過去話
「・・・。寝れん・・・。」
かれこれ三時間が経過。
風呂後すぐに自室に戻り頭の中を整理していた。
普段ならすぐに寝付くゼラだが今日は寝られず考え事。
シス達やアリシア達について。
シスは勿論、アウラやスィーナは異性として好きと言えるのは分かる。
だがアリシア達はよく分からない。
魅力はある。
性格もそれぞれ違うが良い子ばかりで自分を好いてくれているのは分かる。
何が違うのだろうかとずっと考えた。
シス達とはかれこれ元の世界で2年、今の異世界で約半年の付き合いになる。
使い魔にした時から愛情を注ぎ、返事はしてくれないが話をし、常に一緒に行動をしていた。
そして話せるようになってからは更に愛情を注いで異性として好きなのをすぐに理解はしていた。
でもアリシア達には愛情は注いではいない。
助けて教えて鍛えて与えて後は勝手に強くなり、勝手に自分を信頼してくれるようになり、今に至る。
「・・・そうか。彼女達は俺がシス達が好きなのと一緒なんだな。理由は惚れられた。恋に理由なんてないもの。そうだな。一目惚れされたっておかしくないじゃないか。颯爽と現れて力を授け絶望的な状況を覆す異性。惚れた後に鍛えている間にも良い所を見て更に惚れてって感じなのかな?。・・・。危うく鈍い男になる所だったよ。う~ん・・・。」
そして対応を考える。
「正室はシス達で側室するか?。でもそれでいいのか?。ん・・・。」
こればかりは経験がないゼラは更に悩む。
アリシア達が納得するかどうか、日替わりで夜を共にする、シス達と優先してくれるか、この中でトップはシスで次席にアウラとスィーナの二人を置くこと、最大何人までいいのか等考えれば考えるほど深くなっていく。
「もういいや!!。明日直接ナルベア達に聞いてからアリシア達にも話そう。そしていいって言うなら側室にする。悩むのはやめだやめ。」
そう言って仰向けに寝て目を閉じると冴えていたはずだがすぐに寝息を立て始める。
同時刻。
リビングではゼラ以外が集まり女子会議が始まる。
お茶を配り終え、
「それでは第32回目の女子会議を始めます。」
進行役はナルベア。
「ではシス様。報告の方を。」
「うん。大丈夫だよ。ちゃんと皆と生きたいって伝えた。」
「でもいいの・・・?。」
ルビニアは恐る恐るシスに聞く。
「うん。貴方達は私もアウラやスィーナも問題ないと思ったから。マスターの事好きでしょ?。」
「それは当たり前です。銃よりも大好きです。他の人には股間にぶっぱなします。」
「そうですね。私もゼラ様以外考えられませんので。」
「それ以外の異性の子供いらない・・・。」
ナルベア達は即答で返す。
「ふふ。それぐらいの覚悟をお持ちでしたら構いませんよ。」
「うんうん。皆主様の為に頑張ってくれてるもん。」
「それに好きって気持ちは押さえ込んだら駄目。もっと積極的にやっていかないと心が乾く。」
「あ~。それは分かりますね。」
「だね。くっつきたいとか撫でてもらいたいとか思うとウズウズしてされないとかなり落ち込んじゃうし。」
「だから積極的にスキンシップ取る。私は常にそうしてる。」
「「「「「あれは過剰ですよ・・・。」」」」」
この場にいる全員がシスのスキンシップにツッコミを入れる。
「そんな事ない。」
「いやいや。シス様は主様に過剰な程くっついてらっしゃいますよ。」
「そうだよ。一日の大半は右腕を独占してるよ?。」
「だって皆くっつかないから。」
シスはきょとんとした顔で言う。
自分以外くっつかないなら自分がくっついて問題ないって思っていたらしくそのように行動をしていた模様。
「って事は私達もくっついても問題ないって事で?」
「うん。けど順番と時間は考えてね。私は基本マスターに呼ばれた時以外はくっつかないようにする。」
「本当にシス様の扱いは特別ですよね。」
