再会ととんでもない出来事
帝国王城。
日は完全に昇り明るくなった朝。
ルーガリが使っている部屋のソファーでゼラは横になっている。
部屋にはルーガリの他にバンダルオがいる。
ルーガリは自分の仕事で使用していた椅子に座り机の紙に何かを書いている。
ゼラの向かい側のソファーに座りゼラに質問をしゼラはそれに応えられる範囲で答えている。
「さてワシからの質問はこのぐらいにしておこう。」
「じゃ俺から質問。」
「なにかね?。」
「魔族ってどう思う?。」
「ほう。どこにではなくどう思うか・・・。まぁ会った事が無いのでなんとも。本等では恐ろしいとだけしか書かれておらず真意とは思えなくてね。どうして恐ろしいのか。力らが強いから、醜い容姿をしているから、厄災をばら撒いた為に盛られているのか、と憶測が生まれる。それにワシは自分の目で確認出来ることしか信用しておらぬ。」
「ふむ。良い考えだな。」
「ところで何故そのような質問を?。」
「そうだな。今なルーガリに報酬として俺が食糧の一定量の大量買い込みそれを魔族達に流すのを認めてもらおうかと思ってね。」
「ほう。それは何故かな?。」
「魔族領地の魔大陸は食糧事情が深刻でな。俺だけではいずれ餓死して終わる未来が見えるんだよ。なんで報酬としてそれを貰う事で俺が帝国で他国の食料の買い込みをしてそれを流すようにしようかと考えてる。まぁこっちの食糧事情も考えてるからそこまで価格変動が起こる量は買い込みはしないつもりだ。だが出来れば1年ぐらいは買い込みをやめないつもりだ。自給自足が出来る様になるまでは頼るしかできないからな。」
「ほう。相手が魔族って事を明かすか。」
「騙してたって意味がないだろ。すぐばれるのに。」
「面白い。ますますお主を気に入ったぞ。だが暫くは買い込みは不可能じゃな。ルーガリ様の信頼は今落ちていて他国に頼める状況ではないしの。」
「別に今すぐにとは言ってないぞ。出来る様にして欲しいってだけだ。それに兵力の消耗がやばいだろ。」
「そうじゃな。なんせ精鋭が全てやられておる。あっちこっちに配置した兵を戻しても3万前後。守るだけで精一杯。他国の馬鹿どもはこれをきっかけにし攻めて来る。まぁルーガリ様がいれば無問題じゃがな。」
はっはっはっと大声で笑う。
「だそうだぞ。ルーガリ。責任重大だな。」
「ふん。自分で撒いた種だ。やりきって良い国するだけの事。」
「そうか。っで?。」
ソファーを立ち机の紙を覗く。
「これが報酬の買い込みが出来る様にする帝王公認印入の誓約紙だ。だが暫く許可するまではしまっておいてくれ。」
「無くさないように入れておくか。」
アイテムボックスに直ぐに入れる。
「それを商人に見せお金を渡せば俺が買った事になる。だから悪用は・・・。」
「しないしない。薬物とか奴隷とかの違法商品は買わないさ。」
「そうだ。奴隷で思い出したんだが・・・。」
「奴隷がどうかしたか?。」
「アホ共を殺した際に種族問わずで合計39名の奴隷を解放したのはいいんだが・・・。」
「身寄りが無いのか?。」
「いや。そうではなく大半が働かせてっとな。だが現状帝国で働き手は兵以外にそこまで必要ではなくてな。兵にするぐらいしか無くてそれで良いのか困っているのとどうしたらいいのか分からない者がいてな。」
「選択肢が一つしかないから他にないのは分かるが分からない者?。」
「ああ。ちなみに男10名であとは全員女だ。男は働き盛りの16才前後。女は性処理奴隷として買われていたのが大半で15才以下ばかりだ。怪我が酷い者や精神が壊れている女も結構居たがお前が渡してくれたポーションで怪我は問題ない。ただ精神までも治療が出来た訳ではない。その精神が壊れた者は人間を見ると酷く怯え怖がるんだ。」
「あ~。それ系か・・・。っつても連れて行ける場所が魔大陸の魔族の都しかないが?。」
