帰路
「じゃ時折ナルベアから呼ぶからそん時は誰か召喚に応じてくれ。」
「はい。分かりました。ゼラ様。」
「お気をつけて。」
「次来るまでには料理上手く出来るようにするから期待してて。」
「気をつけろよ。道中が安全になったと言っても何があるか分からんからな。」
「都は私達とサタン様にお任せください。」
3日後。
エルフの村に帰る準備を終え都から出る。
見送りにサタン達が来てくれた。
「では全速でエルフの村に帰るぞ。道中の敵は全て倒す。指示はナルベアが持つ。いいか?。」
「「「「「「はい。」」」」」
返事をし終えた後はゼラがオールブーストとクイックを全員に施し走っていく。
「・・・。凄く速いですね。もう見えなくなりました。」
「もはや災害が走っているのと変わらん。見つかれば即座に狩られるのが目に見えている。」
「では仕事をしましょうか。ヘーゼもお願いね。」
「ああ。」
サタンとヘーゼナルボは見えなくなるまで見た後その場を後にした。
「う~。結局シスさんから一本も取れなかったよ・・・。」
「ミーティアルアが一方的にやられるのは面白かったわ。」
「そんなこと言ってアルテミアも一本も取れなかったのに・・・。」
「悔しいけど良い経験になったわ。私はまだ未熟だってのが分かったし。」
「ほっほ。いいことではないですか。ですが私と貴方達を相手に勝つシス様は一体どんだけの修羅場をくぐり抜けてきたのでしょうかね?。」
3人はゼラ達やサタンとヘーゼナルボがいなくなった後でも模擬戦の事を思い出し愚痴や分析した情報を話し合っている。
「分からないわ。ただ分かっているのはどんな状況になろうと彼女は諦めない。」
「最初の方は私達が優位だったんですけどね。」
「シス様は途中から反応速度と攻撃の狙いが異常に良くなったのが分かりましたし。まさか連携を利用され崩されるとは思いもしませんよ。」
「状況を判断し的確に自分が優位に立てる動きですね。ゼラさんも同じ様な動きをするんですよね。本人は勝ち負けが着かない動きをしてると言うのですが明らか勝つ為の動きなんですよね。」
「術者が近接戦闘での回避や防御を的確にやるなんてゼラだけよ。ヘーゼナルボも無理って言うぐらい次元が違うって言ってたからね。ゼラとシスを組ませると本当に勝ち目がなくなるのよね・・・。」
「阿吽の呼吸ですな。私達には無い物でゼラ様とシス様の絆と信頼の結晶でしょう。サタン様にヘーゼナルボと組んでも勝てないと思いますよ。そもそも術者が近接戦闘をして勝ち負けを着けない状況は実質術者の勝ちですからね。」
「ですが次は勝ちますよ。」
「私も少しでも強くなるわ。」
「ほっほ。良い心意気です。」
「じゃアルテミア。」
「分かってる。早速勝負しましょうか。」
二人は訓練する為全力疾走で戻る。
「さてさて。私はゼラ様から頂いた食料マップを見て食料を確保しますかね。」
ゼラはデーミに食べ物が収穫出来るポイントをまとめた地図を渡していた。
どのぐらい取れるか、どのぐらい取っても大丈夫なのか、獲物の強さや各危険性など詳しくまとめた物。
「ありがたく活用させて貰いましょうか。」
出発して2時間程。
道中休憩を挟みつつもかなりの速度で進んでいる。
「間に合うかなぁ~?。」
「何故そんなに急いでいるのでしょうか?。」
アリシアがゼラに近付き理由を聞いてくる。
「ああ。帝国の進軍の予測が大体1ヶ月程度ぐらいと予想して行動してるんだよ。そして今日はその1ヶ月の3日前。帰宅を急いでもここからだと2日前後。食料も確保するつもりだから大体3日前後の予定で進んでる。
「なる程。ゼラ様は帝国がまた 攻めてくるまでに戻りたいんですね。」
ナルベアが横で頷きながら走っている。
「ゼラ様・・・。メディアが接敵した・・・。」
「狩った?。」
「うん・・・。けど弱くて話にならない・・・。」
邪神を討伐後の敵は明らかに敵の質が大幅に落ちている。
レベル上げがしずらい場所になりつつある。
「この調子だと着くまでに20まで上がったら良いか・・・。まぁユニーク職になれたからいいか。レベル上げはガンガオに聞けばいいし今は帰宅と食料確保優先で動くぞ。メディアは回収してくれてるか?。」
「アイテムボックスを渡してあるから回収後は直ぐに前進するように命令してる・・・。一杯になったら報告もするようにもいってある・・・。」
