外伝:ゼラとリエの過去 前編
ギルドマスターがいなくなって3ヶ月。
私達のギルドは解散しました。
ギルドマスターの先輩は一度も連絡無しに長期離れることは無く、ギルド員の皆との繋がりを大事にする人でした。
ですが突然の音信不通。
現実世界では私とラガルさんは先輩の家を知っているので二人で尋ねてみると鍵は開いており、部屋の中は綺麗に整理されてベットには愛用のVRギアが転がっているだけで特に荒らされた形跡がなかったのです。
三日間部屋でラガルさんと待ちましたが帰ってこず私はもう死んだと思うようになりラガルさん、現実世界では佐藤羅生も泣きギルドに報告する事となりました。
ギルドメンバー達と話し合いをし私が新しいマスターとなって存続する話が出ましたが私にその気力が残っていないっと言いギルドは解散って話がまとまり各其々別のギルドに入ったりギルドに入らない人もいました。
私はまだ大学3年目。
学校がありましたが行く気も起きず家の自室で引き籠もり。
母と父は先輩、冨田隆介先輩と仲が良かったので気持ちを察してくれたのでしょう。
何も言わず、そして母さんも父さんも涙を流し悲しんでいました。
私と先輩は私が高校1年生の時にいじめから助けてもらったのがきっかけでした。
当時の先輩は学園では浮いている存在で突っかかってくる相手は尽く殴り蹴り飛ばしていました。
それはもう生徒や不良だけでなく先生もです。
私がいじめられていた理由は可愛い絵柄の漫画、オタクと呼ばれる人達が好きな青年漫画を読んでいる事がバレた為です。
それからはキモ女とか根暗女とかの悪口は普通でロッカーにチョークの粉や汚い雑巾等も入れられ、最終的に他の女子に髪を引っ張られたり、叩かれたり、カツアゲされました。
先輩が現れたのはカツアゲをされている時でした。
「はぁ・・・。」
先輩は近付いてきて、
「おい。」
先輩は私をいじめている主犯格を睨みつけ、
「その財布を俺に渡して5秒以内にどこかへ消えろ。」
そう言いました。
主犯格の女子は慌てて私の財布を先輩に渡し何処かへ去って行きました。
「・・・。」
先輩何も言わずは私に財布を渡した後ゆっくりと歩いて去って行きました。
私はその時の優しい目をしている先輩を見て私はその日から先輩を追いかけるようになりました。
その日を最後にいじめは無くなりました。
私と関わると先輩に目をつけられるからと言う噂が流れた為です。
それから3日経ったある日の昼休み。
こそこそと追っていた事がバレました。
「なんだ?。なんか用?。」
先輩は学校の屋上の一角の壁に持たれ聞いてきました。
「ありがとうございました・・・。」
とりあえずお礼を言わないといけないと思い言いました。
「ああ。そういえば財布返した子か。名前は?。」
「桜井里恵です。」
「ふーん。俺は冨田隆介。まぁあまり関わらないほうがいいぞ。」
先輩はそう言って寝息をたててお昼寝をし始めました。
でも私は関係を持ちたいと思い寝ている先輩を膝枕をし午後の授業を全てサボりました。
先輩が起きたの授業が全て終わった後の午後の4時でした。
「ん・・・?。あ?。」
「あ。起きました?。」
「何してんの?。」
「膝枕です。」
「いやいや。おかしくない?。なんで付き合ってもないのにそんな事してんの?。」
「したかったからです。」
「そうですか・・・。じゃ俺は帰るから。」
「あ・・・。」
先輩は立ち上がり屋上から出て行きました。
そして私も立ち上がろうとしましたが、
「あ・・・。痺れて・・・。痛い・・・。」
その場で暫く動けず家についたのは5時を過ぎてしまい母に心配されてしまいました。
それからは昼には屋上へ行き先輩と話をする日課になりました。
先輩はゲームやアニメは好きで話すと話が弾みます。
しかも今の人気VRオンラインRPGのアルカディアスっと言うゲームの廃騎士と言うネームでトッププレイヤー。
レイドランキング近接ソロ部門1位連続18回のガチのプレイヤー。
ソロの悪魔、人外、人力TASと異名を持っている。