「人間の住む場所よりは精神的に楽ではないか?。」
「まぁ本人達に会ってからで良いか。まぁ俺から直接会う事はしないけど。」
「ん?。何故だ?。」
「少しは理解してくれ。人間が嫌い。んで高確率で男が無理な筈。」
「お前ならすぐ打ち解けられるだろうに・・・。」
「お前が説明しに行け。それで会うならいい。」
「分かった。それで他の奴隷達は?。」
「俺に付いてくるかお前に付いてくるか聞けばいい。そこは本人の意思で選ばせてやれ。」
「分かった。早速って何故止める?。」
立ち上がろうとするルーガリを止める。
「今すぐじゃなくて明日の昼でいい。明日は必ず暇にして朝に説明して昼食を用意して一緒に食べ考えさせればいい。」
「お前の思考はよく分からんが分かった。」
「っほっほっほ。ルーガリ様は良い友をお作りになられましたな。」
「友?。此奴が?。」
「おう。喜べよ。俺が第一友人だ。」
ルーガリは少し固まり、
「・・・すまん。無理だ。」
「酷い・・・。陽動にアリシア達を貸し、セルゼガルを譲った上に施設破壊と妹の救出にシス達を貸してたのに・・・。」
「ルーガリ様・・・。」
「冗談を本気にするなよ・・・。」
困った顔をするルーガリを見て笑うゼラ。
「ん~。何か男友達は久々に作った気がする。」
「そうか。ん?。誰か近付いてくるな。」
「ああ。帰ってきたんじゃね?。妹とシス達が。」
そして勢い良く扉が開かれシスがゼラ目掛けて飛び込みそれを難なく受け止める。
「こら。危ないだろ。」
「ごめんなさい。」
そして次々と中に入ってくる。
ルビニアとサリアの後にハイエルフの三人にレリア、そしてホワイトファングが入った後メディアが扉を閉め入る。
「分かればいいがそんでホワイトファングとローエルフのレリアもハイエルフのオーロレ、アーティア、ルーンメルだね。初めましてだ。俺がシスとアウラとスィーナの主で名前はゼラだ。」
そのままソファーに座りシスを膝に座らせる。
「「「は・・・はひぃ・・・。」」」
「凄い魔力量ですね・・・。」
ゼラの桁違いの魔力に四人は圧倒される。
「あ~。すまんね。君達の魔力探知に物凄い影響与えてるみたいだな。」
魔力探知
魔力の流れを感じる事が出来る。
レベルが高い程探知出来る範囲が広がる。
「・・・。ゼラ様には私達のスキルが見えているのですね・・・。」
驚きながらもレリアがそう言う。
「そうだぞ。神眼持ちだからな。」
「そうですか・・・。なら隠しても無意味って事ですね。」
「そうだな。でだ。レリア。君は死して生を望む?。それと生して死を望む?。」
「・・・。どうでしょ?。私自身生きる事も死ぬ事もどうでもいいみたいなんです。」
「つまりはこの世界に生きる意味が無くなったと。」
「そうですね。その通りです。」
「そうか。ならオーロレ。ほら。」
「っへ?。」
ロングソードを渡す。
「好きにすればいい。殺すのも殺さないのもお前が選べ。」
「どっどうゆう事でしょうか・・・。」
「簡単。俺自身レリアについてよく知らん。それにレリアは根っからの悪じゃないからな。俺は別に今後外道な実験をしない限り許す。だから後はお前達次第だ。許せないなら殺せばいい。さぁどうする?。」
「・・・。」
オーロレはアーティアとルーンメルの方を向く。
アーティアもオーロレと一緒で困惑しておりルーンメルは辛そうな顔をしている。
「大丈夫よ。貴方が好きなようにすれば。殺されても恨みはしないわ。」
すっと近づき目を閉じる。
「・・・。やりません・・・。出来ません・・・。私には覚悟が足りない・・・。」
無抵抗のレリアを斬るという事が自分の中で許せないオーロレは剣をゼラに返す。
「じゃこれで終わりでいいか?。アーティアが納得できないなら斬るか?。」
「い・・・いえ・・・。私も無理です・・・。」
