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外に出ると、陽射しがやわらかく降りそそいでいた。
街路樹の葉が風に揺れ、その隙間からこぼれる光が路面にまだら模様を描いている。
目を細めた妻は、一瞬、胸の奥につかえていたものが溶けていくような気がした。
すぐ近くの公園から、子どもたちの歓声が聞こえてくる。
ブランコの鎖がきしむ音や、砂場で走り回る足音が混じり合い、陽だまりに溶けていた。
柵越しにその光景を眺めると、木漏れ日の中で跳ねる子どもたちの姿がまぶしく映る。
まるで光そのものが形をとって駆け回っているかのようだった。
掌をそっと腹に添える。
ここに宿った命も、いつかあの輪の中に入るのだろうか。
祝福なのか、試練なのか――答えは分からない。
けれど、公園の光景は、その問いを一時忘れさせるほどのあたたかさを帯びていた。
木漏れ日の模様が足元に揺れている。
妻は深呼吸をしてから、公園の前をゆっくり歩き出した。
陽射しに包まれた道は、まるで新しい道しるべのように続いていた。




