ツヅキ-2
「さてと、準備が終わったから向こうに飛ばしてくれ。」
「うむ、分かった。それでは向こうに行くためのゲートを作る。」
神様が手のひらを何もない空間に向けると突然扉が出現した。
「この扉の向こうがお主が行くところじゃ。...お主の名前を聞いてもいいか?
「俺の名前?...『加藤 優人』だ。」
「そうか...ユウトか。...達者でな。」
「あぁ...向こうでは出来るだけ人を助けてみるよ。」
俺は扉を開けた。扉の向こうは暗闇しか存在しない様に見える。俺は意を決して扉の向こうに踏み込む。すると床がなかったようで、俺はそのまま扉の向こう側に倒れ込んだ。少し浮遊感を感じた後に体全体に強力な衝撃が走った。
「がっ!」
衝撃は強かったが痛みは一切感じなかった。俺は体を起こし辺りを確認しようとするが暗くて何も見えない。色んな所を手探りで触っているとここは小さな部屋だということは分かった。しかし、これ以上は分からないためショップで買っておいた『懐中電灯』を使うことにした。幸いリュックの中ではなく下の方で吊るしていたためすぐにとることが出来た。
「ここは...建物の中なのは分かるが光が一切入ってこない。取り敢えず出口を探してみるか。」
俺は部屋の中を懐中電灯で細かく見ていると、部屋の奥の方ではしごを発見した。俺ははしごを上るとハッチの様な扉があったので開けてみる。ハッチはまるで錆びているように変色していたが、『ギギギギ』という重い音を立てながらゆっくりと開く。外はまだ朝のようで日が差し込んできた。しかし、俺は少しの間だが暗闇の中にいたので突然の日光に顔を覆ってしまった。
「眩しっ...!」
眩しいのを我慢しながら俺はハッチから出ると、目の前は信じられない世界が広がっていた。道路上には瓦礫やボロボロになった車が至る所にある。ボロボロになったビルが立ち並んでいる。向こう側には倒れているビルも見える。
「まるで地獄じゃないか...。」
ここで現実を受け入れるために立ち止まるのもいいが、まずはこの世界の人類と接触するためにこの街の探索を始めることにした。
しばらく道を進むが人どころか物音ひとつすらしない世界だった。人がいたような痕跡は見つけることはできず、ただただ街をさまよい続けた。しばらく歩いては水分と食事を確保し、またすぐに探索に行く。
「しかし、数時間歩いても誰とも会わないとは...例の兵器の影響で多くは死んでしまったのか...?」
よく考えてみればこんな状態の中生きている人間が居たら驚きだ。世界中がこのような状態になっていると思うと気が滅入りそうだ。しかし、まずは遠くにも行けるように『足』を確保しなければならない。まだptは『24,660pt』しか貯まっていない。しかも初期の食料がすべて尽きそうだったので今後はptが貯まる速度は遅くなるだろう。そこでひと先ず今はこの世界の乗り物を探すことにした。この世界の乗り物ならばptを消費することなく使うことが出来る。ついでにこの世界の文明を見てみたい。
「壊れていない車の場所は多分地下だな。」
地上にある駐車場はほとんど壊れている可能性は高いが地下の駐車場は残っているものも多いだろう。しかし、問題は俺はこの街のことを一切知らないのでどこに何があるかがわからないという点だ。ありそうな建物を一つ一つ調べるしかない。もしかしたら偶然入った建物に生存者がいる可能性もある。俺は取り敢えず近くにあった高層ビルに入る。
「ここは...元々はデパート的なものでもあったのか?」
入ると中は意外と綺麗で奥に行けば行くほど形は保っていた。しかし、兵器の影響で殆どが焦げているように見える。その中でもptを使わないようにするために食料を探す。恐らく様々な店が並んでいたであろう場所には偶にだが人型の何かが倒れていることもある。恐らく兵器の熱により一瞬で焼かれた死体だろう。
「ここには駐車場はあるが、エレベーターは使えないし階段も崩落しているし...どう行くかな?」
地下駐車場はあったのだがエレベーターは電源が入っていないので使用が出来ず、階段は兵器の衝撃で崩落していた。
「階段とエレベーターがだめならば外からしか無理か...」
俺は外から駐車場へ入るために一度建物の外に出ることにした。外は相変わらず人の気配がしない。こうなったら一度ここから離れてみるのも一つの手かもしれない。
「さてと、どこに出入口はあるのかな?」
俺はその建物の周りを回ってみる。回ってみるとその建物には巨大な駐車場があった。しかし、見るからにほとんどの車が変色していたり変形していた。
「此処のはやっぱり使えないか...」
その駐車場を探索すると地下への道を見つけることが出来た。その道はボロボロにはなっていたが、形は保っており崩落はしていなかった。
「この奥に車がありますように...」
俺は願いながら駐車場の奥へ進んでいく。しかし、車は全くと言っていいほどなかった。ほとんどは文明崩壊時に乗っていかれたんだろう。しかし、奥の方に軍が使っている様な車らしき物があった。
「これは...動くのか...?」
一度車に乗り込んでエンジンをかけてみる。すると音を立てながらエンジンがかかった。
「お、エンジンがかかった。これで遠くまで行けるな。」
俺はそのまま車を運転して外まで出る。取り敢えずそこら辺をゆっくりと走りながらこの街を出るとしよう。