「そうかい。本当にいいんだな?。後で斬ったりしたら。」
「大丈夫だと思います。もしそうなった場合私が止めますので。」
ルーンメルがそう言う。
「じゃ任せよう。次に君の名前だ。」
そしてホワイトファングの方を向き手招きで近くに呼ぶ。
それに従い横にお座りをする。
「シルヴィア。それが今日から君の名前だ。」
頭を撫で言う。
「有り難く頂戴致します・・・。」
「ああ。名前負けしないぐらい頑張れよ。」
周囲から見れば意思疎通が出来ているように見える。
しかしゼラにも言葉はワンワンとしか聞こえていない。
「あの・・・。ゼラ様もシルヴィアとお話できるのでしょうか・・・?。」
恐る恐るルーンメルが聞いてくる。
「え?。そんな事出来ないぞ。・・・なる程アウラとスィーナが出来たのか。」
「私も分かる。」
「凄い凄い。」
なでなでするゼラ。
「まぁいいんじゃない?。意思疎通出来る子がいれば何を伝えたいか分かるし。」
「そ・・・そうですね・・・。」
ゼラの感覚が自分たちのモノが違うと理解した瞬間だった。
「お兄ちゃん。」
「お帰りセフィリア。無事で良かったよ。」
「お兄ちゃん!!。」
と抱きつき泣く。
ルーガリも優しく抱きしめ撫でる。
「死んだって聞かされてもう会えないと思ってた・・・。」
「ふん。お前を置いて死にはしないさ。」
「あれぇ?。おかしいなぁ~?。完全に諦めてたのはどこのどいつだい~?。」
「ゼラ・・・。言わないでくれ・・・。」
苦虫を噛んだように顔を歪める。
「けどよかったじゃないか。運が良くて。これからは俺の為に国を良くしてもらわないとな。」
「ああ。約束する。必ず良い国にする。」
「ゼラ様。ありがとうございます。」
「おう。でだ。君は今後どうする?。」
「・・・。」
セフィリアが黙り込んで目を閉じ覚悟を決め、
「私は強くなりたいです。もう守られるのは嫌です。」
ゼラはニィっと笑い。
「そうか。なら鍛えてやろうか?。」
「よろしいのですか?。」
「ゼラ・・・。まさかだと思うがアリシア達の実力まで育てる気か?。」
「え?。あれ目標?。冗談を。」
「そうか・・・。」
少し安堵するが、
「それ以上に決まってるじゃないか。」
「やっぱりか・・・。」
はぁ・・・っとため息をつく。
「あの。お兄ちゃん。アリシア達っと方々とは・・・。」
「そこにいるサリアとルビニアみたいなかなりの強さを持ってるエルフ達でアリシアその長だよ。って言ってもセフィリアは実力が分からないか。後で鍛錬を見せてもらうといい。」
「はい。お兄ちゃんが認めているという事は実力は問題ないのですね。」
「問題ないどころかワシすか凌駕する者もおるぞ。」
「バンダルオを?。・・・。想像出来ません。」
「じゃろうな。」
笑いそしてむせて咳き込むバンダルオ。
「あのゼラ様。」
「ん?。」
オーロレ達が目の前に並び。
「私達も鍛えてもらえませんか?。」
「いいけど。途中退場は許さないよ。」
「心得ました。」
「大丈夫です。」
「そうですね。辛くても耐えてみせますよ。」
ゼラはまたニィっと笑う。
「っくっくっく。それはそれは楽しみだ。」
三人は少し寒気がしたが直ぐに振り払う。
「あのゼラ様。私もよろしいでしょうか?。」
「ん?。レリアもか?。じゃシルヴィアも参加でいいよな?。」
ワンっと元気良く吠える。
「そうかそうか。参加してくれるか。って言ってもオーロレ達とレリアにシルヴィアは暫くは無理かな。」
「え?。」
「なっ何故ですか!!。」
四人と一匹を面食らった顔をする。
「簡単な話。狩場が無い。アリシア達は魔大陸でパワーレベリングをしたからあれだけ強いんだよ。んで今の魔大陸の魔物は今かなり弱体しててな。オーロレぐらいの強さだと全く訓練にならんないんだよ。」
「何故弱体化したのですか?。」
レリアが質問してきた。
「まぁあそこに邪神が封印されてたんだよ。」