ありがとうっと言いルビニアの頭を撫でる。
そこに別行動をしていたチベルネ、サリア、リニが追いついて来た。
「ゼラ様。こちらも討伐を終え戻ってきました。」
「すまんなチベルネ。どのぐらい確保出来た?。」
食べられる獲物を見つけたので追って狩ってもらった3人が帰ってきた。
「それなりには。ただまだ半分ぐらいしか埋まってませんね。」
「いや十分だ。ありがとう。」
「いえ・・・。」
アイテムボックスの袋を渡し褒められ少し照れる。
「う・・・。弾が少ないよぅ・・・。」
「だから過剰に撃ちすぎよ。今素材が少ないからライフル弾が30発とハンドガン弾が100発しか製造できないから考えて撃ってって言ってるよね?。」
弾薬が数少なくテンションが低いリニに愚痴を言うサリア。
「まぁ我慢してくれ。村に到着したら新しい銃渡すから頑張ってくれ。」
「え!!。やった!!。」
「ゼラ様・・・。甘やかし過ぎは良くないです・・・。」
「すまんがこれは甘やかし過ぎはないんだサリア。現状リニの適正戦闘距離は本来は超遠距離から中距離のみだから近接戦闘は苦手な部類の装備なんだよ。大きなハンドガンは本来は対単体で強いがリロードや連射速度を犠牲にしているから乱戦には向いていない。対物ライフルも本来は超射程を活かして狙撃に専念するものなんだよ。だけどリニはその概念をぶっ飛ばした戦術をしている。物量で来ても近接戦闘でも反動での回避などの自分の行動でカバーして確実に倒すスタイル。本来の戦い方じゃない戦い方をしているから弾薬の減りが物凄い早いんだよ。対物ライフルの反動を生かした空中機動狙撃にアクロバティックなハンドガンでの二枚抜きと高速リロード。かなり考えて弾も節約しつつ倒してるはずだよ。実際良くやってくれてると俺は思う。」
「えへへ・・・。褒められちゃった・・・。やっぱりゼラ様だけですね。私の事を理解してくれるの。」
「だが撃ちたいからって乱戦に進んで突撃していくのは良くないぞ。」
「・・・ごめんなさい・・・。気をつけます・・・。」
事ある毎に敵に突っ込む悪い癖がついてしまっているリニ。
ゼラも半分諦めてはいるが注意をすればある程度抑制になっているのでそこまで厳しく怒らない。
「よろしい。」
「マスター。」
「おう。お帰り。シス。」
シスとアウラとスィーナと共に別の獲物を狩ってもらっていた。
それも大型の獲物。
「少し時間を頂きましたが問題なく終えました。」
「ご褒美欲しいな~・・・。なんて・・・。」
「いいぞ。後で何か美味しいの作ってやろう。」
「わーい。ありがとう主。」
「楽しみ。」
「ですね。」
3人は喜んでいる様子。
「あれ?。ゼラ様って料理出来るのですか?。」
アリシアが普段料理をしないゼラに尋ねる。
「味は俺の好みしか作らないけどな。」
「意外・・・。私も食べたい・・・。」
「私もいいですか?。」
と全員が食べたいと言い出す。
「構わんが期待はあまりしない方がいいぞ。」
そして昼ご飯の時に魚のホイル焼きとフライパンで焼いたパンを全員に振舞った結果。
「なんですかこれ・・・。私に対する嫌味なんですか・・・。」
「うま~・・・。」
「なんか女として負けた気がする美味しさだな・・・。」
「凄く美味しい・・・。これいくらでも入る・・・。」
「ん~。凄く美味しい~。本当に料理人のスキルを持ってないんですか?。」
とかなり好評だった。
「持ってないぞ。」
「これはずるです・・・。卑怯です・・・。私だって最初は持ってなかったのに・・・。ゼラ様だけなんで美味しく作れるんですか・・・。」
「まぁ知識の差じゃないかな?。実際シスのレシピの何品かは俺のをアレンジした物だし。パンケーキとかハンバーグや煮込み料理の大半がそうだし。」
「これは納得せざるを得ません。私達にも伝授してもらえませんか?。」
「いいけど今度な。」
それから片付けた後少し休憩をしまた走り出し夕刻になったら野宿が出来る洞窟でシスが料理を始め、ナルベアにサタンを呼ぶように言い食料が入ったアイテムボックスを3つ渡す。
「ありがとうございます。」
「ああ。これで3食食べても3日は持つんじゃないかな。」
「そんなに・・・。本当に感謝しかありません。」
「いいって。あ。ついでに食べてくか?。」
