一週間の平和
停戦初日に偵察の為に札幌市上空に飛来した、グローバルホークが風魔法の気流の乱れにより旭山公園へ墜落し騒ぎになったが
翌日、カバラ皇国側からの抗議には日本政府も従い、空からの偵察も中止された
一週間の停戦期間セシリアは、毎日、日本政府の官僚達と会談を行っていたが交渉の進展はなく、万事が齟齬の、思うようにならぬ焦燥さで地鞴を踏むばかりであった
そんな中でも、支援物資は、自衛隊の車両により毎日、野幌森林公園に届けられ、広大な公園も埋もれる程である。
必要な物資の依頼や各家庭への配給は、札幌市と北海道が札幌臨時行政府を立上げボランティアと共に行っていた
日本政府の了解を得た上で支援物資の一部は、カバラ皇国民にも支給され毎日フフ一枚だけの食生活も僅かながら改善されており、地下迷宮都市から一般の一般臣民が、地上へと上がって来て札幌市内の散策や久しぶりの日光浴などを楽しみながら札幌市民との交流も行われている
1000万人の亜人が代わる代わる札幌市を訪れ、札幌市内は戦時下とは思えない賑わいを見せていた。
路上で美男美女揃いのエルフが集団でカップ麺に食らいつていたり
獣耳のライカンスロープに近づき、その毛並みを楽しみ顔を埋めるキャリウーマン風の若い女性
警備中のドラコニュートの鱗を恐る恐る触る少年、ラミアと一緒の写真をSNSへアップする女子高生
ケンタウロスの背に跨り街を闊歩する老人、街中の野良猫を引き連れて歩くリリス
街頭TVから流れるBABYMETALの曲に合わせヘッドバンギングするゴブリンの集団、神々しく空を舞うハルピュイアに涙ながらに十字を切るシスター
この不思議な光景は市民によりSNSや動画サイトへの投稿され、カバラ皇国との共存を訴える世論も形成されて行くが、占領時に抵抗し亡くなった人達や札幌市の封鎖による経済的損失、市民の自由が制限され命の危険に晒されている状態を肯定される事はなかった
もちろんこの束の間の平和の中で、両軍は未知の敵への対策を模索していた
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停戦期間の2日目に、セシリアは荒谷ら捕虜の自衛官263名と連れ野幌森林公園へと来ていた
日本の官僚達との会談で捕虜全員を解放する事になったのだ
条件は捕虜となった自衛官を再びカバラ皇国との戦場に投入しない事だけであった
「お嬢ちゃん一方的に捕虜の解放なんて何のメリットもないんじゃないの?」
「妾達が捕虜に対して丁重に扱い、交渉次第で解放されると言う事実が伝われば、無駄な戦闘せず降伏してくれる事もあるでしょうし、それに荒谷さん達が集団で近くにいる方が危険ですわ」
「そうかい、少なくとも銃を持ってお嬢ちゃん達の前には立たない事は約束するよ。ありがとうな」
「でも荒谷さん妾は、ただのお人好しじゃありませんよ。」
「どういう意味だ?」
隠すという行為の持つ避けがたい後ろめたさから、つい言ってしまった一言であるが、セシリアはそれ以上何も答える事はなかった
その様子を遠巻きに少数種族のひとつベルゼブブ族が見ていた
荒谷達が空の輸送車に乗って戻って行くとそのベルゼブブ族はセシリアに近寄って来た
「陛下、今回は我が種族の活躍の場を与えて頂きありがとうございます」
「いいえ、妾達は手段を選べる立場にはありません。出来る事はなんでもするつもりです。」
「しかしこの国の衛生管理は素晴らしく、効果は未知数です」
「各種族がその力を使い立ち向かって行く事が大事です。貴方達が撒いた種が少なからず自衛隊を混乱に落し入れる事になるでしょう。」
荒谷ら捕虜となった自衛官は、寄生虫により汚染されているのであった。
健康上無害ではあるが、脳に達した場合、脳内物質を放出する寄生虫でありベルゼブブ族は、寄生虫を操る事が可能である




