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葵の真剣な目を見つめ、母・瑞稀は深く息をついた。
長い沈黙のあと、やっと口を開く。
「葵…あなたに話さなければいけないことがあるわ。
いつか、こんな日が来るんじゃないかと思ってたの」
葵は息を呑む。心臓が早鐘のように打ち、胸の奥がざわつく。
「私は…本当のことを、ずっと隠してきた
葵、あなたは…私にとって奇跡なのよ」
奇跡…?
どうして自分が奇跡なの?
父はいないの?
頭の中で疑問がぐるぐると渦巻き、混乱が膨らむ。
葵は小さく声を震わせて言った。
「分からない…どういうこと…?」
母は深く息をつき、静かに答える。
「私は、あなたを守るために、全てを隠してきた。
だけど、もう隠すべきではないと思ったの」
葵の胸の奥では、戸惑いばかりが膨らんでいく。
理解したい気持ちと、信じられない気持ちが絡み合い、頭は整理できずに混乱する。
母はそっと葵の手を握る。
葵は驚きのあまり体が固まるが、言葉に出来なかった。




