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白石は薄暗い書斎の机に向かい、資料の山を整理していた。
政府の秘密裏の介入が暴露され、社会の不安と混乱は広がっている。
だが、彼女の胸には激しい怒りよりも、冷静な覚悟が宿っていた。
「外から声高に叫ぶこともできる。だが、それではこの問題の根本は変わらない。むしろ傷つく人が増えるだけかもしれない」
白石は母として、そして医師としての立場から熟慮を重ねていた。
彼女の目標はただ一つ──奇跡の子たちが安心して生きられる社会をつくること。
情報を共有するため、小宮とも連絡を取り続けている。小宮は政府内に残る数少ない味方であり、改革を後押しできる立場にいた。
「まずは政府の担当者と直接交渉し、奇跡の子たちのデータ管理の透明化と、治療や支援体制の確立を求める。秘密主義はもう許されない」
白石は慎重に、しかし一歩一歩着実に動き出した。




