアを見ながら聞く。
「分かりません。魔力不全からいきなり魔力暴走なんて聞いた事も過去にも情報なんてありませんよ。」
「魔力暴走自体は知っているが魔力不全からはないな。ただ魔力暴走ってのは大抵魔力の使いすぎで起こるんだ。原因は神木を作ったのが原因だろうな。治療方法はゼラがやっている魔力抜き以外に方法は無い。落ち着くまで魔力を抜き続けるんだな。」
二人は落ち着きながらゼラに言う。
「あの・・・。お二人は何者なんですか・・・?。」
恐る恐る伺うアリシア。
「私はミカエルと言います。元天使で階級は熾天使です。今は堕天してシス様の助手として働かせてもらう事になりました。よろしくお願いしますね。」
「私はルシファー。悪魔王だ。アウラの助手として働く事にした。よろしく頼む。」
「またライバル増えた・・・。しかも今度は熾天使と悪魔王・・・。」
引き笑いをしているアリシア。
「本当に助かったわ。良いタイミングで戻ってきてくれて。あと少し遅れてたらサリアは死んでたかもしれない。」
「何。気にするな。もし間に合わなくてもそれはレリアが悪いわけじゃない。俺が悪いんだからな。」
「そんな事は無いと思うわよ。貴方のせいじゃ無いわ。」
「そうであっても師は弟子のやる事を責任と取らないと駄目だ。弟子の事をもう大丈夫だろうっと信頼しすぎて慢心し気にかけずしばらく放置した結果がこれだ。正直もう少し慢心や焦りを取り除いて正しい道を示してから離れるべきだったかな。まぁ結果論だ。悔やんでも仕方がないので治すぞ。」
「にしてもこの魔力量は凄いな。」
ルシファーはサリアから溢れ出る魔力に冷や汗を流す。
「そうですね。尋常ではないですね。私達でも受け止めきれないでしょう。」
「というかゼラ。何故お前は受け止められている?。」
「ん?。受け止めている訳じゃないんだが・・・。今は2つの指輪を外してる。そして代りに吸収スキルの効果を5倍にする暴食の指輪を装備して魔力を吸収し変換して消費が大きい補助をシスに継続的にかけ続けているって感じ。ちなみに発動させてるのはパーフェクトウォール。全ての攻撃を無力化する魔術。ただデメリットが魔力消費が尋常ではないぐらい多くて今の自分だけの魔力じゃ持って1分で魔力枯渇が発生するんだよなぁ~。正直無限に使えたら最強なのに・・・。」
「いやいやいやいや!!。それ私の上司のアテナ様が使う防御壁魔術ですよ!!。しかもそれを1分持つっておかしいですからね!!。アテナ様でも20秒ですよ!!。しかも目標が無限って感覚狂ってます・・・。」
「目標は到達出来そうに無いギリギリのラインにするのが俺のやり方だ。そして俺の辞書に挫折の文字は無い。」
「後退が無いの間違いでは・・・。」
「っは?。後ろを向いて後退はするだろ。前ばかり進んでて道が無くなりました。さぁ突撃だってならんだろ?。」
「た・・・確かに・・・。」
「行き詰ったら後ろを振り返って考えたらまた新しい道が切り開く。諦めない限り何かしら手が出てくるさ。まぁ今回は上手くいきすぎだ。予定では1週間ぐらいかかるかなって思ってたから。」
その場に居る全員がゼラの精神が凄いと思う。
「本当に敵いませんよ・・・。私はいつになったら貴方の横に立てるんですか・・・。」
アリシアにとってゼラは遠すぎる英雄。
行動力に想像力に戦闘力、全ての行いが自分達とかけ離れていてその行動はゼラの大切なモノ達には幸福であり、敵には災害そのもの。
それでも追い付き共に戦える日の為に頑張ってきた。
けど今目の前の実力差に心が折れそうになっている。
「アリシア。別に俺に追いかけるのは構わないがお前はお前の道を見つけろよ。俺と言う目標に向かって一つの道を全力走り続けても何処かで躓き、転び、挫折する。休憩を挟み遠回りをし気分転換をし、時には書物を、時には仲間を頼って自分のやり方を見つけていくのが正解だぞ。」
「・・・。そうですよね・・・。」
「現にナルベア、リニ、ルビニアはそれぞれのやり方を見つけたぞ。ナルベアは俺とは違う視点で戦闘の補助や戦術を組み立てて提案する軍師になると。リニは最初の頃から特別な職だったが遠距離では負けない様になるって目標を。ルビニアなんかはメディアと共にシスを超えるって目標を俺の前で宣言したぞ。まぁナルベアは最近じゃ俺とは全く別物の戦術と位置取りをするから戸惑うんじゃないかな?。面白いぞ。サタン達が使い魔で確実な攻めの戦術はな。」
ニヤニヤと笑いながら現状の三人の事を話す。
「マスター。その話をすると長くなる。そろそろサリアにハイエリクサー作らなくていいの?。」
「おっと。つい楽しくてな。まぁ一応は次起きたらな。用意はするさ。シスあれをここに出してくれ。」
指示を出すとアイテムボックスから大きいスクロールを出してゼラの手の届く地面に広げて敷く。
「ほう。凄いなこの魔法陣。」
「見たことが無い記号や術式が組み込まれてますね・・・。これは何処で習ったんですか?。」
ミカエルとルシファーは興味を持ちジロジロと観察している。