「おい。邪神が封印されてたってお前・・・。」
ルーガリは呆れた。
「そっそんな・・・。」
「神話のお話では・・・。」
「本当なら人々は終わりですね・・・。」
オーロレ達は不安でいっぱいになる。
「って待ってください。されてたって・・・。」
レリアはゼラの言葉に言い返す。
「そう。解けてしまった。んで倒してしまったせいで魔物が弱くなった。」
同行していた者達以外が揃って大声を上げ驚き叫ぶ。
「ちょ・・・。おま・・・。」
「倒し・・・たですか・・・。」
「流石に・・・。嘘・・・ですよね・・・?。」
「っほっほ・・・。このバンダルオ・・・。生まれて初めて神を倒したと名乗った者見ましぞ・・・。」
「冗談がお好きな方ですね・・・。」
「シス様の主様は面白い方です・・・。」
「流石にそんな嘘は駄目だよ・・・。そもそも神を倒せる人なんていないんですし・・・。」
「・・・。シス様。本当の事なんですか?。」
ルーンメル以外はそれぞれ冗談だと思いそう言うがルーンメルはシスにどうか確認する。
「うん。止めは私だけどマスターが凄いから出来た事。」
「そうですね。あの魔術はびっくりしましたよ。」
サリアは目を瞑り思い返す。
ゼラが発動させた魔術の事を思い返すと自然とゼラの方を向き笑う。
「ん・・・。鎖が一杯降ってきて拘束して相手凄く弱くなった・・・。」
ルビニアは表情こそ余り変わらないが体を目一杯使い表現しようと頑張る。
「お・・・ご主人様が凄いのは最初からです。ご主人様がいなければ今頃魔大陸は大変な事になっていましたよ。」
お父様と言いかけたが命令でご主人様と言うように言われている為、直ぐに言い直したのと皆気が動転しているので気付かれずに済んだ。
「私はその場に行けなかったのが残念です。」
「僕もだよ。格好良い姿見れなかったし。」
アウラとスィーナは少し悔しそうに言う。
「本人とシスだけじゃなくサリアとルビニアにメディアやアウラ達までそんな事を言うのか・・・。」
「本当の事・・・。嘘言わない・・・。」
「そうです。私達はゼラ様に仕える為に最終にまで選ばれたメイド。嘘なんて罰当たりなことしません。」
「そういう事だ。元々アリシア達のあの強さは予想外なんだよ。レベルさえ上がりきればお前とガンガオとタメ張れる強さだからな。」
「そうか・・・。では俺の妹もいずれは俺の横に?。」
「横どころか上にするつもり。まぁ環境がどうなるか次第だけど。」
「・・・。セフィリア。嫌なら・・・「ううん。私はゼラ様に鍛えてもらう。いいえ絶対にゼラ様がいい。」そうか・・・。」
「セフィ!!。考え直して!!。こんな無茶苦茶するゼラなんかに付いて行ったら・・・。」
ローミナは必死に引き止めるが、
「心配してくれてありがとう。でも私は死に物狂いになっても強くなるの。ローミナやお兄ちゃんを守れるぐらいに・・・。」
ルーガリは少し笑い、
「ゼラ。セフィリアを頼むぞ。もしこの世にいなくなったら絶対に許さないからな。」
「安心して預けるがいい。」
「安心出来ないだがな・・・。」
「私頑張ります!!。」
((とんでもない人に・・・。神すら倒す人にあっちゃった・・・。そりゃ心底から忠誠を誓うにきまってるよ・・・。))
「シルヴィアも一緒に出来る事を頑張りましょう。」
ワンっと吠えると同時に扉からノック音がし、
「失礼します。あ。シス様方お帰りなさいませ。」
アリシアが中に入ってくる。
服装はメイド服で。
「ん。」
「はい。無事帰ってきました。」
「朝ごはん出来たの?。」
「あ。はい。それで呼びに。」
「そうか。じゃ行こうか。」
「案内させてもらいます。」
そして全員で移動した為行進が始まった。
場内の兵や働いている女中などが揃って礼をしてくる。
その光景を余り気にせずに進んで行くのであった。