「アウラ様・・・。なんでの・・・?。」
「そうですね。私とスィーナはマスターにとって多少努力して仲間にした。ですがシス様の場合ありとあらゆ物を酷使し利用し犠牲にした違いではないでしょうか?。」
「どうゆうことでしょうか?。」
「そうだね。僕とアウラは主様と会った時は精霊ではなくて風と水妖精だったからね。そして鍛えてもらって現在は四大精霊の一角になったけど。」
「私とマスターの戦い聞く?。」
全員が興味を持ったため話始める。
「ただしこの話は他人に言ったら駄目。アリシアでも駄目。話す環境をちゃんと整えてからじゃないと。」
全員が頷く。
「あれはこの世界に来る前の世界の事。」
それは私があの世界に現れ3日。
マスターと最初にあった日。
「あが・・・。」
敵対し交戦を開始し3分でマスターの左肩を剣で切り落とした。
息を荒々しくたてて私を見ている。
装備も今と全く違い上位装備の最高品質で黒い装備ではない。
(ああ。凄い。今までの中で一番強い。彼の使い魔達も連携も取れていて今でも致命傷を避けつつ時間稼ぎをしてる。)
あの時の私とアウラとスィーナは今と違いかなり弱かった。
けど力の差は歴然だったけど致命傷には絶対にならなかった。
どんなに攻撃しても必ず生き残りマスターが回復させる。
そしてここには来ていないラズがこの時のマスターの最大の剣。
私と剣術でやりあえるぐらい強かった。
けどステータス差で私の方が強かった。
「ああ・・・。いいな・・・。いい・・・。ますます欲しくなった!!。」
あの時のマスターは笑っていた。
片腕がなくなっても私を自分の物にする為戦いを挑む決心も見えた。
今と違いすぐに腕を回復させれないかったがそれでも挑んできた者に比べると段違いに早い。
「さぁ。第二ラウンドだ!!。」
そう言って突っ込んでくる。
ラズが切込、アウラとスィーナが魔術で援護攻撃をし、マスターはアイテムを使い私を妨害をする。
けど私は負けなかった。
どんなに剣や魔術で攻撃されようとかすり傷程度しか負わない。
次第にマスターを追い詰め一回目は私の勝ち。
マスター達は知らないうちに何処かへ逃げていた。
数日後またマスターがやって来た。
この時はまた来たのかっと思っていた。
「よーし。ラズ、アウラ、スィーナ。行くぞ!!。」
そう言ってまた戦いが始まる。
しかし今回はラズの攻撃がかすり傷レベルでは無く痛いと感じるレベルにまで上がっていた。
そしてアウラとスィーナの魔術も威力が上がっていて短時間で何回も食らっていると負けるレベルになっていた。
自分が追い詰められていく。
この時私の中でこの人が私のマスターになる資格があるかもしてないと期待を込め本気を出してやりあった。
「・・・。ふふ・・・。ッハハハハハ!!。だよな!!。まだあるよな!!。」
私もこの時は本当に楽しかった。
本気を出してもいいと思える出会えるなんて。
本気を出した事でラズが一発で倒れる。
アウラとスィーナは辛うじて生き残っている。
マスターは左足全てズタズタになっていた。
楽しいと思ったがすぐに興ざめした。
力の差がありすぎた。
そして私はマスターにトドメを刺した。
しかしマスター達は光となって何処かへ飛んでいった。
そして更に1週間が経った。
またマスターはやって来た。
「今日こそ攻略してやる。そして俺の物にしてやるぞ!!。」
あの実力差を見せつけても挑んでくる。
最近はもう殆ど挑んでくる者がいなくなった。
なのでマスターももう諦めたものだと思っていたけど違った。
「さぁ今回は準備万全だ。」
戦いが始まった瞬間目の前が真っ白になった。
何かわからないまま攻撃が襲いかかってきた。
痛い。
ああ。
本当にこの人だけだ。
本気で私を倒そうとしてくれる人は。
全力をだそう。