私はそのゲームでは後衛職のソーサラーをやっていましたがレイドランクにトップイン出来る実力もなければ仲間もそんな実力はありませんのでエンジョイプレイで楽しむぐらいです。
「先輩が廃騎士だったなんて驚きです。」
「お前もやってるなんて驚きだよ。っで?。ソーサラーやってんだっけ?。」
「はい。って言ってもあまり強くは無いですよ。ランキングなんてPT部門で1500とかいったら良い方ですし。」
「へー。俺の友人よりランク上じゃん。凄いな。」
「え・・・。そうなんですか?。」
「ああ。友人は1800ぐらいをウロウロしてる。無論PTで。結構素質あんじゃね?。今度友人と一緒にやるか?。俺PT部門初心者だけど。」
「はい!!。あ。私の方もフレンド一人連れてきますね。近接職のウォーリアです。」
「友人はアーチャーだし、近接2、中距離1、遠距離1だし相性は良いか。よしスマホあるか?。連絡先交換しとこうか。」
そして交換して連絡を取り合うようになりました。
先輩はその日からあまり騒ぎを起こさないようになりました。
ただ突っかかってくる人には容赦ないですが・・・。
そしてゲーム内会うことになりました。
4人PTでのレイド戦は自分は始めてでした。
私は今までジャンネさんとしか組んでいませんでしたので。
「リエちゃ~ん~!!。」
「はわぁ!!。」
「ああ・・・。良い反応・・・。可愛い・・・。」
ジャンネ、現実名は高井友梨香。
私のお父さんのお爺ちゃんのお婆ちゃんの妹の繋がりの従姉妹。
赤ちゃんの頃から年に何回か合うぐらいでその時から可愛がってくれていました。
「もう・・・。ジャンネさんやめてくださいよ。」
「え~・・・。やだ。」
「あ~取り込み中か?。」
廃騎士、先輩が来てくれました。
「あ・・・。ごめんなさい先輩。」
「お~。この子が言ってた後輩ちゃんか。俺はラガル。よろしく。」
「なんだ。男か、って待って廃騎士さん?。」
「ああ。そうだが?。」
「リエ・・・。貴方とんでもない者を連れてきたわね・・・。」
「え?。最初に言ってたよね?。」
「いやいや。本物が来るなんて思わない。」
「まぁいいじゃないですか。じゃ俺は廃騎士。よろしく。」
「ええ。私はジャンネ。見させてもらうわ。貴方の戦い方を。」
「自分はソロの立ち回りしかできませんよ?。」
「大丈夫よ。あと敬語は無しでお願い。」
「そうか?。じゃ遠慮無く。レイド行こうか。」
そして始まったレイド戦。
相手はディアベル。
闇属性の魔術と広範囲の特大物理ダメージスキルで後衛殺しと言われているレイドボスです。
先輩とジャンネ二人が前で戦い、その後ろでラルガさんが弓で援護し、私は高威力の属性魔術スキルを放つ構成になりました。
先輩の動きは本当に凄い。
攻撃は最小の動きで回避し確実に大技を決めダメージを確実に稼いでいました。
継続ダメージでダメージ量は私より稼いでいます。
スキルのリキャストを考えて動いているんです。
高威力の属性魔術を放てばシステム上ほぼ私にタゲが来るはずなんですが一切飛んでこないんです。
先輩が私の魔術に合わせて大技とタゲを一時的に自分に向けやすくする挑発を同時に発動する為でしょう。
正直やりやすいとかそんな次元じゃありません。
ヌルゲー化してます。
「凄いね!!。流石廃騎士様だね!!。」
「あまり無理はするなよ?。ウォーリアの効果でHPを極限状態にして戦うのは分かるが今落とされるのはロスだし。」
「大丈夫よ!!。私はこの状態で今まで落ちたことないの!!。」
「頼もしいね。」
ジャンネも楽しそう。
「あ~。やっぱあいつとやるとPT部門も1位取れるなぁ。いいねぇ~。」
そしてこのラガルさんも凄いんです。
普通のアーチャーはタゲをソーサラーと一緒でタゲを取ってしまいやすく加減を間違えてはいけない職と言われているのですが先輩の継続ダメージより1~100少ないレベルで攻撃スキルを放っているのです。
「さてそろそろ発狂モードだが。」
「じゃ私は特大の一発叩き込んで落ちるわ!!。」
「俺もそろそろ大技入れるわ。」
「私も準備しておきます。」
