素材集め 後半
島に着陸した後はゼラは周囲を調べ始める。
調べると手入れされた木や畑など様々な作物が育てられている事が分かる。
更に奥には結構な大きさの家畜の建物も見え牛と羊に豚が見えた。
「凄いな。これ正直大人数で管理しないと行き届かないレベルだぞ。」
「まぁ自分の分身を増やして戦ったりするぐらい器用な事をするのでその影響かと。それに彼女は静かな暮らしがしたいと言ってこの島に結界を張って一人で暮らしているのですよ。」
「人嫌い?。」
「いや違う。彼女は長年戦いに巻き込まれその度に力を振るった。その力に怯えた人々が邪竜と呼び恐れ人種からは勇者。興味を持った悪魔。邪魔になるからと神も討伐をしようと動いた。その結果全員が敵となったが彼女は全員を返り討ちにした。100年ぐらい前に鬱陶しく思ったのだろうな。二度と関わるなと言って姿を消した。」
「んで調べてみたら小さい島でのんびり暮らしていると。」
二人は頷いた。
「これ美味しそう。」
「こっちの野菜なんかみずみずしいですよ。」
「あのお肉も美味しいかな?。」
「おい。絶対勝手に取って食べるなよ。」
三人ははいっとだけ返事をしてはいるが興味津々で実を取らず見たり牧場の方を色々見ている。
「なんじゃお主ら?。」
そこに黒い農業着を着た小さな黒髪ツインテールの少女がやってきた。
「お邪魔してます。自分はゼラって言います。」
「うむ。お主は礼儀正しいのう。わしはリントヴルム。邪竜と呼ばれておる。」
「じゃ早速本題いいですか?。」
「ふふ。良いぞ。」
すぐに本題に入り時間の無駄のないゼラを気に入っているのかニコニコ笑っている。
二人はゼラの態度の変わりように驚いている。
「この小瓶に血を分けてくれませんか?。」
小瓶を渡すゼラ。
「ん?。それだけか?。」
「はい。それで対価は?。」
「構わん。それぐらいならばタダで良い。」
「太っ腹ですね。」
「ほれ。」
自分の爪で軽く切って小瓶に貯め蓋をした血を渡す。
「ありがとう。よ~し。帰るぞ。」
「「「え!?。」」」
リントヴルムとミカエルとルシファーは驚く。
「お主は欲がないのう・・・。」
「そうですよ。そこら一辺に落ちてる鱗をもって帰れば大金になりますよ。」
そう言って落ちている鱗を指をミカエル。
「いらないもん持って帰っても正直困る。それに下手すりゃここが見つかって面倒なことになるだろ。それはゴメンだね。装備を作る事となったら考えるが正直今はいらない。」
「ゼラ・・・。お主は本当に変わっておるの・・・。」
「ふふ。面白いな。」
「あ。でもここで作ってる野菜は食べてみたい。」
「それぐらいなら構わんぞ。っというかそれが素なら敬語はいらぬ。収穫してくるからこの先の家で待っておれ。迷ってもルシファーとミカエルが知っておるから案内させるといい。」
そう言って畑の方へと消えていく。
「では行きましょうか。こっちです。」
そう言って案内される。
そして10分ぐらい歩いた。
目の前にはかなり立派な平屋が見えてきた。
「良い家だな。」
「彼女の手作りですよ。」
「器用だと本当に思うな。料理も美味しいし。」
「それは楽しみ。」
「「ひゃ!!。」」
急に割って入ってきたシスに驚く。
「なんでそんなに驚くの?。」
「突然気配を消して現れないでくださいよ・・・。」
「正直私達が感じ取れないって凄い技術だな。」
「そんな事ない。マスターはいつでも気付いてる。」
「いやそれはゼラが異常なだけでは・・・。」
「ん?。別に異常ではないだろ。実際シスは気配を消してる訳じゃないし。」
「?。どうゆう事ですか?。」