そしてもう二度と挑まない用に徹底的に実力差を見せつけよう。
それが私の出来る感謝の証。
「更に上があるか・・・。」
うん。
だから絶望をしてもう折れて欲しい。
「いいね。いいね。そう来なくっちゃ!!。最近は歯ごたえがなかったんだ。こうゆう理不尽さがなかった。自分達が強いと思ってる連中しかいない環境に誰ひとりクリアできない事がなかった。誇れるモノがなかったがこれは違うな。お前を倒し絶対に物にしてやる!!。誰もできなかった事やってやるよ!!。俺が、ゼラがやってやるよ!!。待ってろよ!!。」
驚きしかなかった。
これだけ痛めつけても、力の差を見せても挑んでくる。
心が満たされていく。
自分を必要とし、名誉の為に、己の証明の為に挑んでくる。
そしてまた私の勝ちで終わった。
それからはマスターの事ばかり考えていた。
いつ来るのかな?。
次はどんな事してくるのかな?。
私を倒してくれるのかな?。
楽しみでしかなかった。
けど私が降臨してそろそろ一月。
マスターもあれっきりで現れない。
私にも制限がある。
そろそろ天界に強制的に戻される。
こんなに楽しい世界から離れたくない。
いやマスターとなり得る人と離れたくなかった。
そして最終日。
マスターはやって来た。
雰囲気が前と変わり果てていた。
「今日で最後だな。」
マスターも察してくれていた。
私が今日までしかここにいられない事を。
「さぁ。本当の最後の戦い。全てをぶつける。そしてお前はシス。今日から俺の物だ!!。」
私の名前が決まった瞬間だった。
マスターが確定で私を物にすると言い放った。
戦いは私が全力を出してもマスターが優位だった。
剣で攻撃すれば弾かれカウンターが飛んできて、魔術で攻撃しようとすればキャンセルされ、マスターが投げてくるアイテムは尋常じゃないぐらい痛かった。
時間にしてどれぐらいかは分からない。
長い戦いだった。
私もマスターもボロボロでマスター左腕と右足首が私は両足と右腕が無くなっている。
ラズもアウラもスィーナも全員倒したけどもう私の方が体力が限界だった。
「万全と思ってたが・・・。やっぱり強いな・・・。だが俺の勝ちだ・・・。」
そう言ってアイテムを投げてきた。
もう動ける体力がなかった。
そして足元にアイテムが転がってきてそれが爆発し私は意識は消えた。
「そして私はマスターの物になってシスの名を貰った。」
「なんて戦いしてるんですか・・・。」
「ゼラ様が一方的なんて想像がつきませんね。」
「うん・・・。シス様と鍛錬してる時の動きを見てるから想像がつかない・・・。」
「そうでしょうね。私達を簡単に倒すシス様は本当にえげつなかったですよ。あの頃の私達とマスターは名こそ知られていませんでしたが数々の大物を狩ってたんですよ。ベヒモスやリヴァイアサンにイフリートとかを。」
「ちょっと大物って基準がずれてませんか?。」
ナルベアがそう言う。
ベヒモスはこの世界だと王都がいくつか滅ぶレベルの魔物。
リヴァイアサンにイフリートもそのレベル。
「それだけ戦上手。いえ。もはや戦の天才でしたね。」
「そうだね。命令をちゃんと聞けば被害無しで倒せてたし。」
「次元が違ったんです。本当に。」
「マスターの話は以上。あれからマスターは私を特別扱いした。」
「それはそうでしょうね。私でもそうします。」
「うん・・・。愛しくてたまらない・・・。」
「ですが一体ゼラ様は復活をなさったんでしょうか?。話を聞いた感じですとトドメを刺しても生きているって。」
「それは私達が住んでいた世界の理です。マスターは選ばれし勇者だったんですよ。神によって死んでも復活できたんです。この世界ではその神様はおられませんので出来ませんが。」
「・・・。勇者・・・。やっぱり凄い方だったんですね・・・。」
「やっぱりゼラ様凄い・・・。」
