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幼女とオオカミ男のお話  作者: 金剛陸奥
あくと、ばんがいへん!  ちょっぴり怖くて意地悪なオオカミ男さん、発情期です    *ネタバレ注意
24/37

ちゃぷたーⅠ  オオカミ男、図らずも欲情

ネタバレ注意報

このお話は現在進行中のお話よりも、もうちょっと先の未来のお話です。

かなりネタバレな要素が含まれていますので、この先の展開を知りたくないという方はバックしてお戻りください。

大丈夫よ! という方はスクロールどうぞ。



その日はまさに、飼い主サマが「女」になった日だッた。









「どっぐらん?」

「そう! ワンくんもいつものお散歩コースじゃちょっと物足りなくなってきたでしょ? 千夏さんも連れて行っていいよって言ってくれたの。ねー行こうよ行こうよー行ってみようよー」

「…いや、そもそも」



オレの手を取って遠慮なしにぶんぶん上下左右に振り回す飼い主サマに、「どっぐらんッて何だよ」と尋ねると、飼い主サマは呆けた顔をしてみせた後、すぐにふふんとふんぞり返ってどっぐらんの説明を始めようとした。何でそンなしてやッたり顔なンだ。ちょっとイラッときたので頬を軽くつねってやると痛い痛いと抗議してオレの手をぺしぺし叩いた。コイツ餅みてーな頬してンな。ンだこりゃ。



「ど、ドッグランって言うのはにぇ」



そのまま話すのかよ。



「わたひも行ったことないんだけにょ、ワンひゃんたひが自由に遊び回れる広いスペースがあっへ、色んにゃワンひゃんと飼いぬひひゃんがたくさん集まって、交流を深めるところにゃんだって。…ワンくんいい加減ひゃなひて」



もにょもにょといじくり回すと変化する顔がつい面白くて集中してしまい、飼い主サマの言っていることは途切れ途切れしか聞いていなかった。それがわかったのか飼い主サマはオレの手を振り払い、反撃のつもりなのかオレの耳をわし掴んできた。



「バッ!! さ、触ンな!」

「なによう! ワンくんもわたしのほっぺたで散々遊んだくせにー! わたしのお話し聞いてなかったでしょー!!」

「ひッ、や、やめろバカ!!」



耳の付け根をやわやわと揉まれて、背筋を何かが這うような感覚がオレを襲った。こ、こンのガキ…オレがそこ弱いのを知ッてて集中して狙いやがッて! 


あまりにもしつこいので、耳に触れてくる手を思い切り引っ張ると、強く引きすぎたのか飼い主サマのちッせえ身体がオレの方に倒れこんできた。そのとき、飼い主サマの匂いに違和感があった。妙に思ったオレは飼い主サマの首元に鼻先を押しつけてくんくんと嗅いでみたが、飼い主サマが暴れ出して上手く確認できない。



「は、はううう!!? ちょ、ちょちょちょ、な、何してるのワンくん!?」

「だッ! オマ、暴れんな! 痛ぇだろ!!」

「ひゃふっ!? ひいい息! 息くすぐったいからぁ!!」



飼い主サマの抵抗を無視して、首元から耳の裏側まで順に嗅いでみた。やはり、おかしい。いつもの飼い主サマの匂いに、覚えのある何かが含まれている。原因の元を探ろうとその白い首筋を試しにベロリと舐めた瞬間、尻尾を思い切り引っ張られた。



「いッてええええ!! バカやめろ離せ千切れンだろ!!!」

「はっ、はっ、は、はなしてええええ!!!」



このままでは本当に千切られかねないので、急いで飼い主サマから顔を離して抗議してやろうと口を開こうとした。が、飼い主さまが目を潤ませて、頭から蒸気が噴き出すんじゃないかと言うぐらいに真っ赤になっているのに気付いた。



「お、おい」

「…う、はうう…」

「そッ、その顔やめろバカ! な、泣くな!!」

「なっ、泣かない…もん」



泣きはしないものの、飼い主サマは赤く染まった顔を手で覆って黙りこんでしまった。オレも何故かいたたまれなくなり、どうしてか自分の顔にも熱がこもっていくのを感じた。二人、いや一人と一匹か? いや、どッちでもいいンだよンなことは!! 揃ッて何やってンだよ…。


そして先ほどよりも飼い主サマの匂いが濃くなったのが分かった。おそらく過去にこれと似た匂いは何度も嗅いだことがある筈なのだが思い出せない。


未だにオレの上で小さい体を更に縮みこませて悶えている飼い主サマをしばらく眺めていると、オレの中である異変が…―――



「だああああッ!!?」

「は、はうううう!!?」



ありえねえありえねえありえねえ!!! いやいやいや、これは違う。何かの間違いだ。そうだ。突然大声を上げたオレに驚いた飼い主サマをゆっくりとオレの横に移動させて息を整えた。そうだ、違うンだ。オレはヤツとは違う。


もう一度横に居る飼い主サマの顔を見つめると、戸惑った表情をした顔はいつもの飼い主サマで、でも匂いはやはり違う。くんくんと鼻を鳴らしてもう一度確認してから飼い主サマにある可能性を想定して質問した。



「オメー…」

「な、なに?」

「香水とかつけてねぇよな…」

「? 香水なんて持ってないよ? え、な、なに、わたし変な匂いする?」

「する。すッげーする」

「ええええ!? ちょ、ちょっとお風呂入ってくる!!!」



立ち上がり慌てて風呂のセットをかき集めて部屋を出て行った飼い主サマをオレは何ともいえない気持ちで見送った。



…そういや、飼い主サマ何の話してたンだッけか。まあいいか、後で。









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