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ある日の夕方、葵はソファに座り、スマホの画面を次々とスクロールしていた。
遠くの町で活躍する健太のニュース映像や記事が気になって、つい沢山見てしまう。
笑顔やインタビュー、取材の様子…。健太の特別さが、画面越しにも鮮やかに伝わってきた。
そんな様子を母・瑞稀がそっと覗き込み、硬い表情で言った。
「スマホばかり見ているのは良くないよ」
葵は少し笑いながら、反論めいた言葉を返す。
「だって、あの健太くんだよ。小さい頃一緒に遊んでたんだから、気になっちゃうよ。ママは気にならないの?」
胸の奥で小さな想像が広がる。
「もし私が健太くんみたいに、奇跡の子だったら…どうしていただろう」
「きっと、自分のことを知りたくて、いろいろ調べたりしたかも」
そして葵は、自分の手元のスマホを見つめて、くすりと笑う。
葵はスマホの画面に夢中で、母の青ざめた顔には気づかない。
奇跡の子というニュースに、葵の心は驚きと興味でいっぱいだった。




