各国領事館との接触
「お帰りなさい、荒谷さん、早速ですが・・・」
荒谷は千歳駐屯地に戻るとそのまま会議室へ拉致され翌朝まで拘束された。
「これじゃ捕虜でいる方がマジじゃねーか!」
「お国の為ですよ。荒谷さん」
「しかし、今までの映像や俺達の経験で対策取ってもだな、まだまだ未知の攻撃手段はいくらでも出て来ると思うぞ」
「解っている事に全力の対策を行うのが大事なんですよ。荒谷さんなら何か予測が付きませんか?」
「魔法だぞ、俺よりその辺のアニオタの方が想像出来るだろ!」
「良い事言ってくれましたね(笑)既に隊員リストからアニオタをピックアップして情報本部に入って貰ってますよ」
「で、そのアニオタからの情報は?」
「空を飛ぶドラゴン、兵士のアンデット化、隕石落し等々可能性は無限だそうです」
「恐ろしいな!アンデットとかどうするんだ?」
「アンデットには神父や僧侶が有効らしいですよ」
「・・・どこまでが本気なんだ?」
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セシリアは、札幌臨時行政府を通じてロシア領事館の総領事官ヨシフ・イノビッチと会談を行う事になった
札幌駅地下街の元喫茶店で、二人は笑顔で硬く握手し会談が始まった
「本日は謁見のお時間を頂き大変光栄に感じております。私はロシア連邦札幌総領事ヨシフ・イノビッチと申します。」
「こちらこそ光栄ですわ、ロシアは大国と聞いております。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「我が国の大統領からの申し出をお伝えしに参りました」
イノビッチはアーチン大統領からの申し出を、世慣れした人に特有の慈悲深くなだめるような口調で話し始めた
世界地図を広げロシアの広大な土地の中で現在人が住んでいない場所であれば山脈でも森でも島でも好きな場所をカバラ皇国へ租借し独立国と変わらない自治を認める
また日本との講和交渉の手助けをする事も可能で、亡命や民衆の移動の手伝いも行うと言う
ロシア側の条件は租借地にロシア軍の駐留を認める事と魔法研究について独占的な協力をして貰う事であった
一通りイノビッチの話を聞いたあとセシリアが口を開く
「大変ありがたい申し出ですが、妾達はこの地から離れる事を望んではおりません」
「解りました。もし状況が変わり我が国の申し出をお受けする事をお考えの場合は、いつでもご相談に来て下さい。」
「イノビッチ総領事官さま、ありがとうございます。」
続いて来たのは朝鮮総連北海道本部長の金であった
金は、挨拶もおろそかに、何かが憑依したように矢継ぎ早に語る。
我らが偉大なる指導者への忠誠を誓えば、カバラ皇国の全国民に我が国の国籍を与え保護対象としてやる
我が国は核兵器を保有する軍事大国であり我が国の恫喝により日本は戦闘をやめるであろう
貴国は我が国と共に魔法研究を進める事により世界の尊敬を集める存在になるだろう
と上から目線で一方的に話し終わるとロクに会話もせず帰ってしまった
彼は単に本国への報告実績を、作る為だけにセシリアとの会談を行ったようであった
この日最後の会談は中国札幌総領事館長の楊である
中国政府は平和的な解決について支援する用意があると言う
カバラ皇国が世界に向けて我が中国への帰属を求めるのであれば、非武装の工作員と日本国内の左翼団体による座り込みにより自衛隊の進軍を止める事が出来ると言う
また日本政府との交渉についても官僚や議員にも強い影響力を行使可能でありカバラ皇国が有利になるように進める事ができる
中国は一国二制度を認めており、我が国に属したとしてもカバラ皇国の国体の維持を保証し人道的な食糧支援なども約束すると言う事であった
楊は最後に突き付けるようにセシリアに迫る
「もう時間はありません! 停戦期間内に、内外に向けセシリア陛下自身のお言葉で我が国への帰属を求めて頂けば、悲惨な戦闘は防止され日本との交渉も我が国の仲裁で丸く納めますよ」
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セシリアは、各国の申し出について宮脇に相談していた
真駒内駐屯地での戦の時、宮脇に怒鳴られていらい二人の間には、冷ややかなよそよそしさがあるが、相談する相手は宮脇しかいないのである。
「君達が札幌を占領したまま、日本政府と交渉しても何も得るものはないよ。それに比べたらロシアが森や島を提供してくれると言うのが本当なら、申し出を受け入れるべきだよ。但し3カ国とも同じだが信用出来る国じゃない事は確かだ」
宮脇の声は表情を欠いた中立的で、高くもなく低くもない、硬すぎもせず柔らかすぎもしない。一昔前のコンピューターの冷たい合成メッセージのようだった。
セシリアは、宮脇のどうにでもとれる返答とその態度に、油が尽きて段々と細くなっていく灯火を見ているような、はかない無力な気持ちを感じとり、他国との申し出より宮脇との関係修復の方が大事と思うのであった