「じゃジャンネ頼むよ。」
「任された!!。」
突っ込んでウォーリアの必殺スキル、デストロイヤーを発動しダメージと相手の全ての防御力を0にする変わりにHPが0になる。
「あいよ。」
それが命中と同時にラガルさんもアーチャーの必殺スキルである全ての矢を消費し攻撃する一斉射撃を命中させ、
「おらよっと。」
先輩がナイトの必殺技スキルの特大ダメージで味方全員にリジェネを付与するシャイニングブレイドを放ちボスのHPがもう少しで無くなりそうになった所に、
「メルトダウン。」
ソーサラーの最大火力の火属性魔術で特大ダメージと攻撃力と素早さを下げる火傷を付与する必殺スキルでHPが0になり光となって消滅。
結果3分12秒。
これはPT部門で1位で2位と1分以上差がある。
私は正直驚きしかなかった。
「ふえ!?。」
「ふぁ!!。」
「あらぁ・・・。」
「まぁこんなもんか。初めてにしちゃ。」
「まってまって!!。先輩の感覚おかしい!!。」
「いや。遅いぞ。多分詰めれば後30秒ぐらい早くなるんじゃないかな?。まぁそれはリニ次第だけど。」
「え?。私が悪いの!?。」
「うん。装備の見直しだな。今の装備ジャンネと二人で挑んでたから防御力重視にしてるからそれを火力重視にすれば俺より火力出るから後は距離を間違わず俺がミスしなかったらそれぐらいはいけるでしょ。」
「あ・・・。うん・・・。」
それからはソロ部門でもPT部門でも1位に名前が入るようになる。
このゲームPvPが無い為大した問題事は起きないまま時間が過ぎていった。
廃騎士の名前はこのゲームでは伝説扱いでPTを組めばどんなレイドでも1位が取れると流れるようになる。
実際先輩は私達と組んだ後は色々な人と組んでレイドをやっていたみたいでやるたびにタイムの1位の更新には先輩の名前が表示された為である。
けどある日2位になる出来事が起きる。
後衛職で支援職のウォーロックとウォーリア3人っという職縛りでやったPTが1位になった。
先輩はその戦闘を見て何か思ったのかそれ以来PTでのランキングから手を引いた。
そして学校で聞いたら、
「あのゲームでは近接で他の人達を導くのに限界に思ったんだよ。だから手を引いた。」
先輩はそう言って受験もあると言いログインすらしなくなり授業を真面目に出るようになり勉強も始めた。
私はそれでも先輩とつながっていたかったので学校では積極的話しかけ勉強をしている横で自分も勉強をした。
結果私は学年1位の成績を取った。
先輩はこの辺では偏差値75と高い事で有名な大学に合格していた。
周囲は先輩の頭の良さに驚いていたけど私は先輩の頭の良さは知っていたので当然だと思っていた。
先輩はその日から先生に頭を下げられたり、一部の不良から尊敬の眼差しで見られたり、恨まれたりしたがあまり気にしていない様子。
そして受験や後期テストが終わり何時も通り昼休みは屋上へ。
今は冬なので寒いですが先輩は雨や雪が降らなければ何時もここに来ます。
「寒いだろ?。教室戻ればいいぞ?。」
「いやです。私は先輩と一緒にいます。」
「はいはい。」
「先輩って凄いですよね。浮いた存在から一転この学校の優等生。面接もどうやって通したんですか?。」
「ん?。まぁ問題は確かに起こしたけどそれはどれも相手が悪いからそこまで言われなかったな。警察に捕まったりしたけど助けた人に感謝されてたし、何より面接の人の一人が不良に絡まれてボコボコにされてたけど俺が助けてくれてたのを覚えていてすんなり通っちゃったよ。っはっはっは。」
「世界って広いようで狭いですね。」
「まぁそんなもんだろ。俺と里恵だってそうだろ?。」
「そうですね。廃騎士が近くにいるなんて思いませんでしたよ。」
「だろ?。」
「じゃ今日はお祝いしましょう。」
「お。いいね。学年1位と俺の合格祝い。羅生は無理だな。あいつはまだ受験中だわ。」
「息抜きで呼んでも良いんじゃないんでしょうか?。」
「ダメダメ。焦りしか生まないぞ。今度あいつが合格したら一緒に祝ってやればいい。」
「分かりました。じゃ今日は私の家に来てください。」