「いえ・・・。民達に悪いです・・・。」
「気にするな。俺が許すから。なんか文句言ってきたら俺が食えって言ったと言えばいい。」
「・・・。はい。ではご馳走になります。」
シスが作ったのはクリームシチューだった。
それと昼にゼラが作っていたパンを真似し再現もしていた。
具材は鳥類の肉に玉ねぎと芋と人参。
煮込んだ後に教えたホワイトソースを加えミルクで整えた。
味は優しくもしっかりしていてパンとの相性も良かった。
「・・・これは食べちゃいけない物です・・・。ミーティアルアが言っていた意味が分かりました・・・。」
サタンは美味しさのあまり涙を流し本当に元の食事に戻れなくなるっという事を理解した。
「でもこれが普通になるさ。いずれな。」
「ええ・・・。この食事が普通になったらどんだけ幸せなのか・・・。楽しみでもありますがそこまで私が食生活に耐えられるかが問題ですね。」
「王なんだからそれぐらい我慢しろよ。」
「おっしゃる通りですね。」
その後帰ったサタンは城でアイテムボックス中を確認した。
「「「「「・・・。」」」」」
しかしその量に全員が唖然としてしまった。
様々な肉が約100kgに色とりどりの食べれる木の実が15kgと食べれる野草やキノコが20kg。
「これ・・・。一日でこの量ですよね・・・。」
「しかも捌いてある。調理すればすぐに食べれるようになってるな。」
「ほっほ。野草やキノコも食べられる物だけですな。」
「・・・。本当に安定して送れないって言ってたのよね?。」
「ええ・・・。1週間程しか送れないと言ってたはずです・・・。」
「やっぱり規格外だな。」
「ですがありがたくいただきましょう。」
「では私が民達と調理を致しましょう。レシピはシス様から頂いておりますので。」
「あ。私も手伝いしますね。」
デーミは凄く微笑ましい笑顔で許可しその日の炊き出しは豪勢な物となった。
しかしサタンとミーティアルアは味に満足出来なかったが料理のスキルを上げようと思い今後回数を重ね上達していくのであった。
そして旅を出て一ヶ月。
昼過ぎにエルフの村まですぐの程の所まで戻ってきていた。
道中は食べられる物と獲物を出来る限り回収。
アリシア達のレベルはなんとか20まで上げることが出来た。
ユニーク職のステータスの上がり方は晩熟な為50まではほぼ成長せず99最上位職とあまり変わらないが50以降の伸びは驚愕するレベルで上がりその職が得意とするステータスは必ず1万まで上がる後は若干の他人と比べるとバラつきがある。
現在メディアに先に村の周辺を調べてもらうのとどのぐらい離れても大丈夫かを調べるのと昼食を食べている。
「ほぼ予想通りだな。食料の方は大体1週間分は渡せた。こまめに送れるように何とかしてやりたいが暫くは無理かな。」
「とりあえずは民達には私が説得しましょう。まぁゼラ様の慈悲と言えばすぐ納得すると思いますが。」
「そんなもんかね?。」
「そんなものですよ。貴方は英雄。そして証明出来る物に人物も居る。説得にはそんなに時間はかかりませんよ。任せてください。」
胸を張り自信満々に言うアリシア。
ナルベアも笑い、
「ですね。皆納得するように私も全力でやらせてもらいます。それに私達はあの時と比べると雲泥の差の強さです。この辺りの魔物はまず余裕ですし帝国大軍相手でも私達が立ち回れば大きな被害を与えるのは容易いです。ただ帝王は私達では倒せませんが時間を稼ぎ撤退しきる自信はあります。そんな実力者に私達を育て上げる英雄のやる事に文句なんて言えませんよ。」
「帝王ねぇ~。そんなに強いの?。」
「ゼラ様の単騎と比べるとゼラ様が分が悪いと思いますがシス様が加わる前提であれば余裕で勝てるかと。帝王の強さは1対1が一番強いのです。」
「ヘー。戦ってみるか。」
「楽しみにしてます。まだ私はゼラ様の戦い方を全て覚えていないんですから。」
「勉強熱心だねぇ~。そんな子にはこれを贈呈してやろう。」
渡したのは白い指輪。
「これは?。」
「魔導の指輪。俺がつけてる邪龍神の指輪の劣化の装備だがそれでも効果は凄まじい。まぁ俺のお古だが。」
魔導の指輪
術を極めし者だけが装備出来る指輪。
MP自動回復3倍と詠唱時間が25%カット。