「簡単に言うと相手の死角から現れてるだけ。足音は自分で消してはいるけど魔力探知には引っかかったりするが最近は魔力を極限まで身体から漏らさないように鍛錬させてた。んで結果的に魔力遮断10とか習得してますます強くなって僕満足。」
「ゼラ様は一体シス様にどうゆう育成をしているのですか・・・。」
「かれこれもう6年ぐらいの付き合いになるな。」
「人間の年数だとかなり長いな。」
「最初こそ育成する必要が無いぐらい強かったよ。でもどんどん強い敵が増えてきたから本格的に戦術に特定の行動の対処に対人での立ち回りに対多数の立ち回り、スキルの鍛錬に俺との組手を5年前からずっとやってるな。」
「ちょっと待とうか。」
「何?。」
「今さらっとゼラとシスが組手してるって言った。」
「そうだが?。」
「ゼラって術者じゃ・・・。」
「術者が近接を対処出来なくてやられましたなんて間抜けだろ。」
「感覚がおかしいのかな・・・。」
「大丈夫です。私も異常と思えます。」
「そもそも大人数で動いている訳じゃないんだからある程度近接攻撃を避けたり防いだり出来ないと戦いにならないぞ。術者ってのは本人の立ち回りが強くないとね本当に弱い。」
「言っている意味は理解はできます。ですがヴァルキリーと組手はおかしいです。」
「もうそれでいいや。ほら帰ってきたみたいだぞ。」
そう言ってリントブルムがアウラとスィーナと共に帰ってきた。
「本当に良い者達じゃの。収穫を手伝ってくれて助かったぞ。」
「いえ。」
「そうだよ。ご馳走になるんだからこれぐらいは。」
「ふふ。ならば腕によりをかけて作らねばな。ほれゼラ達も中に入るが良い。」
そう言って全員を中に招く。
中はシンプルで清潔な白をメインとしたリビングキッチンが広がていた。
「おほ・・・。凄いな・・・。お。調味料じゃん。塩に胡椒と砂糖もある上にスパイスもかなりあるな。」
「お主料理をするのか?。」
「するぞ。作ろうか?。」
「ならば一品頼もうかのう。」
「じゃ私もする。」
「ほうほうほう。面白い。ではそちにも一品頼む。」
「じゃ庭借りるぞ~。」
「?。構わんが何を作るのじゃ?。」
「お楽しみって事で。」
全員が首を傾げてゼラを見送る。
「私も頑張る。マスター手強い。」
「ふふ。われも負けんぞ。」
そう言ってそれぞれ調理を開始する。
ゼラは5分後には戻ってきて小麦見極め錬金術で薄力粉に変え生地を作っていく。
「お主それはなんじゃ?。」
そう言ってゼラが取り出した瓶に興味を持つ。
「これは重曹って言って炭酸水素ナトリウムの粉だ。」
「?。はぁ・・・。」
「説明しずらいから舐めてみ。」
そう言って指に少しつけて舐めさせる。
「うぇ・・・。なんじゃこれ・・・。気持ち悪いぞ・・・。」
「まぁそんな感じでシュワシュワで渋い粉。害はないぞ。」
「そうか。でもなんでこれを入れるんじゃ?。」
「手軽に生地を膨らましたいってだけ。出来上がった時また感想をくれ。」
「分かった。もう横槍は入れぬ。」
その後はリントヴルムは自分の料理を作り自分の品を完成させた。
シスも同じタイミングで完成した。
「む・・・。それはなんじゃ?。」
「これはカレー。美味しいよ?。」
「ふむ。良い匂いの正体は様々な香辛料か。どれ頂くとしようか。皆待ちかねているようじゃのう。それにゼラはまた何処かへ行ったようじゃ。」
「ん。盛り付ける。パンもある。」
「2品もか・・・。お主は料理が上手いのう。」
「あら。パンも焼いちゃったか。まぁいいや。」
「どこに行って・・・。」
「・・・。」
ゼラが戻ってきて皆その手に持っている皿の上のピザに釘付けになっている。
「な・・・なんじゃその料理!!。」
「これ?。ピザって言うんだ。美味しいぞ。ほれ焼きたてホヤホヤで一番美味しい時だぞ。」