「ん?。里恵の家良いのか?。」
「はい。母さんにも父さんにも話は通してあります。そしたら会って話してみたいと言われて・・・。」
「なんか嫁さんにくださいって行く流れになってるの気のせい?。」
「っきっ気のせいですよ。あ・・・あはは・・・。はぁ・・・。」
正直私は先輩の事は異性と好きです。
ですが先輩は私の事を可愛い後輩もしくは妹程度にしか見てくれていません。
どう見ても脈ないですよね・・・。
「まぁいいや。学校終わったら門でいいか?。」
「はい。」
その後は早く終わらないかとウズウズしていました。
終わりのチャイムが鳴ると同時に私は急いで門へ向かいました。
途中先生に走るなって怒られた気はしましたが無視しました。
門に到着すると先輩はまだ来ていません。
「・・・。まだかな?。」
そう思って5分後先輩が出てきました。
「お前急ぎ過ぎだぞ。途中お前の担任に止められて注意しとけって言われたじゃねーか。」
「あ・・・。え・・・。ごっごめんなさい・・・。」
「まぁいい。じゃ案内頼むな。」
「はい!!。」
道中は来年新しく出るVRオンラインゲームのについて話が盛り上がってました。
「そうだな~。結構色々職あるんだよなぁ~。」
「私はサモナーになろうと思います。」
「あ~。いいね。」
「先輩はやっぱり騎士系ですか?。」
「いや。俺はサポート系かな。」
「え?。」
私は驚きました。
今まで廃騎士と呼ばれ近接の鬼と言われた人が後衛職でしかもサポート役。
適正的にはどうなのか分かりません。
だって私は近接しか見ていないんですから。
「っはっは。驚いてる驚いてる。まぁやってみたくなったんだよ。支援ってのをな。んで最初の下位職はプリーストにして上位職をハイプリーストで最上位をサモナーにして回復型サモナーになるつもり。」
「なる程。じゃ私は下位を呪術師で上位をウォーロックで最上位をサモナーにしてデバフ型サモナーになりますね。」
「わかるじゃない。流石。っま一番の理由は使い魔を使ってみたかったってのが大きいけどな。」
「ですね!!。アルカディアスに無かったので楽しみです!!。」
「PvPも楽しみだな。」
「私はそれは興味ないですね。」
「まぁやろうぜ。面白いかもだし。」
そんな話をしていたら家に着きました。
「ただいま。」
「お邪魔します。」
「はい。おかえり。そしていらっしゃ。」
「今日は有難うございます。わざわざ自分の為に。」
「そんな事はないわよ。あ。自己紹介がまだだったわ。私は桜井恵里香。
「自分は冨田隆介です。」
「じゃりゅうちゃんって呼ぶわ。」
「はい。よろしくお願いします。」
「ほう。隆介君か。私は桜井大吾だ。」
「よろしくお願いします。」
「ささ。中に入りなさい。」
父さんがリビングに案内して先輩が椅子に座った後はお茶とお菓子を出す。
「ありがとう。」
「ふむ・・・。」
父さんは先輩を見つめている。
何を感じ取っているのだろう?。
「隆介君。娘を助けていただいてありがとう。」
「ああ。別にお気になさらず。気に入らなかっただけですし。」
お茶を飲みながら軽く返す先輩を見ていて思う。
この人は本当に欲が無い。
「っはっはっは。気に入った。」
「はぁ・・・。そうですか・・・。」
「君はどうやら他人に誤解を与えて今まで暮らしてきたのだろう。」
「まぁそうですね。弁解するのもめんどくさいので相手が思ったことを言わせた後にボコボコにしたり、絡んできた不良達をボコって取り巻きもめんどいので適当にあしらってたらいつの間にか浮いた存在になってましたね。」
「ふふ。面白いね。そうして自分に矛先を向けて弱者を助けてきたのだろ?。」
「助けたってより気に入らないってだけでやってましたけどね。」
「それだよ。普通は気に入らないからってだけでは人を助けない。君は優しいから適当な理由を付けて助けているのだろ?。」
「どうでしょ?。考えた事もありませんでしたよ。」
父さんは実に楽しそうに話をしています。
先輩と馬が合うらしく生き生きしています。
