3:魔法使いマホの誕生
マルザはすくすくと育ち、
やがて国の学者ファルシュと結ばれた。
「マルザ、共に生きよう。どんな時も」
「ええ、ファルシュ。あなたとなら大丈夫」
だが、ファルシュには不仲の兄がいた。
名をブラザという。
ブラザはこの国最強の戦士であり、将軍であった。
その目には常に、
何かを奪い取ろうとする獣のような光が宿っていた。
「やあ、マルザ。ジルジ殿に頼んで、
少しばかり“未来”を見てもらえないか?」
「兄さん、またか。いい加減にしろ」
「家族だろう? これくらい構わんだろう」
ブラザは魔法使いの家系との繋がりを利用し、
自らの欲を満たすことばかり考える男だった。
一層兄弟仲は悪くなり、
マルザもジルジも、彼を警戒していた。
そんな中――
マルザに子が生まれた。
名はマホ。
その子の額には、
魔法使いの証である紋章が刻まれていた。
「……紋章……」
「まさか、この子が……」
しかもその紋章は、
ジルジと同じ“未来を見る紋章”。
ジルジは震える声でつぶやいた。
「宿命からは……逃れられぬのか」
一方で、国は歓喜した。
「強力な魔法使いの誕生だ!」
「これで我が国は一層安泰だ!」
ジルジは孫娘のマホを抱きしめながら、
静かに目を閉じた。
(どうか、どうか、
この子には、自由に生きられる未来を……)
こうして、
マホの運命は静かに動き始めた。
魔法使いの血と、
学者の血と、
そして“未来を見る紋章”を持つ少女として――。