すでにカットされていて持って食べれる様になっている。
「頂きます!!。」
「抜け駆けはずるいぞミカエル!!。」
「ん~♪。おいひいです・・・。」
「本当に最高・・・。」
「なんでこんなに美味しいの・・・。」
「これは悪魔の食べ物じゃな・・・。トマトソースにチーズが良く合っていて乗っている野菜や肉に香辛料も良いアクセントになっていて虜になる味・・・。」
テーブルに置いた瞬間1ピース以外無くなる。
「あら?。そんなに気に入った?。じゃあと9枚分あるから焼いてくるから待ってて。」
そう言って外へ出ていく。
「お主の主人は凄いのう・・・。」
「これのレシピも元はマスターが作ったの。自分なりに手を加えてはいるけどマスターは次から次へと新しい料理作るから凄い。」
「ああ・・・。ゼラ様について来て良かった・・・。」
「だな。こんな美味い食べ物生まれて初めて食べた。」
「パンと違い薄くパリパリもちもちの食感。トマトソースもチーズと良く合っていて野菜とお肉にも合っている。そして極めつけの胡椒での刺激。全てが相まった美味しい1枚でしたね。」
「これなら10枚は余裕で入るね。」
「わん!!。」
「「「「「「「ジー・・・。」」」」」」」
争奪戦が始まってしまったがゼラは知らない。
10枚全て焼き終わった後は申し訳なさそうに料理を出すシスとリントヴルムの二人。
「すまぬ・・・。お主の分を残すのを忘れてしもうて・・・。」
「気にするな。これはスープか。」
「うむ・・・。わしの得意料理なんじゃが・・・。あれの後だと正直勝てる気がせん・・・。」
「十分美味しいぞ。優しい味で野菜の旨みを極限まで出したスープだな。これ結構手間かかるんじゃね?。」
「そんな事ないぞ。煮込みすり潰して濾して焼いた燻製肉を加えて塩と胡椒で整えただけじゃ。」
「十分な手間だろそれ。そしてこっちのカレーも美味いな。スパイスの調合が変わってて辛さがそのままでよりコクが増していてそれでいて旨みもある。理想系の一つだな。」
「ありがとう。」
「はぁ・・・。落ち着く味・・・。」
「こっちのカレーもパンに良く合っていくらでも入るな。」
「料理というものは性格が出るってマスターが言ってましたがなる程。理解できますねこの味で。」
「シス様また美味しくなってる・・・。」
「ほれ見てみ皆美味しいって食べてるだろ。」
「うん・・・。」
「不味かったらこんなに食べないさ。自信を持つといい。」
「ありがとうなのじゃ。」
そして食事を終え帰宅する事にしたゼラ。
「もう少しゆっくりしても良いのじゃぞ・・・?。」
「すまんがこれ以上は用事があるからな。また来るさ。」
「約束じゃぞ。」
「ああ。じゃ約束にこれをやる。」
渡したのはスクロール。
「もし俺が1ヶ月来なかったらこれを使うといい。」
「これは?。」
「転移のスクロール。俺の自宅地下に飛べる優れ物。」
「転移・・・じゃと・・・。」
「え?。そんな物までアイテムかしてるんですか・・・。」
「まぁな。一応制約が戦闘中でない場合のみ使用可能だからそこだけ注意な。」
「む・・・。お主はとことん予想外じゃのう・・・。分かったこれはもらっておく。」
「ちなみにこれはピザの生地のレシピ。重曹も1瓶渡しておくよ。庭に勝手に作った石窯で焼くといい。いらないなら破棄してもらえればいい。」
「せん。あんな美味しい物の調理用の釜を壊すなんてとんでもない。」
「そうか。じゃ失礼する。ほれ皆手繋いで。」
「分かりましたが何を?。」
そう言ってゼラに繋がっている様に手を握る。
「転移。」
「・・・。ゼラ・・・。お主はやっぱり今までの人とは違うのう・・・。」
そう言って居なくなった後吐くリントヴルム。