「うむ。私と非常に似ているね。私も昔は君と同じような生き方をしていたよ。気に入らないってだけで弱者をいじめる者をボコボコにね。」
「母さんともその時に出会ってね。私は一目惚れしたよ。こんな可愛い子を虐める奴がいるなんてと。その後は・・・。」
長い昔の恋愛話が始まりました。
母さんも恥ずかしそうにしながらも聞いていますし、先輩も面白いと思っているのか聞いています。
私は恥ずかしいです。
先輩に自分の武勇伝や自慢話をするなんて・・・。
「そして私と母さんはこうしてラブラブだ。」
「良いですね。仲が良く幸せな生活。憧れますよ。」
「そうだろそうだろ。でだ隆介君。」
「はい?。」
「うちの娘はどうかね?。」
「ぶー!!。」
飲んでいたお茶を吹きましたよ。
「ごほ・・・ごほ・・・。」
「あらあら。大丈夫?。」
母さんがハンカチで拭いてくれますがそれどころじゃありません。
「父さん!!。何言ってるの!!。」
「いや。彼になら娘を預けても問題ないと思ったからだよ。」
「だからっていきなりそんな事言わないでしょ!!。」
「何事も勢いが大事だ。っでどうかね?。」
「父さん!!。」
「あ・・・。ごめんなさい。」
先輩が謝って頭を下げています・・・。
ああ・・・。
やっぱり脈無しだったんだ・・・。
「里恵を異性として。っと言うより今の自分は女性を異性として好まないみたいなんですよ。」
「里恵だけではなく全女性と?。」
「はい。まぁ理由は家庭内環境が悪かったんです。」
先輩が子供の時代の事を話始めました。
「そうですね。自分がまだ3才の時。母親と父親は仲が非常悪かったんです。そして私は父親に引き取られ育ちましたが、父親は様々な女を尽く抱く悪い男でした。そして自分は女性達にとって都合の良い子。自分を母親と認めさせる為にあの手この手で気を引こうとしました。中には暴力を振るう女性もいました。そんな生活を3年続き自分は女性恐怖症になってしまいまして、たまたま母親が様子を伺いに来たところに助けを求めた結果母親の叔母の家に引き取られなんとか治りはしましたが女性を好きになれない今に至るわけです。」
「「「・・・。」」」
私も父さんも母さんも地雷を踏み抜いてしまったと今更思ってしまう。
「ああ。そんなに気にする事ではありませんよ?。いずれ好きになるかもしれませんし。里恵とは仲良くさせてもらってます。妹ってこんな感じかなって。」
「隆介君。」
「りゅうちゃん。」
「うちの子になりなさい。」
「そうよ。里恵の事はこの際いいわ。とりあえずその好きになれない状態を治すのが先ね。」
「いえ・・・。だから気にしなくて・・・。」
「ごめん先輩・・・父さんと母さんこの手の話をされるとほっておかなくなるの・・・。」
「え~・・・。」
でも先輩がそんな状態だって知らなかった。
私も頑張れば好きになってもらえるのかな?。
「さぁ隆介君。私の事はお義父さんと呼んでくれ。」
「りゅうちゃん。私の事はお義母さんでいいわ。」
「ごめんなさい・・・。それは流石に・・・。」
その後説得するのにかなり時間が経ち夕食の準備をしています。
先輩も手伝うと言って色々と手伝ってもらっています。
「隆介君は器用だねぇ~。私は料理が出来ないので羨ましいよ。」
先輩は唐揚げの鶏肉の味付けをしてくれています。
「いえ。やってないと料理は出来ないで大吾さんもやり続ければいずれできますよ?。」
「そうか。ふむ・・・。私もやってみようか。」
「っふっふ。そうね。習得するには努力と忍耐が大事ね。料理は本当にそう。」
しかし本当に先輩の手際の良さが凄いです。
ブライン液って物を作りそれに鶏肉を漬けている間に味付け用のタレを作り、盛り付け用のキャベツの千切りを切り、そして時間が経過し鶏肉をだし味付けをしている間に油を温めています。
「あ。片栗粉と小麦どっちにします?。」
「ん?。どう違うんだ?。」
父さんが質問します。
私も小麦粉しか知らないので気になります。
「そうですね。片栗粉はカリカリ、いったら竜田揚げです。小麦粉はしっとりしていて旨みが逃げにくい物になりますね。」