アイテムボックスの中には状況に応じて付け替える用の指輪の他にお古の装備があったのでナルベアに渡す。
「いいのですか・・・?。こんな指輪貰っても・・・。」
「まぁ支援師は指輪2つまで効果発動するからね。両方着けておいてよ。」
「はい。ちなみに効果の方は?。」
「MP自動回復3倍に詠唱時間が25%短縮。」
「それならサリアに譲った方がいいのでは・・・。」
「お前は馬鹿だな。一番大事な安定性を高めるならナルベア一択だ。回復術や補助術の使える回数と発動時間短縮が滅茶苦茶響いてくる。まぁ火力を底上げするってならサリアの方だが今は安定が大事だ。」
「分かりました・・・。ありがたく受けます。」
「で次にリニの装備。このF2000ぽい銃。」
渡したのはF2000の形をしたマキシマムと言う銃を渡す。
ゲーム内ではワールドアルケミストのみが作れる最強のアサルトライフル。
素材は貴金属と鋼鉄系とアルミとガラス。
性能は連射性能と威力に安定性が全てトップで弾道は素直に真っ直ぐ飛ぶが反動が大きい。
特殊効果で相手に撃ち続けるとダメージが増幅し最大3倍まで威力が伸びる。
モジュールにグレネードランチャーが必ず装着される為擲弾を製造できれば火属性の範囲攻撃も可能。
これの弾薬と擲弾はワールドアルケミストのみ生産可能。
擲弾は火の属性材料の質が良ければ良いほど威力が上がる。
擲弾は火系素材と金属で生産可能。
他の銃と違い威力は金属と貴金属の質で変わる。
銃使い系のユニーク職だけが装備可能。
付与効果は反動軽減と射撃速度向上。
有効射程は500mで分速1000発の速度で撃てるが付与効果で1200発の速度で連射出来る。
「ほわぁ・・・。凄くいいです・・・。この部分はなんですか?。」
「それグレネードランチャー。爆発する弾を撃つとこ。ちなみにこの銃の弾は300発でマガジンは全部で5本。爆発する弾は5発しか生産出来なかった。後サリアはこれの弾を生産する事はまだ出来ない。弾の生産費はかなりしてるから無駄打ち禁止。作るにも素材が今は無い。ぶっつけ本番で使うことになるから。使い方は・・・。」
「う~ん。」
リニは説明を受けながら感触を楽しんでいる。
「これは凄い!!。接近戦がとても楽しみです!!。」
「まぁ喜んでもらえて何より・・・。」
はぁはぁ言いながらF2000をすりすりするリニに苦笑いする。
「チベルネにはこれを渡す。」
「これは?。」
渡したのは一見普通のロングソードタイプの黒い剣。
「握ってみてくれ。」
それを握ると剣は振え所有者として認められるのも時間はかからなかった。
「すごい・・・。力が溢れてきます・・・。」
「最終ダメージが加算20%付きで攻撃速度上昇が付いてる。今回の最高傑作の一本だな。」
「ありがとうございます。」
深々と頭を下げ感謝するチベルネ。
「アリシアとルビニアとアリサはすまないが無い。と言うより必要素材が圧倒的に不足してて作れないってのが正解だが。」
「その素材とは?。」
「アリシアとサリアは高品質の太古の木材。ルビニアは虹色に輝く糸と高純度魔石。」
「そんな素材今まで生きてきて聞いた事も見たこともないかな。」
「知らない・・・。」
「それはこの辺りにある木材ではダメなのでしょうか?。」
「ああ。絶対無理。要求されてるのが木材ではなく太古の木材だからな。高純度魔石はいずれ用意出来る様にするから糸と木材次第だよ。」
「では暫くは探す方向という事ですね。」
「・・・!!。メディア接敵・・・。帝国軍・・・。」
ルビニアが帝国軍と接敵したようだ。
「場所は?。」
「村の先にある砦を抜けて更に2km進んだ所・・・。ガンガオの軍と戦ってる・・・。メディアはガンガオに事情説明して戦わせてる・・・。」
「って事はほぼ予想通りか。じゃ行くとしよう。今まで帝国がやってきた一方的な蹂躙をアリシア達がする番だ。見せてみよその力を。俺が満足するぐらい出し切ってみろ。」
「「「「「はい。ご主人様の望みのままに。」」」」」
右手を左胸に当て膝を突くアリシア達を見て。
ニタァっと笑うゼラ。
「マスター。楽しそう。」
「それは当然ですね。」
「僕達を育ててどのぐらい成長したかを見るのが好きだからね。」
その光景を見て微笑むシス、うんうんと頷き納得しているアウラにニコニコと笑うスィーナであった。