「はへぇ・・・。前の居た世界の勇者様・・・。それならあれだけ強いなら納得できます。」
「主様のお仲間も勇者でしたね。まぁ戦い方が全く違いましたけど。」
「気になります。」
「そうですね。一人は主様と同い年で背が頭一つ分ぐらい違って戦い方がルビニアの派生の戦い方でしたね。」
「私の派生・・・?。」
「大きな武器や盾をつけた機械仕掛けのアーマードールの中に入り操って戦う重機兵。名は不破兵ラガル。ゼラ様が最大支援したシス様のホーリーノニュプルブレードを受け止める物凄い人。」
「ちょっと待ってください!!。今受け止めるって言いましたか!?。」
ナルベアが驚きの余り音をたて立ち上がる。
フルバフ状態のシスがホーリーノニュプルブレードを放てばどうなるか知っている。
それを受け止めれる者がいるとは思っていなかったからである。
「はい。普通に受け止められますよ。」
「あの・・・。その世界のゼラ様の仲間って凄い人しかいないんじゃ・・・。」
リニが顎に手を当てて言う。
「そうですね。もう一人の女性の方なんてシス様を翻弄しますからね。」
「どんな戦い方・・・?。」
「攻撃を回避しながら相手に攻撃を得意とするアマゾネス。名は光百合姫ジャンネ。私でも敵わない。まず早すぎて攻撃が当てにくいのに向こうはずっと攻撃してくる。あと変態。」
「え?。変態ですか?。」
ナルベアは咄嗟に出てきた変態っというのが気になった。
「うん。可愛い女性が好きな女性。私は苦手。」
三人は理解出来ず首を傾げる。
「まぁ会えたら注意。まぁしても捕まるけど。特にルビニア。」
「・・・。鍛える・・・。」
「後はマスターが一番可愛がってた副リーダーの後輩のワールドサモナー。名は軍神リエ。マスターに近い思考の持ち主で指揮がかなり上手い。使い魔は私と戦ったドラゴニュートのラズ。ノームのヌゥ。吸血鬼のヴルリア。天使のピーニュ。スライムのピユ。そしてラズとヴルリアとピーニュは元マスターの使い魔。」
「吸血鬼と天使って相容れないんじゃ・・・。」
この世界では敵対同士で見れば戦いどっちが上かを決めるぐらい仲が悪いと言われている。
「ヴルリアとピーニュはとっても仲がいい。互の羽洗い合ってるぐらい。」
これはゼラがそうゆう風にさせた。
最初は好感度が互いに険悪状態だったが一緒に戦わせて何十万と敵を倒させた結果好感度が最大になり仲良くなっている。
ゲーム内で同性同士の天使と吸血鬼の場合のみ互の好感度を最大にするとお風呂で互いの羽を洗うイベントが発生し仲良く入浴するシーンがある。
「信じられませんね・・・。」
「会えたら紹介する。」
「ゼラ様の周りの方は凄い方ばかりですね。」
「うん。努力の天才ばっかり。」
「最初から凄かった訳ではないと?。」
「マスター達も最初は物凄く弱かったって聞いてる。ね?。」
「はい。」
「うん。始めて会った時なんか僕の同族に負けてたぐらいだからね。」
「人は何事も努力が大事と主様はよく言っておられるのです。天才は存在する。天才にも言えるが努力を怠った人は負ける。諦めず努力した者が最終的に強者となるっと。ナルベア達も努力したじゃありませんか。」
「マスターのシゴキに耐えれたのは誇っていい。あれ耐えれたの本当に少ない。耐えたのリエだけって聞いてる。」
「だよね。あんな地獄の特訓味わったら殆どが温いよ。」
「けどまだ強くなりたい・・・。シス様・・・。お願いします・・・。」
「うん。私もできる限り手伝う。」
「あ。もう夜中ですね。」
アウラが時計を見ると針は一時を指していた。
「寝る。」
「私達も寝ましょうか。」
「シルヴィア。部屋行こ。」
三人と一匹はそれぞれの部屋へ向かった。
「片付けて寝ましょうか。」
「そうですね。」
「ふあぁ・・・。」
三人もカップを洗い片付け部屋へ向かった。