「ほう。面白いな。竜田揚げは片栗粉でか・・・。」
「私は半々で作ってますよ。」
「なる程。良いとこ取りだな。」
「なら半々にしますね。」
知らなかった。
うちの唐揚げが小麦粉と片栗粉が半々なんて・・・。
私も料理勉強しないと・・・。
「にしても、りゅうちゃんは料理詳しいわね。」
「7才で趣味でやり始めたんですよ。」
え?。
7才って早すぎませんか?。
私は驚きのあまり自分が担当している味噌汁の作業を止めてしまいました。
「へぇ・・・。お婆ちゃん反対しなかったの?。」
「むしろやれって言われましたね。まぁ今では一人暮らしなので助かってますよ。」
「りゅうちゃん。週に何回かは家でご飯を食べなさい。」
「え?。」
「え?。っじゃないの。駄目よ。一人で味気ないでしょ?。」
「でも。」
「子供が遠慮しない。はい。わかった?。」
「よろしくお願いします・・・。」
「よろしい。」
母さんって強いなぁ~。
先輩を丸め込めるんだもん。
「っふっふっふ・・・。こんな良い子逃がさないわ・・・。」
前言撤回。
これただ怖いんだ先輩。
目がやばいよ母さん・・・。
それからは何事も無く夕御飯が出来上がる。
先輩が作った唐揚げ、私が作ったわかめと豆腐とネギの味噌、母さんが作った酢の物と大根サラダ。
先輩が作った唐揚げを一口食べると口の中に肉汁が溢れ出てきました。
母さんのも美味しいですがこれは更に上に行きます。
「美味しい・・・。先輩の唐揚げ・・・。」
「そうね・・・。これプロが作ってるのと変わらないわね・・・。」
「これはビールが止まらないね。うむ。人生で一番の唐揚げだ。」
「良かったです。口に合って。」
正直言います。
これ女として負けてます。
料理の美味しさが異常なんです。
「はぁ・・・。味噌汁美味しいなぁ・・・。」
ごめんなさい・・・。
お粗末な味噌汁でごめんなさい・・・。
「久々に美味しいと思ったよ。」
「え?。」
「今まで自分で作った料理は正直味を感じなかったけど今は感じる。味噌汁も酢の物もサラダもそして自分で作った唐揚げ。全部美味しいよ。」
「やっぱり味覚が無かったのね。」
母さんがそんな事を言います。
「りゅうちゃん。もう我慢するのは辞めたらいいわ。貴方は溜めに溜めすぎて放出出来てないのよ。」
「自分では我慢してるつもりはないんですけど・・・。」
「そうね。でも家族に対して我慢してるわ。」
「・・・。」
「りゅうちゃん。今まで家族にわがまま言ったことある?。あれが欲しい。これが欲しい。悲しい。苦しい。痛いって訴えた事ある?。無いでしょ?。」
「はい・・・。」
「原因はそれよ。りゅうちゃんの願望は家族愛。甘えたい。わがままを言いたいそうじゃない?。」
「そう・・・ですね・・・。」
「なら私が聞いてあげる。わがままも愚痴も。そして甘えさせてあげる。それとも駄目?。」
「・・・。良いのでしょうか?。」
「良いのよ。りゅうちゃんはまだ子供。子供の不安は大人が取り除く。だからおいで。」
先輩は立ち上がり恐る恐る母さんに近付いていきます。
「おいで。」
「・・・。」
先輩は何も言わず母さんに抱きしめられ頭を撫でられています。
「辛かったね。でももう大丈夫。私達はりゅうちゃんの味方。何があっても守ってあげる。」
「・・・。」
泣き叫ぶ事はしませんでしたが先輩は涙を流していました。
父さんも何も言わず唐揚げを食べビールを飲んでいました。
私は先輩が今までどんな思いで生きてきたのかと考えて食べていました。
「ありがとうございました。すいません情けない姿見せて。」
恥ずかしそうにしながら母さんから離れる先輩を見て可愛いと思った。
「気にしないの。っていうかもういいの?。」
「大丈夫です。スッキリしました。」
「じゃ次は敬語をやめましょうね。」
「え・・・。」
「そうだ。敬語無しだ。」
「そこはおいおいでお願いします・・・。」
先輩顔色良くなってる。
やっぱり母さんって凄いんだなぁ~。
「これでまた一歩・・・。」
やっぱりこの母親駄目だ・・・。