「企業秘密。一応教えたのはサリアにだけだ。」
「そうですか・・・。まぁ見ていれば分かるはずです。」
「とりあえずこれを全部真ん中に置いてっと。」
三種の血とエリクサーを出して置き魔力を魔法陣に込める。
そして光る。
その後ゼラとシス達以外は驚く。
「なんだこれは!?。」
「な・・・なにこの色・・・。こんなの見た事ありませんよ・・・。」
「凄いわね。」
「サリアでもこんな色出したことありませんよ・・・。」
赤色から青色へそして白色の猛烈な光が放たれ一つの金赤色に輝く薬が入った小瓶が出来上がった。
「これがハイエリクサー?。」
「綺麗な赤色だな。これはこれで宝石のようだな。」
「そう。最高品質のハイエリクサー。とりあえずこれは大事に保管してっと。」
アイテムボックスに入れた後はサリアの寝ているベットに座りサリアの頭を撫で始める。
「ごめんな。辛かったろ。だけど安心しろ。お前は絶対助けてやる。何が何でもな。」
それから7時間後。
ゼラは寝ずにずっとサリアの容態を確認しながら魔力を抜き続けている。
ミカエルやサタンも驚く魔力コントロールと集中力でこの世界でそんなに術を継続させている人や神はいなかったらしい。
食事や飲み物はシス達が交代交代で口に運んでもらい飲食をし、トイレは我慢ができなくなったら部屋から出てもらい携帯用トイレで済ませている。
臭いや殺菌の為に汚れ等を全て綺麗にするクリーンっという魔術を使用している。
クリーンは元の世界でもかなり使えた。
飲み水を確保するのに重要だったり、汚れで汚い敵に効果が絶大だったりした為である。
そして夕刻。
「ん・・・。ん?。」
「おはよう。いや。おそようだな。」
「おはようございます・・・。」
サリアは目を覚ました。
暫く沈黙が続いたがゼラが痺れを切らして、
「だまんまりは良くないぞ。ほれこれ飲んで。」
サリアは身体を起こして、
「・・・。はい・・・。有難うございます・・・。」
躊躇う事も無く瓶の薬を全て飲み干す。
すると魔力の波動が収まりゼラもドレインも止める。
「ハイエリクサーは魔力暴走に効果ありか。今度作って保管しとこ。」
「・・・。ごめんなさい・・・。」
「ん?。」
「ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・。」
「おう。反省してるか?。」
「はい・・・。」
「っま。今回は許してやる。だが次は無いぞ。」
「はい・・・。」
「けどなんで神木なんかで家を建てようとすっかなぁ~。俺そうゆう特別な建物あまり好きじゃないぞ。」
「私が恩返しにって思って・・・。そして成長したって証に・・・。」
「まぁそれは構わないけど。体調崩したら意味ないからな。」
「う・・・。」
「まぁ生きてくれて良かったよ。これからも宜しくな。永遠の弟子サリア。」
「っふ・・・ふふふ・・・。本当に・・・。ゼラ様には敵いません・・・。なんで怒ったりしないんですか?。」
「あ?。怒る必要ある?。我武者羅になってまで俺の為に頑張ったんだぞ。注意はするが怒りはしないさ。ってか凄いぞ。神木って俺でも指輪無しだと一日100本ぐらいしか作れないから建物全てに使ってるとしたら300は作ってるよな?。」
「310本ですね。家具も神木で作ってあるので。家のイメージは私で設計図は職人さんが作り加工は私で最終の組立は職人さんにお願いしましたが。」
「よーし。あの家の名前を考えてくれ。」
「名前ですか?。」
「ああ。お前の名が広がる為の建築物だ。名前は必須だろ。」
「・・・。考えてませんでした・・・。そうですか・・・。ではファーストディマイズフォートレス。私の最初で最後の要塞です。今後こんな物は短期間では絶対作りません。約束します。」
「いいぞ。気に入った。ただ長いからザ・フォートレスにしようぜ。」
「ふふ。構いませんよ。私は貴方に従います。」
「よーし。明日案内頼む・・・ふぁぁ~・・・。」
大きな欠伸をするゼラ。
「寝室まで行かれますか?。」
「いやここで寝る。お休み。」
「え?。いや・・・。ちょっと・・・。」
サリアが戸惑っている間に横ですぐに深い眠りにつく。
「・・・。そうですよね・・・。寝ずに昨日の朝から起きてここに来て昼から今まで私の為に素材を集めて、容態が急変して死にかけてた私を看病をしてくれて治してくれて・・・。」
私達の英雄。
他の子達みたいに強い子種が欲しいからじゃない。
私の気持ちは女性として異性として意識してもらいたがってる。
隣にいてくれるだけで幸せだけど物足りない。
思ってるだけじゃいけない。
命を二度救われて知識も教えてもらった。
貴方に追いつく事は無理かもしれませんが私は私の出来る事で貴方に尽くします。
愛しき英雄ゼラ様。
今はお休みください。
起きたらまた私に教えて下さい。
貴方がどんな人でどんな事を知っているかを私は楽しみにします。
そして誓います。
絶対に死なないと。
だって生きていないと貴方の楽しそうな顔が見れないのですから。




