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四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
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その17 囚われのヒデ

 P6指令室。

「そうか・・・桑田が・・・」と無念そうな弘士。

「今・・・ロクさんが対面してるそうです・・・」悲しみに報告をする我妻。

「なつみ・・・」松井はその場で泣き崩れた。


「松井?キーンの状態は?」

「は、はい・・・医師の言葉では命には別状はないようですが・・・」

「悲しんでばかりはいられないぞ!体制を立て直すぞ!」

「はい!!」

「地下3階の警戒は解かず、このまま警戒態勢をレベル2に落とす。敵が何名入ったのか分かるまではな!松井?前司令と参謀は?」

「は、はい。負傷者の手当てにまわってもらってます。」

「前司令には護衛をつけて、ヒデの取調べに当たってもらう。」

「了解・・・」

「関根がスパイだったとは・・・」と嘆く弘士。



 地下3階ジプシー専用医療室。キーンが寝ているベットにダブルの姿があった。キーンがちょうど目を覚ます。

「気がついたか?」とダブル。

「ここは・・・?」とキーン

「地下3だ。」

「そうか・・・」


「爆破に巻き込まれた。奇跡的に助かったぞ!」

「ああ、そうだな・・・自分の車を罠にするとは・・・タ、タケシは・・・!?」

「ロクが奴を仕留めた。」

「そうか・・・ロクが・・・」再びベットで目を瞑るキーン。

「ちょっと待ってろ・・・今、先生を呼んでくる!」

「ああ・・・」


 ダブルは席を外すと、医療スタッフを呼びに行き、再び戻ってくる。すると医療スタッフの一人がやって来る。

「目が覚めた?」


 その女性スタッフは30前後、美形で品の良い顔立ち。ダブルの目が輝く。すぐダブルの顔が綻ぶ。

「こ、これはこれは・・・お姉さま・・・」


「高田よ。さっき付けでここを任された・・・関根が死ぬなんてね・・・残念よね・・・」


「関根さんが!?亡くなったのか?」驚くキーン。

「いえ、こんな方がこんなとこに居たとは・・・」既に高田しか見ていないダブル。

「あんたら、軽傷の時以外ここ使わないでしょ?」

「確かに・・・」

「結婚はしてるんで、心配なく!」とダブルに向かって睨む高田。


「俺、そんな顔してましたか?」

「少なくとも、友人の容態よりはね・・・」

「あちゃ・・・」


「先生・・・右足の感覚がないんです。」とキーン。

 高田は、ダブリの顔を見た。首を振るダブル。

「よく聞いて、その右足は切断された。」

「えっ・・・」

「先生・・・それは今・・・」驚く

「仕方ないじゃない!いつかは話さないと・・・あなたは、もう戦場には立てない。今は退院してリハビリの事だけ考えてちょうだい!戦場に戻るのはそれから・・・いい?」


「先生、そんなはっきり言わなくても。」とダブル。

「分かりました・・・」キーンはベットで横を向いてしまう。

「キーン・・・」キーンの返事に驚くダブル。

「私は、関根とは対立してきたの。関根はOKを出していても私には通用しないわよ!」


「恐い恐い・・・」


「さっき来たもう一人の仲間もそう!よくあんな重体でここの指令室はよく戦場に出してるわね!」

「誰?」とダブル。

「ロクよ!ここで点滴打ってなさいって言ったのに、もう居ないし・・・」

「ロクが・・・」

「あんた手が空いているなら捜して来て!いつ倒れても知らないわよ!」

「わ、分かりました・・・」とダブル。


「それと、彼に伝えてちょうだい。桑田の遺体を見たわ。あなたの予想で当たっていると・・・」


「はあ?そう伝えればいいんですね?わかりました。」

 ダブルが慌てて部屋を出て行く。



 P6指令室。

「司令?地上部隊より連絡!爆破された建物から死龍さんが発見されたと報告があり・・・」

「死龍が?地下6にいたんじゃないか?」

「再度、確認します!」


 そこへ、久弥が入って来る。

「どうだ?」

「ボロボロです。たった10名程の敵兵にポリス内を掻き回されるなんて・・・まだ敵の人数や目的の詳細が掴めず・・・」

「死者は?」

「上と下合わせて35名、ほぼ地上部隊です。負傷はキーンほか多数!」

「桑田が亡くなったと聞いたが?」

「はい・・・関根、シン・・・大きな代償です。特に関根にはスパイ容疑が掛かっています。」

「そうか・・・」


「それと、ロクがタケシを討ち取りました!」

「ロクが・・・」

「それと捕虜4名を確保。その中にここにいたヒデが・・・」

「何だと!?なぜヒデが・・・?」

「兵を付けますので、前司令に取調べをお願いしたいのですが?」

「よかろう!わしがやろう!」

「お願いします!」



 地下3階のある取調室。後ろに手錠をされイスに座っているヒデ。 そこへ銃を構えた兵士2名を引き連れた久弥が取調室に入って来る。

「久しぶりだな・・・ヒデ・・・」


 顔を上げ久弥の顔を見るヒデ。既に顔は腫れ意識は朦朧としていた。

「じじいか・・・?」

「相変わらず、口の減らん男だな。」

「ふん・・・」

「今回の攻撃の意図を知りたい。」

「知らん!」

「兵の話では、お前がストラトスに乗っていたとか?」

「だからなんだ?」

「それでは、ロクやダブルが苦戦するはずだな。」

「あいつらに負けるはずがないだろうが!」

「しかし、敗れた・・・当時でも勝てんお前が、今のロクやダブルに勝てんだろうが!」

「くっ・・・」


「なぜ、地下に入ろうとしたんだ?」

「タケシだよ!」

「ん?」

「タケシが、地下にある真・四天王に逢うって・・・」

「お前も知ってるかどうかは知らんが・・・そんなものはない!街のジプシーたちが作った妄想だ!」

「なら、街の先人たちは何を見たんだ?」

「なに!」

「あの日、街のじじぃたちは4人の神を見たと言う・・・俺がガキの頃、聞いた覚えがある。」

「あの日じゃと?」

「核が撃ち込まれた日だ・・・」


 すると、更に兵が一人入って来ると、久弥の耳元で何かを話した。久弥の顔色が変わる。

「今度は何だ!?」

「こいつを地下6に連れて行け!」

「何っ!」驚くヒデ。



 ジプシャン軍鹿島台新本部。寛子の前に、鈴木艦長の姿があった。寛子の後ろには犬飼参謀の姿もある。

「それで?」と寛子。

「はい・・・てっきり本部の命令かと思い・・・」と鈴木艦長。

「それでタケシは?」

「ストラトスの認識信号は消えてしまい・・・」

「装甲車1台が松島基地に到着したと報告もあります。」と横に居た犬飼。

「タケシめ・・・」

「内部より、調べさせます。」


「よかろう。鈴木と言ったな。下がるがよい。」

「ははっ!」

「古川に戻り、艦の修理だ。だいぶやられたのだろ?」

「申し訳ございませんでした。」


 鈴木が後ろを振り向いた瞬間だった。寛子は銃を取り出し、鈴木を後ろから射殺したのだ。

「犬飼!片付けてちょうだい!」

「ははっ!」

「さて・・・次はツヨシか・・・」不敵な笑みの寛子。

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